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イベント報告:国際シンポジウム 「ファウンド・イン・トランスレーションー文化間対話から見るシェイクスピア」

“Found in Translation”と題した国際シンポジウムが2022年9月17日から19日まで早稲田大学の121号館コマツホールで開催されました。この国際シンポジウムでは、9つのパネル、5つの基調講演、日本におけるシェイクスピアに関する2つの特別講演、そしてシンポジウム・舞台のリーディングで構成されました。シンポジウムには、15カ国から42名の代表者が集まりました。また、3日間の総参加者数は97人でした。参加者の中には大学生や大学院生も多く、著名な研究者や若手研究者の研究内容を聞くことにより、多くのものを得られたこともこのシンポジウムの収穫でした。

パネルディスカッションでは、ポストコロニアルのための翻訳、教室での翻訳、特定の翻訳者の作品、舞台で意味を翻訳する非言語的手段、ヤングアダルト小説や映画におけるシェイクスピアの翻訳方法、翻訳のテキスト史、翻訳と特定の地域や社会の言説との関わり方、意味を翻訳するための視覚メディアの使用、日本語翻訳における女性名詞の使用などについて議論が行われました。基調講演として、Ton Hoenselaars教授 (ユトレヒト大学)は、意味を伝える手段としての字幕について深い考察に基づく講演を行い、Li Lan Yong教授 (シンガポール国立大学)は、アジアのシェイクスピアにおける異文化間のアーカイブにどのように翻訳が追加されていくのかについての解説を行いました。Dr. Jessica Chiba (バーミンガム大学)は、日本語に訳すことが不可能なセリフと、それがシェイクスピアのテクストに何をもたらすかについて詳細な具体例とともに論じました。翻訳家で演劇評論家の松岡和子氏は、シェイクスピアの翻訳方法の実際について自身の体験に基づく詳細な説明をし、河合祥一郎教授(東京大学)は、シェイクスピアの翻訳における音の重要性について日英の比較をし、参加者を魅了しました。

Daniel Gallimore教授(関西学院大学)と児玉竜一教授(早稲田大学)による特別講演では、坪内訳における間投詞の使い方や、20世紀に日本で上演されたシェイクスピア作品において歌舞伎の伝統がどのように意味を形成しているかについて、それぞれ解説が行われました。

1日目の午後に行われた劇の一部のリーディングでは、東京シェイクスピア・カンパニー『リアの三人娘』、松岡和子『ハムレット』、カクシンハン『ハムレット×SHIBUYA』、シェイクスピア・カンパニー・ジャパン『新ロミオとジュリエット』を取り上げ、前3者は英語で、後者はスコットランド英語と東北弁を交えた言葉で俳優によるリーディングが行われました。その後、座談会が行われ、3劇団の代表により、なぜその訳語を使うのか、独自に訳語を作成する際に何を訳すのか、などについて議論が行われました。このシンポジウムとリーディングにより、参加者は演劇人の視点から翻訳を理解することができたのではないかと思われます。

シンポジウムの前後には、オプショナル・ツアーとして観劇の場も設け、それぞれ20名ほどが参加しました。シンポジウム前日には松岡和子氏が翻訳し、さいたま芸術劇場で上演された『ヘンリー8世』を鑑賞し、シンポジウム後には、河合教授が翻訳され、中村芝翫が演じる『夏の夜の夢』を日生劇場で観劇しました。
この国際シンポジウムは、2016年に始まったバーミンガム/早稲田大学のシェイクスピアにおける研究協力の新たな成果となりました。シェイクスピア研究所所長のマイケル・ドブソン教授(バーミンガム大学)が直前で参加できなくなりましたが、副所長のティファニー・スターン教授(バーミンガム大学)が、本学の笠原博徳教授、森田典正教授とともに、この国際シンポジウムのオープニングとクロージングを担当してくださいました。

この国際シンポジウムでは、翻訳がシェイクスピア研究の未来を切り開く可能性について、実りある意見交換や洞察に満ちた議論が行われただけでなく、参加者同士の新しい、そして今後も長く続くであろう友情を生み出すことができたと思われます。それはシェイクスピア研究の発展と同じくらい重要なことだと考えられます。

(本山哲人教授による英語版の日本語訳・冬木ひろみ)

当日の模様は、こちらをクリックしてご覧ください。

開催詳細
  • 日時:
    9月17日 (土) 13:00~17:00 開会の辞・ワークショップ・講演
    9月18日 (日) 9:00~17:30 講演会とパネル
    9月19日 (月) 9:00~18:00 講演会とパネル・閉会の辞
  • 会場:早稲田大学121号館コマツホール、大隈小講堂
  • 使用言語:英語
  • 参加者:学生、一般
  • 参加費:無料
  • 参加方法:事前申込制
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