8月13日(水)〜17日(日)の日程で、台湾の台南市にある国立台南第一高級中学(台南一中と略)と本庄学院河川研究班12名との合同河川調査を、台南市を流れる曽文渓上流部において実施しました。以下に、その報告を致します。
8月13日(水)
おりしも台風11号がこの日の午後、台南市を直撃するという天気予報に、このプログラムが実施できるかどうか、不安を抱きながら羽田空港に向かった。飛行機は予定通り飛ぶとのことであったが、台湾では台風が来ると「颱風假」と称し、自治体が商店・学校・会社など一切の活動を禁じてしまうため、台南まで行けるのか?台南で食料にありつくことができるのか?不安だらけであった。飛行機は、台北到着間際が最も揺れ、飛行機酔いをするお客さんも多かった。到着した台北は晴れであった。この日の新幹線は、間引き運転で全て自由席とのことだった。台中までは曇天であったが、嘉義を過ぎるあたりから雨天になり、台南到着時はひどい暴風雨であった。ローカル線もバスも全て運行停止で、どうやってホテルまで辿り着こうか、途方に暮れていたところ、新幹線駅のインフォメーションセンターの方が、「あの日本人の団体、困っているな」と思ったのか、タクシー4台をかき集めてくださった。おかげで、なんとかホテルにたどり着くことができた。台湾人の親切心が身に染みた日だった。台南では全てのレストランが休止だったので、台北駅で駅弁を購入したことが正解だった。
台南市は台湾の古都であり、日本の統治時代の建物も多くがリノベされ再利用されている。驚くほど多くの建物が大事に使われている。また、B級グルメのメニューが豊富で食べ道楽ができる街である。台湾の教科書や映画で紹介された八田與一のダムが近くにある。文化財も多く、見所の多い街である。

左は森山松之助設計の旧台南庁舎(現国立台湾文学館)、右は旧台南合同庁舎(塔の左側が消防署・右側が警察署)
8月14日(木)
9:00 台南一中主催歓迎式典。生徒による歓迎の管弦楽の後、廖校長挨拶、学院長挨拶、台南一中生徒代表挨拶、本庄学院生徒挨拶、記念品の交換が行われた。廖校長は台中一中の教務主任時代、2018年修学旅行引率で本庄学院を訪問しており、その点でも会話がしやすかった。今回バディを務めた生徒たちは、1学年19クラスの中の第19組、特別理系クラスで、難関大学・医学部を目指す選抜クラスの生徒である。台南一中は基本、男子校であるがこのクラスのみ、3学年で20名ほどの女子が在籍しているとのことであり、今回の交流にも16名のバディ中5人の女子が参加していた。

オープニングセレモニーでの学院生の自己紹介

オープニングセレモニー後の記念撮影
10:00 キャンパスツアー。多くの、赤い煉瓦の古いバロック形式の校舎が今も使われており、台南市の文化財に指定されている。キャンパスの真ん中には樹齢100年の大きなガジュマルがあり、学校のシンボルとなっている。

台南一中のシンボル、樹齢100年のガジュマル

バロック調の赤煉瓦の建物

台南一中の正面
驚いたことに、校舎の中には博物館がいくつかあり、学校の歴史、学校が所有する陶磁器・文化財が展示されていた。陶磁器のコレクションは一般の博物館を思わせるほど充実していた。隣は広大なキャンパスを有する国立成功大学で、台南駅の東側は成功大学と台南一中などで構成される広い文京区域になっている。

校内の博物館のツアー
13:30 本庄学院による学校紹介・河川研究班活動の紹介・パフォーマンス。パフォーマンスは盆踊りを紹介し、最後は台中一中生・教員を含め、全員で踊ることになった。

本庄学院の紹介プレゼンテーション

盆踊りのパフォーマンス
15:30 台中一中生による、表彰された研究2本の紹介。
16:30 校舎近くの文化遺跡・寺院の見学。たまたま通りかかったご婦人が日本語を話している生徒たちに声をかけてくださった。聞くところによると早稲田大学第一文学部(当時)修士卒業の方で、現在台南にお住まいとのことであった。
18:00 台南一中校長による歓迎夕食会。

校長招待夕食会で、廖校長が学院生に話しかけている様子
8月15日(金)
8:00〜11:00 郊外の曽文渓での河川調査。行ってみたところ、河川の上流部分で大きな丸い岩がゴロゴロしており、日本の河川環境とは大きく異なる。また、前々日の台風の影響か水が白く濁っており、日本の河川と違い岸に植物がないため、生態系が貧しいのではないかという印象を受けた。指導は、台南一中の生物教師である林先生が行った。林先生は台湾河川の生態系の研究をしている専門家とのことである。

川に入る前の注意の後の記念撮影

曽文渓上流の様子
昼食後、近くにあるマンゴーの産地として有名な玉井で自由行動。両校の生徒たちは、市場の中でマンゴーかき氷を楽しんでいた。台北などと比べて値段は2割ほど安くマンゴーの量は2倍くらいあることに驚き!

玉井のマンゴー市場、日本では1個5000円もするようなマンゴーが5個で700元程度(約3500円)で売られている。
学校に戻り、河川調査の成果を6つの班ごとにまとめ、それに対して林先生がコメントを行った。
この後、茶道部員の2名から廖校長と林先生へお手前でお礼。
夕食後、生徒たちはバディに連れられ、夜市を楽しんだ。
8月16日(土)
台南から台北へ移動。ホテルで1年間本庄学院で学び7月に帰国したサクさん、台北に帰省していた武田さんと合流。市内研修。夕食後、士林夜市を散策。

中正紀念堂

士林の夜市
8月17日(日)
午前中、市内研修。午後松山空港へ。羽田空港到着後、解散。

台北101
台南一中の廖校長先生、コーディネートして下さった謝先生、河川調査を指導して下さった林先生をはじめ、関わって下さった先生方、バディの皆さんにこの場を借りて感謝申し上げます。2日間の交流でしたが、実に内容の深いものになりました。また、採取できた生物は少なかったのですが、台湾の河川環境を垣間見ることができたことは、貴重な体験でした。