Waseda Culture早稲田文化

  • Featured Article

世界に享受されるグローバルな英語能

能は日本発祥の文化でありつつも、もはや世界の芸術になったと実感

  • #イベント
  • #ジェネラル
  • #文化
  • #講演会

Wed 26 Jun 24

能は日本発祥の文化でありつつも、もはや世界の芸術になったと実感

  • #イベント
  • #ジェネラル
  • #文化
  • #講演会

Wed 26 Jun 24

本学とUCLAとの共同連携事業である柳井イニシアティブは、英語能「青い月のメンフィス(Blue Moon Over Memphis)公演」を2024年7月19日(金)に本学大隈記念講堂、および21日(日)に京都金剛能楽堂にて開催します。
本公演は、エルヴィス・プレスリーをテーマとした英語能作品「青い月のメンフィス(Blue Moon Over Memphis)」(以下、「青い月のメンフィス」)の日本公演で、グローバルに活動する国際的な演劇集団シアター能楽により上演されます。
英語能は、日本の伝統的な能の様式を用いつつ英語で演じられる、西洋と東洋、古典と現代、さまざまな文化を融合した新しいジャンルの芸術分野です。シアター能楽は、世界各地でオリジナル作品を中心とした英語能公演を行うことにより、日本文化の新たな魅力を発信し続けています。

本公演に先立つ6月21日、公演開催告知記者会見が行われました。

会見では、シアター能楽のリチャード・エマート氏、ジョン・オグルビー氏、および柳井イニシアティブディレクターであるマイケル・エメリックUCLA/本学教授、十重田裕一本学教授により、本公演の趣旨や作品の概要についての説明がありました。

英語能「青い月のメンフィス(Blue Moon Over Memphis)」公演開催のきっかけ

エメリック教授

「2018年10月、UCLAにシアター能楽を招き、この「青い月のメンフィス」を中心としたイベント「2 Days of Noh」を行いました。このイベントは地元紙LA Timesでも絶賛され大好評を博しました。私自身、英語能を観たのはその時が初めてだったのですが、それまで観た伝統的な能とは違い、身構えることなく楽しむことができましたし、伝統芸能というよりは、生きた演劇として能を捉えることができ、新鮮な感動を覚えました。現代の日本において能は、ともすれば難解でハードルの高いものという意識を持たれがちですが、英語能を通じて、能とは本来そうした生きた演劇ではなかったかと気づかされたのです。そこで、この作品をぜひ日本の方々にも観ていただくことで、日本の伝統文化である能が、一部の限られた人にしか楽しめない伝統芸能ではなく、今まさに息づいている開かれた芸術文化であるということを知っていただきたいと思い、今回の公演を企画いたしました。」

「青い月のメンフィス」について

リチャード・エマート氏

「2000年にシアター能楽が活動を始めて少し経った頃、エルヴィスをモチーフに、能の要素を取り入れた戯曲があるということを耳にしました。当初は、どうやったらエルヴィスと能が結びつくんだろうと半信半疑でしたが、その後原作者のデボラ・ブレヴォートさんと会う機会があり、せっかくなら、その作品をより能に近い形式でやってはどうかと相談をもちかけました。
何年にもわたり話し合いを続けながら、原作で90頁近くあった台本を10分の1程度に短縮し、音楽や舞も能の形式に整えました。装束や能面についても、長い時間をかけて作り上げました。これらも本作品の見どころのひとつです。
シテの装束は、京都で能装束製作を専門にする佐々木能装束に依頼し、白い長絹と黒い裃という2種類の装束を作ってもらいました。これらの装束の柄にはエルヴィスをイメージさせるモチーフを忍ばせています。また、ワキのジュディが身につける着物は、ジーンズの生地を使って劇団員が仕立てたものです。
能面は、これまでに何度もシアター能楽にオリジナルの能面を提供してくれている能面師の北澤秀太さんに依頼し、エルヴィスをモデルにした面を作ってもらいました。当初は後シテがつけるエルヴィス面のみでしたが、その後、前シテ用としてロバート・ジョンソンという伝説的な黒人ブルース歌手をモデルにした面も作ってもらっています。」

ジョン・オグルビー氏

「2015年に日本の谷中で小さなワークショップを行い、「青い月のメンフィス」を上演した時、観客の半分はエルヴィスのファン、もう半分は能のファンでしたが、それぞれから大きな反響がありました。その時からこの作品に手応えを感じていましたが、シアター能楽のレパートリーの中で、「青い月のメンフィス」が最もレベルの高い作品のひとつになったと思っています。
能というのは筋書きよりも舞を見せるためのものという側面もあって、シテを演じる立場としても、謡が英語であっても日本語であってもあまり関係がありません。同じように、観る人も、言語はあまり問題にせず、舞台の生み出す雰囲気を味わって楽しんでいただければいいと思います。
英語能を通じて、能は日本発祥の文化でありつつも、もはや世界の芸術になったと実感しています。」

会見の最後に

十重田教授

「柳井イニシアティブは、日本文化・日本文学の民衆化、そしてグローバル化をミッションに活動を続けています。現代の日本における能は、必ずしも誰もが楽しめるポピュラーな芸能とは言いにくい状況ですが、そうした中で、このシアター能楽の「青い月のメンフィス」という魅力的な演目を通じて、能楽という日本の伝統文化を、日本の皆さんに再発見していただく契機となるのではないかと考えています。
また同時に、日本文化が日本人だけのものではなく、世界の方々に享受されるグローバルなものであるということを実感していただける機会となるのではないかと思います。」

エメリック教授

「昔、源氏物語を英訳したエドワード・サイデンステッカーは、英語になった源氏物語は気軽に小説として読むことができるということを言っていました。同様に、英語になった能は、難解な古典芸能ではなく、現代に生きる演劇のひとつとして、気軽に楽しむことができるはずです。
日本国内では滅多にない、刺激的かつ魅力あふれる公演ですので、ぜひ多くの方にご観覧いただければと思っています。」

(左から)<br />
ジョン・オグルビー氏、リチャード・エマート氏、Michael Emmerich教授 、十重田教授

(左から)
ジョン・オグルビー氏、リチャード・エマート氏、Michael Emmerich教授 、十重田教授

お申込方法

本公演は、下記ウェブサイトより申し込みを受け付けています。入場無料。

LINK
Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/culture/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる