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日経ビジネスに寄稿「世界的に短い日本人の睡眠、生産性の低さの原因に」-睡眠改善施策の効果検証について-

教育・総合科学学術院の黒田祥子教授とSGU実証政治経済学拠点のメンバーである政治経済学術院大湾教授の寄稿記事が『日経ビジネス』10月18日号に掲載されました。

睡眠と仕事の生産性との関係について、事故や労働災害等が睡眠不足や睡眠障害に起因することを示す研究はあるものの、一般労働者対象に睡眠がどの程度仕事のパフォーマンスに影響するかを分析したものは少なく、また睡眠が生産性に影響を与えたのか、別の要因が睡眠と生産性の両方に影響を与えたのか因果関係が明らかでないものが多いと指摘する。

そこで、両教授と大湾研究室・経済学研究科博士後期課程2年・川太悠史氏は大手製造業に勤務する従業員対象にRCT (ランダム化比較試験:Randomized Controlled Trial)を実施し、睡眠と生産性改善の効果の検証結果をもとに次のような寄稿をしています。

世界的にも短い日本人の睡眠、生産性の低さの原因に:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

検証成果の詳細は経済産業研究所のHPに掲載されています。

睡眠改善アプリを用いた健康経営施策が生産性に与えた影響:RCTに基づく検証

ここでは、その実証実験を実施した川太氏のコメントを紹介します。

個人ではなく、企業が健康投資の主体となる「健康経営」は、近年では多くのビジネスパーソンにとっても馴染みのあるテーマとなってきました。特に、経済学の観点からは、企業が健康投資の主体となることによって、効率性を改善できるかという点は重要な問いです。本研究においては、「健康経営」の主体である企業が、社員の健康状態(本研究における「スリープヘルス※1」)が改善するだけではなく、投資に見合ったリターンが生じているか明らかにすることも狙いです。それゆえ、「睡眠の改善を通じて生産性が改善する」点を明らかにできた意義は大きいと考えています。なお、自身のスリープヘルスの低下や、それを通じた生産性の低下は、無自覚に起こり得ます。社員の自主性だけに任せるのではなく、企業側が、保有するデータを活用し、スリープヘルスを改善するための介入施策を検討する意義があります。

本研究を知ってくださった多くの方が、スリープヘルスという概念や、健康経営とその効果検証に関心を持ち、実際に自分の企業でも効果的な介入を行いたい、また、効果的な介入についてRCTを通じて検討したいとお考え頂けると嬉しいです。加えて、「労働者・社員」に対する施策の効果検証を行う場合、人事データの活用は不可欠です。本研究では、社員の職務を含む属性情報や、プレゼンティイズム調査など、様々なデータをご提供いただきました。健康経営に関する施策の検討が、効果検証やデータ活用とセットで進むことを期待します。

※1 Buysee (2014)により提唱された概念を指す。従来の研究で睡眠は「病気ではない」状態となれば良しとされてきたが、Buysee (2014)は、人々の厚生やパフォーマンスにポジティブな影響を与える睡眠の在り方を考えていくべきと主張している。

*川太氏はSGU実証政治経済学拠点が受講をサポートするEssex Summer School online 2020にも参加し、自身の研究においても着実な成果を上げています。 指導教授である大湾教授との共著である最新論文 ”Peer effects on job satisfaction from exposure to elderly workers”  はJournal of the Japanese and International Economies Vol.63, March 2022にて発表される予定です。

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