概要
早稲田小劇場どらま館では昨年度に引き続き今年度も、劇場企画「手探りの準備 2024」を実施してきました。外からは見えづらいのですが、「手探りの準備」は月に一回参加メンバーで集まり、お互いに進捗報告をするという年間企画です。「進捗報告」といっても毎月なにかの成果を上げてそれ評価し合っているのではなく、お互いの現状をコミュニケーションの中で確認し合う活動を行っています。
今年度の振り返り企画では、「進捗報告会」のやり方、そして各参加者の記した毎月の現状──これを私たちは「現在地の観察」と呼んでいます──を並べて展示いたします。それぞれの「現在地の観察」の中では、アイデアを形にしてみたり、イベントを実施して反省したりするだけではなく、日々の仕事に追われたり、体調を崩したりもしています。また、実はいろいろ手を動かしているのに「何もやれていない」と落ち込んだりもしています。なぜか忘れてしまいがちなのですが、創作活動はこういう「舞台裏」に支えられてこそ実現している部分が大いにあるはずです。
稽古場を公開したり創作プロセスを記録したりと、さまざまなところで「舞台裏」を見せるような取り組みが行われ始めて久しいです。非常に重要な活動に思う一方で、その取り組み自体がなんらかの「成果」のようなもの──それゆえに「正しさ」や「おもしろさ」という評価を前提とするもの──にも私には見えます。しかし舞台裏はいつでも見栄えが良いわけではないでしょうし、そうだからこそ偶然や発見、そしてもちろん失敗や反省もあるわけです。その蛇行する軌跡を会場で一緒に辿りながら、創作のプロセスやそれを囲む環境についてともに考えていただけると幸いです。
企画 浜田誠太郎
展示会期
2025年2月22日(土)〜2025年3月2日(日) 10:00~17:00
会場
東京都新宿区西早稲田1-6-1 27号館 地下1階
会期中のイベント
3つのトークセッション「手前の、そのまた手前の創作環境を展げる」
※こちらのトークセッションは予約不要です。直接会場にお越しください。
① 観察する集まり/集まりを観察する
日時:2025/2/23(日) 14:00~16:00
ゲスト:鈴木南音

鈴木南音(すずき みなと)
1995年生まれ。早稲田大学文化構想学部 非常勤講師、日本学術振興会 特別研究員PD。
パフォーミングアーツの創作現場をフィールドに、社会学のエスノメソドロジー・会話分析の方法を使って、知覚について研究しています。演劇が好きで、前世では舞台制作をやっていました。
② 約束する集まり/集まりを約束する
日時:2025/2/24(月祝) 14:00~16:00
ゲスト:旦妃奈乃

旦妃奈乃(だん ひなの)
平成10年10月1日千葉県生まれ。
今が〈いつかの前日〉であるとし、いつかという奇跡へもがき祈る。人が集まる機構や状況を試しており、公園的集団「四日目四回目」、「待ち合わせ」、「アメンボズ」など。演劇世界では演出と呼ばれている。個人活動は「電話がかかってきたら100周走る」「飲料水観察」など。すきなことは落ちている枝やガラスを拾うこと。
③ 練習する集まり/集まりを練習する
日時:2025/3/2(日) 13:00~15:00
ゲスト:内田涼

内田涼(うちだ りょう)
美術作家。2015年武蔵野美術大学油絵学科卒業。絵具の垂れや滲みによって生じた形を起点に構築していく絵画作品を中心に制作を行う。偶然性や他者性といった不確定要素を取り込みながら、形態に宿るイメージの解体や再構成を目指す。近年の主な個展に「ウィンド・ウィンドウ」(2024年,Otherwise Gallery /東京)、「スモークアンドミラーズ」(2024年、清須市はるひ美術館/愛知)、主なグループ展に、『奇数ソックスとノードNurturing Nodes in the Nook of an Odd Sock』(2024年,ギャラリーミヤウチ/広島)、「バグスクール:うごかしてみる!」(2023年,BUG/東京)など。
— — — — — — — —
・web https://ryouchida.work/
・instagram https://www.instagram.com/_ryo_uchida/
— — — — — — — —
企画・進行:浜田誠太郎(どらま館制作部)

浜田誠太郎(はまだ せいたろう)
1996年生。俳優、演劇研究。休み代表。早稲田大学大学院文学研究科表象・メディア論コース博士後期課程。研究の関心は20世紀ロシアの演劇実践とその思想史的背景。どらま館制作部にて読書会やワークショップなどを企画・運営。基本的に都内をボロボロの自転車で移動している。
企画の詳細はこちらもご確認ください。
「手探りの準備 2024」参加メンバーによる振り返り企画
「いいえんぎ(いいへんじの演技体)を探る会」を振り返る会
日時:2025/2/22(土) 13:00~
話題提供:中島梓織 / 聞き手:荻原永璃

中島梓織(なかじま しおり)
1997年8月22日生まれ。茨城県出身。早稲田大学文化構想学部卒業。劇作家・演出家・俳優・ワークショップファシリテーター。いいへんじ主宰。個人的な感覚や感情を問いの出発点とし言語化にこだわり続ける劇作と、くよくよ考えすぎてしまう人々の可笑しさと愛らしさを引き出す演出が特徴。創作過程における対話に重きを置いて活動している。代表作に、『夏眠/過眠』(第7回せんだい短編戯曲賞最終候補)、『薬をもらいにいく薬』(第67回岸田國士戯曲賞最終候補)などがある。
演劇をする:上演の分解
日時:2025/2/22(土) 14:00~
企画:荻原永璃 / ゲスト:内田倭史

荻原永璃(おぎはら えいり)
1989年生まれ千葉県出身、琉系二世。演出、劇作。会社員。より良く生きるための演劇を標榜し2012年よりアムリタを旗揚げ。2014年、利賀演劇人コンクール奨励賞受賞。近作に、奈良・町家の演劇祭はならぁと参加「ふたたび、(奈良・喜楽座)」、松井文の楽曲からつくる「他人によせて(東京・荒川河川敷)」、「虚構の恋愛論2018(東京・BUoY)」。

内田倭史(うちだ まさふみ)
1996年生。大分県出身。俳優・脚本・演出。王子小劇場職員。2016年に劇団スポーツを旗揚げ。“わかっちゃいるけどやめられない“をテーマに創作を行う。俳優としての主な出演作は『福島三部作・第一部 1961年:夜に昇る太陽』や映画『ビューティフルドリーマー』など。最近は「葛藤クラブ」という、葛藤で遊ぶ集まりを開いている。
山本が手探りの準備でやったこと、そして今やること
日時:2025/2/23(日) 13:00~13:30
話し手:山本健介

山本健介(やまもと けんすけ)
1983年生まれ、埼玉県出身。脚本家。早稲田大学第二文学部卒業。2007年にThe end of companyジエン社を旗揚げ。以降ジエン社の全作品の脚本と演出を務める。2016年、「30光年先のガールズエンド」が岸田國士戯曲賞最終選考にノミネート。2015年『30光年先のガールズエンド』にて第60回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネート。現在は映画脚本など中心に活動中。
亀川ふみか「振返旧日」「0週0日」
日時:
「振返旧日」 2025/2/24(月祝) 13:00~13:30
「0週0日」 2025/3/1(土) 12:30~13:00
登壇:亀川ふみか

亀川ふみか(かめがわ ふみか)
東京都在住。企画、役者、店番。たまに書き、踊る。関心の軸は言葉とこころ。大学では社会学・日本語文法・国語教育を学び、ライフストーリーと日記執筆を研究していた。人が生き延びるための工夫として、社会の毒をワクチン化する手段を探っている。近作に『あく魔憑き』作・演出、「25歳のボーリング調査」企画など。週末は野外劇を観に全国へ赴き、いつかの市街劇を夢見ている。
1月〜2月の豊田作品振り返り会
日時:2025/2/26(水) 18:00~
会場:早稲田大学学生会館W507 ※ワセダギャラリーではありませんのでご注意ください
進行:浜田誠太郎(どらま館制作部)
「手探りの準備 2024」から派生して実施していた別チームでの進捗報告会に参加いただいていた豊田ゆり佳さんのここ最近の作品を振り返ります。

豊田ゆり佳(とよだ ゆりか)
1999年生まれ。4歳よりクラシックバレエを始める。2021年 立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。振付家・ダンサーの砂連尾理研究室。 2021 年東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻入学。2023 年パリ国立高等美術学校 ( École Nationale Supérieure des Beaux-Arts) に交換留学。ダンスの振付における支配構造に興味を持って作品制作を行なっている。
ギャラリー・トーク
日時:2025/2/28(金) 14:00~
ゲスト:笹倉良太
進行:浜田誠太郎(どらま館制作部)

笹倉良太(ささくら りょうた)
2000年生まれ。京都府出身。早稲田大学文化構想学部卒業。脚本・演出・俳優。2023年にサークルの同期と演劇ユニット「ワヲン」を旗揚げ。「ヒーローになりたくてもなれなかった、それでもなりたいと願う人の小さな、しかし確かな祈り」をテーマに作品作りを行なっている。
トーク:「生活と制作」マツモトタクロウ×亀川ふみか
日時:2025/3/1(土) 13:00~
登壇:マツモトタクロウ、亀川ふみか

マツモトタクロウ
1998年岡山県生まれ。CM・MV・映画等、映像作品の制作に携わる傍ら、2022年にクリエィティブチーム「劇団ヅッカ(DUKKHA)」を旗揚げ。以降、演劇作品をはじめとし、音楽作品や雑誌の制作、クラブイベントのオーガナイズなど、ジャンルレスに活動する。現在は自身初の長編映画を鋭意制作中。
わたしどうしで集まること
日時:2025/3/1(土) 14:30~
登壇:上牧晏奈、宮崎晋太朗、なかのはるか、他

上牧晏奈(うえまき あんな)
1996年生まれ、北海道育ち。脚本家。早稲田大学文学部卒業。もちもちという演劇などをやるチームの脚本・演出担当。切実に、それでもゆかいに、人やものを描く。療育の保育士になったことがきっかけで、「発達の個別性」「発達の個別性についての社会の認識・制度」「福祉職の労働環境」「子どもの表現活動」に関心を持つようになる。好きなものは、タイ料理とミルクティーとスナック菓子と低反発まくら。よく寝る。

宮崎晋太朗(みやざき しんたろう)
1984年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業後、俳優として演劇活動に携わる。2018年より早稲田小劇場どらま館に劇場担当職員として勤務し、2023年秋まで劇場運営や企画制作を担当。現在は、福祉の視点から文化事業を捉え直し、生活と文化に根差した個々人の権利擁護にも関心を寄せている。
ガイドライン
本イベントは『早稲田大学におけるハラスメント防止に関するガイドライン』および『どらま館主催イベントにおけるコミュニケーション・ガイドライン』に則って開催いたします。
以下のリンクから書面を開き、ご参加の前にご一読いただきますようお願いいたします。