School of Culture, Media and Society早稲田大学 文化構想学部

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「迷える子羊のすすめと国際社会学」文化構想学部 樽本英樹教授(新任教員紹介)

自己紹介

高校生や大学新入生の中にはどの分野を専門にしようか迷っている人も多いことでしょう。私も例外ではなく、その昔は「迷える子羊」でした。高校生のときには「ニューアカデミズム」にかぶれました。浅田彰、柄谷行人、岩井克人、蓮實重彦などの哲学的な難しい本を知ったかぶりして読んでいました。しかしなぜか「ニューアカデミズム」に近い哲学を専門にしようとは思わず、国際関係論を学ぼうと意気揚々と大学へ入学しました。

ところが、1年生向けの国際関係論の講義はまったくおもしろくなかった (私の理解力の問題かもしれません。当時の先生方、ごめんなさい)。そこで同時期に履修した1年生向けゼミが政治学と社会学であったためどちらかを専門にしようと考えました。そして最終的には「何でもできる」と半分勘違いして文学部の社会学科へ進学したのです。

ところが、このようにいくつかの分野を勉強したことが後々活きてきます。学部と大学院修士課程では「権力の社会学理論」の論文を書き、大学院博士課程からは国際社会学へと専門をシフトさせましたけれども、それらを研究する過程で国際関係論、政治学、そしてもちろん社会学の知見から多くの発想を得ることができました。高校時代に夢中になった「ニューアカデミズム」でさえ、その抽象的な思考法がその後の研究に活かされていると思います。

みなさん専門課程を選ぶ際、ぜひ迷ってください。迷いながら興味を持ったことをいろいろ勉強してみてください。その試行錯誤がみなさんの研究や人生をさらに豊かなものにするであろうと確信しています。

私の専門分野、ここが面白い!

私の専門は国際社会学です。ヨーロッパ社会を日本などアジア社会や北米社会などと比較しながら研究しています。

写真:アメリカ合衆国とメキシコとの国境

現代はグローバル化時代です。すなわち、国境を越えて大量の様々なモノがすさまじい頻度で行き来することが当たり前になった時代です。行き来するモノは、商品、人、情報・文化、感染症など様々ですけれども、人々の生活や社会の構造を以前とはまったく異なるものにしてしまいました。国際社会学はそのような国境を越える様々なモノの移動とその結果を、主にヒトとヒトとの関係の観点から社会学の視角・理論・方法で分析しようとする学問分野です。

写真:多文化都市ロンドン

グローバル化は私たちに良いことももたらします。簡単に海外のドラマを見ることができたり、外国の人々と交流できることは、私たちの人生を豊かなものにします。しかし一方で、グローバル化はいろいろな問題も引き起こします。国境を越えてきた移民が差別や抑圧を受けたり、貧困に陥ったりもする。近年ヨーロッパ社会などで問題になっているテロ事件や極右やポピュリズムの運動や政治も、国際社会学が取り組む中心的な社会問題です。

プロフィール

1999年東京大学大学院人文社会系大学院修了、博士 (社会学) 取得。1995年より北海道大学大学院文学研究科・文学部において、助手、助教授、准教授、教授を歴任。その間、英国ウォーリック大学エスニック関係研究センター客員研究員、フランス・パリ政治学院招聘教授として研究および教育に従事。2018年より現職。専門は国際社会学。主な著書として、単著『よくわかる国際社会学』(第2版) (2016, ミネルヴァ書房)、単著『国際移民と市民権ガバナンス-日英比較の国際社会学』(2012, ミネルヴァ書房)、共編著『現代人の国際社会学・入門 -トランスナショナリズムという視点』(2016, 有斐閣)、編著『排外主義の国際比較-先進諸国における外国人移民の実態』(近刊, ミネルヴァ書房)。

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