Waseda University Honjo Senior High School早稲田大学 本庄高等学院

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学院について

From the Dean

学院長挨拶

路地と大通り

恐らく、このWebサイトをご覧になる方の多くは受験生やその保護者の皆様でしょう。そのような視点から、以下にご挨拶を述べます。


現在の学院長の立場になる前、私は毎日のように部活動のテニスコートに出かけ、部員たちと一緒に練習しておりましたので、運動不足ということはあり得ませんでした。学院長になり、デスクワークが増えてまいりました。昨年10月、主治医から「運動不足の解消のため、週3回は1時間程度の散歩をしてください」と指導を受けました。学校にいる間、仕事の合間を縫って緑の木々の中を散策することは理想ですが、雑務で継続できないことは目に見えています。自宅でも、毎朝1時間早く起きて散歩することは、見た目爽やかですが、自分のルーズな性格はそれを継続させないでしょう。考えた挙句、やれるとすれば帰宅してすぐだなと思いました。自分一人でやると、あれこれ最もらしい理由をつけて三日坊主で終わることは目に見えているので、妻にお願いして付き合ってもらうことにしました。昨年12月までは雨天時と出張時を除いて毎晩継続できました。さすがに、1月に入り入試や3年生の大学進学業務が入って帰りが遅くなり、「寒い中無理して散歩して風邪をひいたら入試業務に支障をきたす」などと自分の意思の弱さを最もらしい言い訳を妻に主張しました。3月9日、卒業式を終え、気温も上がりそのような言い訳が通らなくなさそうな冷たい夫婦間の空気を感じ、散歩を再開しました。

現在、NHKの日曜日夜8時からの大河ドラマ「べらぼう」で江戸後期の庶民文化が取り上げられています。今は、関東の地方都市の1つである本庄市は江戸時代、中山道における最大の宿場町でした。現在の本庄市内の中山道の周辺には大きな寺院、神社、江戸時代の大名向けの旅館である本陣の門などが残っており、当時の繁栄を偲ぶことができます。明治時代以降本庄市は、日本開国後の主産業となった絹産業の一大集散地となり、その繁栄は戦後まで続きました。その頃の洋館やレトロな商店の名残も見ることができます。

旧本庄警察署(明治16年)

私の散歩はその辺を中心に、気の向くまま歩きます。最初は大通りを歩いていましたが、同じコースだと飽きてくるので、細い路地を巡るようになりました。路地を歩いて、本庄に40年近くも住んでいながらこんなにも今まで通ったことのない通りがあることに驚きました。小さな飲み屋さん・スナック・和菓子屋さん・床屋さんを毎日のように発見します。窓からおばあちゃんが売ってくれる、夜だけ不定期営業している小さな焼き鳥屋さんは、散歩の帰りにその後の晩酌用に4本買うことが楽しみになりました。11月初旬の本庄祭が近づくと、そこかしこの公民館に子供たちが集まりお囃子の稽古が始まり、「チントンシャン」という音が聞こえます。クリスマスが近づくと、お庭のイルミネーションが増えて華やかになります。夜に歩いているとわかりませんが、たまの夕方同じ道を通ると庭に綺麗な花が咲いていて見入ったりします。家の方が植物のお世話をしていたので、「綺麗ですね」と声をかけたら「どうぞ、お宅で生けてください」とお花をいただいたこともありました。

市役所や病院、学校などの目的地へ行くために、大通りを通ると短時間で確実に到着できるかもしれません。今のようにGoogle Mapがあれば最短時間で目的地に到着できます。しかし、一昔前であれば「そっちの方向にある」とイメージしながら、近道を探したり、途中で買い物をしたいなどと、ともすれば大通りから路地に迷い込みます。そこには大きなビルや小洒落たレストラン、ブティックはありません。住宅や小さなお店ばかりです。しかし、そこで得られる季節の風情、小さな発見やハプニングは、路地を歩いてこそ得られる貴重な経験です。そんな路地を歩いていると、人生も似たようなものだと思えてきます。目的地へ最短で到着できる人は稀でしょう。ほとんどの人は自分から望まないのに路地に迷い込み、遠回りを強いられます。ひょっとしたら迷い込んだ路地を行き来するうちに目的地とは全く異なる場所に行ってしまうかもしれません。しかし、路地を歩いている間に得た経験や知らない人との交流は大通りだけを歩いた人にはない経験です。知らないうちに確かに、私たちの人間性を深めることに寄与しています。

受験生の皆さんには将来の夢がありますか?夢があってもなくても、高校生活では、好奇心の赴くまま路地に入り込んでください。色々なことにトライしてみてください。人生のGoogle Mapが示す最短経路では得られない、新しい価値観やモチベーションが生まれてくるかもしれません。ひょっとしたら、自分が今まで夢だと思っていた方向とは別の方向に興味が湧くかもしれません。問題意識や課題意識を抱くかもしれません。そして、そのことで努力する時間や悩む時間が増えるかもしれません。しかし、その過程は知らぬ間にあなたの人間性を豊かにしてくれます。そこで得られた人間関係と知識、経験は将来あなたの人生を豊かにしてくれます。

早稲田大学総長である田中先生はご就任以来、スローガンとして「世界で輝く早稲田」を掲げ、その具体的な方向の1つとして「貢献の早稲田」を提唱していらっしゃいます。国語数学英語といった明治時代以来の古典的な教科枠に囚われた知識伝達型の授業はもう古いのかもしれません。皆さんには、環境問題や戦争のような、世界中に存在する、答えのないしかも緊急を要する問題を解決するための柔軟な思考力と強靭なリーダーシップが問われています。これらの問題は喫緊の世界的な課題で、解決しないと地球自体がいずれ死の星となってしまいます。ここに及んで、理系文系という狭い視野では太刀打ちできません。これからの高校は「知識を得る場」ではなく、「社会に役立つことを学ぶ場」でなくてはならないのです。単なる知識だけではなく、「社会に役立つこと」を提供できる高校がこれからの時代、存在感を強めていくことでしょう。本庄学院はそのような高校でありたいと努力しています。

本庄学院は首都圏から遠く、交通の便はお世辞にもいいとは言えません。しかし、キャンパス内を毎日歩いていると、四季の草花や鳥の鳴き声が皆さんを出迎えてくれます。それは首都圏の高校にはない経験です。その経験は、残念ながらスポーツや語学のように目に見える即戦力として現れません。皆さんの考え方や振る舞いの中にさりげなく現れる程度のものです。ひょっとしたら皆さんが将来家族でハイキングして子供に聞かれた時に「この鳴き声はホトトギス」「この花はタチツボスミレ」と答えられる程度のことかもしれません。自分の部屋にお花を飾ってみようと思う程度のことかもしれません。しかし、その程度のことが長い目で見ると、皆さんの人生の彩りにつながります。自然破壊や環境問題に一層関心を持つかもしれません。そのことはひょっとしたら皆さんの将来の方向を左右するかもしれません。これからの3年間は、皆さんが知らないうちに確かに、あなたの人間性を深めることに寄与します。そして、知らず知らずのうちに得たみずみずしい情操・感受性と学んだ「社会で役立つこと」は、きっと皆さんを、世界を変革するリーダーに成長させてくれることでしょう。

キャンパスで見つけたキンラン

高校生活では、中学生活よりも関わる人間の範囲も広くなりますし、勉強や部活動も大変になります。中学の時よりも、深い挫折や困難に遭遇するでしょう。人間関係や進路に深く悩むこともあるでしょう。でもそこで挫けないでください。なんとか踏ん張ってください。辛い時ほど、意識して笑顔を作ってください。楽しいことばかりの人生は本当に楽しいのでしょうか。辛いことがあるからこそ、その対比として喜びがわかります。より高くジャンプするためにはより深くかがまなくてはならないように、困難の先にはより深い新たな喜びが待ち構えています。より成長した自分がそこに待ち構えています。

特徴ある授業科目、探究活動、課外プログラムの中で過ごす深い杜の中での3年間の本庄学院生活は、入り組んだ路地歩きのようなものかもしれません。数々の経験の中で、豊かな人間性と素養を身につけ、皆さんは早稲田大学に進学します。

本庄学院はそんな高校です。

半田 亨
HANDA Toru
Principal, Waseda University Honjo Senior High School

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