セミナー「A Spatial Theory of Reading Newspapers」を開催
SGU実証政治経済学拠点は、現代政治経済研究所(WINPEC)・世論調査方法論研究部会(部会主任:日野愛郎)と共に、11月26日(火)に空間理論、投票行動研究等において広くご活躍されているLuigi Curini教授(ミラノ大学, イタリア)をお迎えして「A Spatial Theory of Reading Newspapers」に関するセミナーを実施いたしました。セミナーでは、新聞社の競争と新聞のイデオロギーについて、空間理論を用いて検討する最新の研究を紹介していただきました。
Curini先生には、秋学期、政治経済学部、ならびに政治学研究科において「Applied Scaling & Classification Techniques in Political Science」の授業をご担当いただきましたが、セミナーではまず、新聞が政治的イデオロギー上に分布することを示した上で、その分布が、潜在的な読者を最大限獲得しよう(読者数の最大化を図ろう)とする新聞各紙の競争などによって、どのように説明されうるかという研究の問いが設定されました。
続いて、主要全国紙(7紙)が分極化した状態にあるイタリアで、独自の世論調査データを利用し、これまで政党競争の研究で発展してきた空間モデルの新聞の競争の分析への応用可能性について指摘されました。そして、新聞購読数が全体的に減少して激しい市場競争に直面した新聞各紙が、コアとなる読者を確保するために、そうした読者のイデオロギーを反映したことで、政治的に分極化した状態が生まれたという研究結果を紹介されました。
報告後のディスカッションでは、本研究の意義のほか、参加者の新聞購読習慣とCurini先生のモデルを照らし合わせるなど、活発な議論が行われました。近年注目を集めている、政治やメディアの分極化に関する最新の研究動向を知る大変有意義な機会となりました。