持続的成長をしながらもカーボンニュートラルを可能とする極めて困難な社会の実現には,エネルギー分野,環境学,人間科学,さらには経済,政策をはじめとした従来の枠組みを超えた環境,エネルギーに関わる多様な学問や科学技術の総体的な取り組みが必須です.
そこで,本機構では,重点領域研究機構で開発してきたミクロからマクロまでのエネルギー解析を実現した「Global energy simulation」を活用して広範囲な社会領域でのエネルギー分析を可能とします.また,このようなエネルギー解析に加えて資源循環,エネルギーマネージメント,IoT技術,体感や行動を含めた人間科学,さらには法学や経済学的影響まで解析可能な「共通解析プラットフォーム」へと進化を進めます.この共通解析プラットフォームを活用して,オープンな場で,理工融合,文理融合,産学官融合を実現する人材が一堂に会し,バックキャストで持続的でありつつ環境やエネルギー問題が解決される未来社会を共創することによって新たな価値を創出し,必要となる研究開発や正しい未来社会へ導くための評価手法の構築まで進めます.
具体的には,「熱の有効活用社会」,「再生可能エネルギー社会」,「革新的脱炭素技術導入社会」,「脱炭素サーキュラーエコノミー実現社会」,「脱炭素食品物流コールドチェーン実現社会」,「レジリエント住空間実現社会」などを取り上げ,環境やエネルギー問題を解決しうる全体最適化を実現するための分析を展開するとともに社会実装まで実現していきます.
このような未来社会を早期に実現するためには,単に学内としての活動だけでは,活動範囲が限定されるため,地域や国際社会との連携も進めます.これによって国内での強力な拠点化だけでなく,国際拠点化を実現するとともに,国内外における人材育成にもつなげ,結果として脱炭素社会の実現に貢献します.
さらに,新たに創造された技術についての評価分析技術の構築も進めます.新たな技術に対しては,スピード感をもって基準や規格作り,標準化にまで対応していくことが必要不可欠です.そこで,この機構の機能として「環境エネルギー技術総合評価センター」を設置し,「共通解析プラットフォーム」を用いて具体的な製品評価や性能分析に加えて標準化にまで貢献することを目指すとともに,ベンチャー企業と連携して,「評価」をビジネス展開します.
このように未来の環境エネルギー社会の共創を通じて,「学問の活用」を教旨とする早稲田大学として基盤研究から,具体的社会実装まで一貫するとともに,それらの評価手法まで構築を進めることによって,環境エネルギー問題の解決に貢献していきます.