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【PI飛躍プログラム 研究事例】テキストに潜む人間の多様な感情を分析する

統合報告書 -Vision Report- 2023-2024

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Tue 14 Jan 25

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Tue 14 Jan 25

早稲田大学の学術研究や教育は、そのどれもが人類社会に貢献するためにあります。
世の中にインパクトをもたらす先端的・独創的な研究から、全学共通の文理を超えた教育への取り組み、そして学生たちがキャンパス内外で重ねる日々の挑戦まで、早稲田大学ではさまざまな活動が展開されています。
その中でも社会的インパクトの強い活動内容とその成果を報告します。

 

※本記事は、「統合報告書 -Vision Report -2023-2024」からの記事です。

プロパガンダを研究する国際プロジェクトに参画

コンピュータを用いて言語を分析するComputational Linguistics(計算言語学)が私の専門です。PI飛躍プログラムでは、デジタルテキストに含まれる人間の感情表現を、機械学習を使って分析する研究に取り組んでいます。より具体的には、ソーシャルメディアの書き込みやウェブニュース記事といったインターネット上のテキストについて、そこに含まれる書き手の喜びや怒り、悲しみなどの精緻な感情を、自動で検出する仕組みを作ろうとしています。また、特定の思想や主義に誘導しようとするプロパガンダにも注目。どのような感情表現によってプロパガンダが広がり、読む人に影響を与えるのかを分析する研究を、フィンランドのLUT大学や英国ケンブリッジ大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究者らと共同で進めています。

PI飛躍プログラムの支援を受けて、授業負担の軽減やリサーチアシスタントの雇用が可能になり、研究により多くの時間を費やせるようになりました。学内のメンター教員から研究アドバイスを受けられることも本プログラムの特色です。クラウドコンピューティングシステムの活用方法など、研究環境の整備について助言を仰ぎたいと考えています。

誤情報やフェイクニュースの拡散防止にも

テキストデータの精緻な感情分析モデルが実現すれば、これを駆使してさまざまな社会課題の解決に貢献できる可能性があります。例として、インターネット上の誤情報やフェイクニュース、プロパガンダの自動検出への応用が考えられます。現在、X(旧Twitter)には、誤解を招く可能性がある投稿に対して他のユーザーが背景情報を提供する「コミュニティノート」の機能があります。こうした注意喚起を、AIが人に代わって自動で正確に行うような仕組みも可能になるでしょう。人々が情報を適切に取捨選択できるようガイドすることは、社会の分極化を防ぎ、より良い未来を築くことに役立つと考えます。GPTをはじめとする生成AIの進展が目覚ましい今、感情分析の技術はさらに重要になるはずです。文学や心理学、メディア・コミュニケーション研究の専門家などとも学際的な連携を図り、研究を発展させていきたいと思います。

教育面では、2022年度に担当したプログラミングの授業で「WASEDA e-Teaching Award 大賞」を受賞しました。今年度は担当ゼミで、自然言語処理に関する論文をゼミ生全員と共同執筆しジャーナル発表するなど、新たな取り組みも進めています。研究活動と並行して、学生にとって学習効果がより高い授業を引き続き追求していきます。

オーマン エミリー OHMAN, Emily

2024年04月-継続中
LUT University   Master’s programme in Social Sciences and Communication Sciences Visiting Professor

2021年04月-継続中
早稲田大学   国際教養学部   講師

研究者情報:https://w-rdb.waseda.jp/html/100002999_ja.html

研究者の育成・支援
キャリアステージに応じた最適なプログラムの提供

早稲田大学では、研究者の各キャリアステージに対して最適な支援策を実施することを目指し、戦略的に制度設計をしています。近年では重点施策として以下の研究者育成・支援プログラムを企画・運営しています。

次代の中核研究者育成プログラム

国際研究大学としての地位確立の担い手となる中核研究者を育成することを目指し、研究の業績や内容を踏まえた厳しい審査により対象者を選定し、状況やニーズに応じた支援を行います。

PI飛躍プログラム

挑戦的・独創的な研究に果敢に取り組み、独自分野の開拓を目指すPIを支援対象とし、研究促進費の助成、研究ネットワーク拡大や大型外部資金獲得、産学連携、国際共同研究、アウトリーチなどの活動支援を通じて、 研究者として世界に飛躍することを全学的に後押しします。

研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業

従来雇用関係を有していなかった特別研究員(PD・RPD・CPD)のうち雇用を希望する者を直接雇用することで、若手研究者への支援を拡充し、 安心して研究に専念できる環境を整備します。

※ 2023年度に日本学術振興会の「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」に申請し、本学は雇用制度導入機関として登録されました。

早稲田オープン・イノベーション・エコシステム 挑戦的研究プログラム(W-SPRING)

経済的支援および、産業界で幅広く活躍するための素養を身に付けるためのキャリア開発・育成コンテンツの提供等を通じて、我が国の科学技術・イノベーションを担う優秀で志ある博士学生の多様なキャリアパスの確立を目指します。

※ 国立研究開発法人科学技術振興機構の支援を受けて実施しています。

早稲田次世代AIイノベーション・エコシステム 挑戦的研究プログラム(W-SPRING-AI)

経済的支援および、次世代AI分野に関する高度な専門性と研究遂行能力を身に付ける機会の提供により、国家戦略分野に指定されている次世代AI分野を開拓・牽引する志と能力を持つ博士学生の育成を目指します。

※ 国立研究開発法人科学技術振興機構の支援を受けて実施しています。

「統合報告書 -Vision Report -2023-2024」

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