2016年夏、早稲田大学SGU実証政治経済学拠点は本学海外協定校であるエセックス大学と共同で、エッセクスサマースクール@早稲田([email protected])を立ち上げました。以来、2019年まで4年に渡り、毎夏本学学生を中心に他学の学生にも門戸を開き、質の高い教育を提供してきました。しかしながら、新型コロナウィルス感染症が猛威を振るう中、本年度は対面授業形式のサマースクール開催を断念せざるを得ませんでした。一方、エセックス大学がエセックスサマースクールin SSDA(Social Science Data Analysis)をオンライン形式で開催するという決定を受けて、今まで両大学間で構築した良好な関係性を断ち切ることなく、継続的に本学の学生に貴重な学習機会を提供するため、本拠点は参加学生への助成を決定しました。
ESS in SSDA online 2020 Course List
早稲田生14名は、8月10日〜21日、2週間のSession 3に参加。11の様々なコースが用意されており、内5名は昨年のESS@WASEDAでも開講された3B Quantitative Text Analysisを受講しました。
過去4年間の[email protected]の詳しい様子はこちらから。
SGUプロジェクトの助成を受けた学生への受講成果調査によると、日英間の時差がありつつも非常に熱心にこの2週間のコースに取り組んだことがわかりました。
講師陣もTAも有能かつ親切で、受講生は必要十分なサポートを受け、授業に臨むことができました。また、早稲田の学生たちはオンラインで、多様なバックグラウンドのクラスメートに出会い、普段とは価値観の異なる議論を楽しんだようです。 コース全体の内容に対する評価も高く、その成果を将来の研究に役立てたいという感想が多く寄せらせました。
この結果を受け、今回のオンライン受講への助成は彼らの将来にとって非常に有益で重要であったと感じています。今後も上質なオンライン授業を受講する機会があれば、積極的にサポートしていきたいと考えています。
野中 友貴 政治学研究科修士課程2年
3I: Web Scraping and Data Management for Social Scientists
(授業シラバスより抜粋、一部加筆)
- 1日目:Rとtidyverseの復習(dplyr, tidyr)
- 2日目:Rのプログラミングの復習(functions, conditionals, iteration)
- 3日目:ウェブAPI入門(APIとは、RTweetを用いたツイッターデータの収集)
- 4日目:APIクエリーの書き方(The New York Times Article API)
- 5日目:ウェブスクレイピング入門(ウェブサイトの仕組み、HTMLとCSS、Selector Gadget)
- 6日目:RVestを用いたウェブスクレイピング
- 7日目:Seleniumを用いた主にJavaScriptで作成されたサイトのスクレイピング
- 8日目:テキスト分析1(前処理、辞書、特徴の抽出)
- 9日目:テキスト分析2(構造的トピックモデル)
- 10日目:GitHub入門
本授業は、講義セッションと演習セッションの組み合わせで構成されていました。したがって、新しい概念でも比較的容易に理解することができ、新たに学んだスキルを実際の問題に適用することができた点が良かったです。 本授業を通して、インターネットからデータを収集する複数の方法や、収集したデータの前処理と整理をどのように行えば良いのかを学ぶことができました。受講を終え、データ分析のスキルを自身の研究で使用することに対して、以前より自信がついたと感じます。私が研究で収集したいデータはフォーマットがそれぞれ異なる為(PDFやHTML)、今回授業で学んだ知識をフル活用してデータ収集等に取り組む所存です。
正直なところ、10日間に渡って(8時間の時差の影響で)深夜に授業を受けるのは大変な時もありましたが、非常に実用的で為になる授業だったので受講して本当に良かったと思います。また、実地開催であれば時間的制約から参加することは難しかったと思うので、今回修論執筆に必要なスキルをオンラインで受講する機会に恵まれ、大変有り難かったです。来年も開講されるようであれば、ウェブスクレイピングやデータ分析全般に興味がある方に是非お勧めしたいと思います。
私は中学生の頃、自分の語学力に自信が無かったせいで、当時興味のあった課外活動に参加することを躊躇ってしまった経験があります。だからこそ、語学面で不安を感じることなくESSを受講し、新たな知識を吸収できることに幸せを感じると共に、語学が世界を広げてくれることを改めて実感しました。また、今回のように初対面の人々とオンラインで相談しながら課題に取り組むのは初めての経験でしたが、そうした状況でも臆することなく議論に参加できたことは自身の成長につながったと感じます。今回のESSでの貴重な経験、そして有難いことに国際的な環境で生活したり、複数の語学を習得したりする機会に恵まれてきたこれまでの経験を活かし、将来は海外でもキャリアを積みたいと考えています。そして、今後も様々な国際的な経験や語学力の向上を通じて、いずれは日本と世界の架け橋となり社会に貢献できるようなグローバルリーダーを目指していきたいです。
川太悠史 経済学研究科 博士過程1年
3N Advanced Machine Learning for Social Scientist
講義では機械学習の基本的な手法が紹介された。複数の手法を比較することでどのような目的の場合にどの手法がマッチしているかを理解することができ、実際に機械学習で研究を行っている教授のコメントも有意義だった。
機械学習の手法については知っている内容も多かったが、改めて具体例や演習とともに学ぶことで、実践できるようになったと感じる。例えば”Validation-set approach”や”k-fold cross validation approach”は何度もエクササイズで行ったが、モデルを検討する際には今後も活用してみたいと感じる。 加えて大半の時間を費やして、Rのコードやパッケージの解説が行われた。これまではRのコーディングには不慣れだったが、解説を通じて理解を深めることができた。
私自身の研究分野においては、モデルの予測精度よりも事象の説明が重視されている。そのため、基本的にはこれまで私が行ってきた線形モデルでの分析を今後も行うことになるだろう。機械学習を使った論文を書くというよりは、むしろ変数の取捨選択やモデルの選択の際に講義で学んだことを活かすことになるだろう。一方で、今後も自身で他の機械学習の手法についても学び理解を深めたい。今回の講義では扱わなかった数学的な背景についても学びたいと考えている。
〜最後に今後の受講を考えている皆さまへ〜
講義のオンライン化により、例年では開講していない授業やトークセッションに、日本に居ながらにして参加することができました。ぜひこれを学びのチャンスと捉えて積極的に参加してみてはいかかでしょう!