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News through 2023

2023年度までのニュース

UCLA国際ワークショップ・シンポジウム・研究生発表会「Technologies of East Asian Performance」を共催

Technologies of East Asian Performance

2018年3月29日~31日の3日間、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(以下、UCLA)にて、柳井イニシアティブグローバル・ジャパン・ヒューマニティーズ・プロジェクトの一環として、UCLAと早稲田大学スーパーグローバル大学創成支援事業国際日本学拠点との共催にて、「Technologies of East Asian Performance」と題した国際シンポジウムが開催されました。

児玉教授によるワークショップ

シンポジウムに先駆けて初日の29日には、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館副館長児玉竜一氏(本学文学学術院教授)によるワークショップ「Technologies and Methodologies in Japanese Theater Studies」が開催されました。本ワークショップでは、演劇博物館の資料収集・展示・イベント・研究・出版についての紹介があり、デジタル・アーカイブ・コレクションを利用した博物館所有の資料公開について、映像を交えながら解説がおこなわれました。さらに、日本演劇研究に関する資料についても詳しく説明され、新たに閲覧可能となった「くずし字」表示システムや、日本の演劇研究の例として「超歌舞伎」のような最新テクノロジーと日本の伝統芸能とのコラボレーションについても触れられました。前半と後半の通訳を務めたのはUCLAのMichael Emmerich氏(UCLA准教授)と嶋崎聡子氏(南カリフォルニア大学、以下USC准教授)でした。詳細で分かりやすい講演に、参加者は熱心に耳を傾けました。

Reading Performanceの様子

夕方には作家の多和田葉子氏、詩人の菅啓次郎氏とプログラマーのMatthew Fargo氏によるパフォーマンス朗読会が開催されました。「Common Confusions」と題したこの朗読会では、AIプログラムを駆使した多和田氏の数々の作品が英語、日本語やドイツ語など多言語で上演され、会場で繰り広げられる生の朗読とともに参加者を魅了しました。

 

30日~31日にかけてはシンポジウムが開催されました。
シンポジウム初日はMichael Emmerich氏と嶋崎聡子氏が開会の挨拶を述べ、今回の国際シンポジウムの趣旨を紹介した後、研究者による発表が始まりました。
嶋崎氏は発表で、五代目尾上菊五郎や三遊亭園右、及び『昔模様劇場雛形』や『劇場節用集』などを例に挙げ、19世紀初期の歌舞伎やその他、近世のパフォーマンスにおける木版本や印刷文化が果たした役割及び現代との繋がりについて紹介しました。
続いて、Kerim Yasar氏(USC助教)は発表で黒澤明監督の『影武者』や小津安二郎監督の『晩春』など戦後の日本映画を取り上げ、登場人物のしぐさ(ジェスチャー)、特に異なる監督の指導下において同じ俳優が表現した演技等について考察しました。
Jang Wook Huh氏(ワシントン大学助教)は朝鮮半島の植民地時代の知識人たちが黒人作家の作品を翻訳することによって朝鮮文学を代弁した歴史を紹介し、黒人文学が韓国語訳を通して提示した異民族間の文化の借用・表現・循環について、次にWilliam Bridges氏(ローチェスター大学助教)はヒップホップ時代黒人文化が国境を越え、日本文学に与えた影響について発表しました。

シンポジウムの様子

午後の部では、Wheihong Bao氏(カリフォルニア大学バークレー校准教授)は20世紀初期の中国における舞台セットをめぐる研究について、Hentyle Yapp氏(ニューヨーク大学助教)は中国におけるポスト社会主義社会の芸術的媒体としての花火及び花火のパフォーマンスが果たす政治的な役割について考察しました。
その後、Tarryn Chun氏(ノートルダム大学助教)は北京を拠点にする劇団に焦点を当て、話劇『雷雨2.0』を例に挙げ、今日の中国演劇やライブ・パフォーマンスで使用されたテクノロジーについて、Noriko Manabe氏(テンプル大学准教授)は日本のデモに用いられる音楽を紹介し、政治的道具としての役割を持つことになったこれら音楽の発展の歴史と、デモ参加者としてのパフォーマー兼スピーカ-の存在について発表しました。

翌31日にはMichelle Cho氏(マクギル大学助教)がYouTubeにアップロードされたK-POPダンスビデオを通じて行われているファン活動が従来のポップ・カルチャーの常識を覆してコミューニティーを形成していく在り方について、So-Rim Lee氏(スタンフォード大学院生)は韓国のリアリティー・ショーにみられる整形手術を通じたパフォーマンスとしてのクィア(queer)性について、Michelle Liu Carriger氏(UCLA助教)はゴシック・アンド・ロリータ (Gothic & Lolita)ファッションを着用した人々がジェスチャーやポーズで表現する言葉について発表しました。
続いてSean Metzger氏(UCLA准教授)はチャン・イーモウ(Zhang Yimou監督-平昌五輪閉会式を手がけた中国の映画監督)の演出を紹介し、衣裳効果と視聴の技術について考察しました。

最後のセッションとなった午後の部では、まずMiseong Woo氏(延世大学教授)が韓国の国家的アイデンティティーを形成してきたと言われるソウルの東大門デザインプラザ(DDP)を例に、またEng-Beng Lim氏(ダートマス大学准教授)はシンガポールのユニークな建築がパフォーマンスそしてビジュアル・アートとして果たしてきた役割に触れ、それらが国の昨今を読み解く手段として機能している点につき指摘しました。
その後、Suk-Young Kim氏(UCLA教授)による閉会の挨拶があり、「クリエイティビティというのはテクノロジーと緊密な関係にあり、両者は不可分です。パフォーマンスにおいても例外ではなく、急激な発展を遂げている東アジアではまだ検討し尽されていない課題も多々あるものの、その点については今後の研究に期待します。」と述べ、2日間にわたるシンポジウムは閉幕しました。

近世演劇、日本映画、K-POP、中国話劇など、多岐にわたる分野で構成された14本の研究発表はいずれも内容の濃いものであり、計4回おこなわれたディスカッションでも質問が次の質問への呼び水となるなど、様々な分野の研究者による研究会ならではの意見交換がおこなわれ、会場内は終始活気にあふれていました。

ワークショップやシンポジウムとあわせて設定されたGraduate Student Roundtableでは、早稲田大学、UCLA、USCのほか東京大学、ハーバード大学、イエール大学やシンガポール国立大学などから約30名もの博士後期課程に在籍する学生らが一堂に集まり、東アジアの演劇・映像・文学・パフォーマンスなどと研究分野の違う若手研究者たちがそれぞれ自身の研究について紹介し、情報共有をしました。とくに、早稲田大学から派遣された7名の学生は、上方歌舞伎、ホラー漫画を原作に持つミュージカル、演出家蜷川幸雄が手掛けた歌舞伎版『十二夜』(シェークスピア原作)、劇作家・演出家平田オリザの舞台、コンテンポラリー・バレエにおけるジャポニズムや道成寺物や日本映画についてそれぞれの研究成果を詳しく発表しました。主催者の厚意あってのこの学びの場で、学生たちは日本における演劇研究の手法などを発信し、同時に、他大学の学生との交流を通じて海外のパフォーマンス研究事情を知ることができ、新たな刺激を受けました。次世代の担い手となる若手研究者の間で、相互交流のためのネットワーク形成につながるこの貴重な機会は、参加した学生各自の今後の研究に大いに役立つことと確信しました。

院生によるラウンドテーブルの様子

スケジュール

3月29日(木)

Graduate Student Roundtable

Workshops :

◆Kodama Ryuichi  (Waseda University)

Technologies and Methodologies in Japanese Theater Studies-A Workshop Using Materials from the Waseda University Tsubouchi Memorial Theater Museum
日本演劇研究における<資料公開と方法-早稲田大学演劇博物館の事例から>

◆Yoko Tawada (Writer)
◆Suga Keijro  (Poet)
◆Matthew Fargo (Computer Programmer)

A Performative Reading  – Common Confusions

3月30日(金) 2018 International Symposium
Technologies of East Asian Performance Day1

Opening Remarks
Michael Emmerich (UCLA) and Satoko Shimazaki (USC)

◆Satoko Shimazaki “Making Voices, Creating Silence: Woodblock Print as Auditory Technology” (USC)

◆Kerim Yasar “Gestures in Light: Notes Towards a Mediated Non-Verbal Language” (USC)

◆Jang Wook Huh “Cross-Racial Ventriloquism: Circulating Blackness in Korean Literature” (University of Literature”Washington)

◆William Bridges “Blackness in Japanese Literature in the Age of Hip Hop- A Mic Check” (University of Rochester)

Discussion

◆Weihong Bao “Set Design Thinking: Background as Technics”  (UC Berkeley)

◆Hentyle Yapp “Fire-works, Shine, and Post-Socialist Form”  (New York University)

◆Tarryn Chun “Iteration,Mediation,Citation: Performance Technologies and/as Media History” (University of Notre Dame)

◆Noriko Manabe “The sound demo in Japanese civil discourse” (Temple University)

Discussion

3月31日(土)2018 International Symposium
Technologies of East Asian Performance Day2

◆Michelle Cho “Kinetic Intimacies and the Cosmopolitical: Kpop Dance Videos on YouTube”  (McGill University)

◆So-Rim Lee “Cosmetic Surgery’s Queer Performativity in‘Let Me In’” (Stanford University)

◆Michelle Liu Carriger “Global Girl Power Now: Gothic Lolita and Transnational Communities of Frilly Femininity” (UCLA)

◆Sean Metzger “Wearable China: Costume and Technologies of Seeing and Feeling” (UCLA)

Discussion

◆Miseong Woo “Performance, Technology, and Historicity of the Urban Space: Reading Collective Memories and Desires of Koreans
through DDP”  (Yonsei University)

◆Eng-Beng Lim “Asian Megastructural Performance” (Dartmouth College)

Discussion

Closing Remarks
Suk-Young Kim (UCLA)

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