Sustainable Energy & Environmental Society Open Innovation Research Organization早稲田大学 持続的環境エネルギー社会共創研究機構(SEES)

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【伊坪 徳宏教授】COP30セミナー開催報告

2025年11月にブラジル・ベレンで開催された「国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)」のジャパン・パビリオンにおいて、早稲田大学理工学術院の伊坪徳宏教授が登壇しました。
伊坪教授は、近年世界的に注目が集まる「ライフサイクル環境影響評価(LCA)」をテーマに講演を行い、事業活動が自然・生態系に与える影響を定量的に評価するための手法として、同教授が新たに開発した「ネイチャーフットプリント」を提唱しました。

伊坪徳宏教授による講演の様子

本セッションでは、その他、環境省による情報開示促進の取組や、国連環境計画(UNEP)によるライフサイクル評価手法の開発に加え、資生堂や農林中央金庫から「ネイチャーフットプリント」の具体的な活用モデルが紹介されました。会場は各国から来場者が訪れ、世界に向けて同時中継も行われるなど、本テーマに対する国際的な注目度の高さがうかがえました。

行木美弥氏による開会挨拶 (環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官)

 

オリビエ ジョリエット教授(デンマーク工科大学)による講演

 

現地登壇者による集合写真

現在、日本の産業界における環境評価は「カーボンフットプリント」や「Scope 3」といった温室効果ガス(GHG)排出量の開示が主流となっています。しかし、気候変動対策だけではカバーしきれない生物多様性の損失が深刻化する中、世界は自然・生態系全体への影響を評価するフェーズへと移行しています。
こうした国際的なニーズの高まりを受け、伊坪教授が研究代表を務める研究プロジェクト(研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム:内閣府BRIDGE)では、日本発の環境影響評価手法「LIME3(Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling 3)」をベースとして、企業活動による自然への影響を定量評価・開示するための新指標「ネイチャーフットプリント」の開発を目指しています。本手法の最大の特長は、生物多様性と生態系サービスを網羅的かつ高精度に定量化し、環境負荷を「経済価値」に換算できる点にあります。これにより、ESG投資や企業の経営戦略における意思決定を支える重要なツールとなることが期待されています。

ネイチャーフットプリントの概念図

本プロジェクトの強みは、日本の産業界を代表する事業会社20社に加え、金融業界からも大手・地方の主要な金融機関が参画し、アカデミアにおける手法の開発から社会実装を見据えた実証実験まで一気通貫で行っている点です。今後は参画各社のサステナビリティレポート等を通じて、本手法を用いた評価結果が順次公開される予定です。

早稲田大学は、COP30での発信を皮切りに、日本発「ネイチャーフットプリント」の国際標準化とネイチャーポジティブ社会の実現に向け、本取組を一層推進してまいります。

 

(関連リンク)
COP30 JAPAN PAVILION
https://www.copjapan.go.jp/cop30/

金融/投資機関による自然関連情報開示促進と国際標準化を前提としたネイチャーフットプリントの開発と実証事業
https://bridge-naturefootprint.jp

 

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