Global Research Center(GRC)早稲田大学 研究活動 Research Activities

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独創性を発揮する、気鋭の研究者たち(理工学術院 廣井卓思准教授)

早稲田大学PI飛躍プログラム 2026年度支援対象者の研究内容

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Tue 19 May 26

早稲田大学PI飛躍プログラム 2026年度支援対象者の研究内容

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Tue 19 May 26

独創性を発揮する、気鋭の研究者たち

早稲田大学では、独立した研究室を主宰する研究者(Principal Investigator/以下PI)を支援する「PI飛躍プログラム」を設置しています。5回目となる2026年度の公募では、13名の研究者より申請があり、3名が採択されました。

本シリーズでは3回にわたり、その独創性で社会的な価値を創造し、未来へと挑みつづける、それぞれの採択者の研究活動を紹介します。

ソフトマテリアルの構造解析に
独自開発の装置でアプローチ

理工学術院 廣井卓思准教授

理工学術院 廣井卓思准教授 撮影場所:西早稲田キャンパス

理工学術院 廣井卓思准教授 撮影場所:西早稲田キャンパス

構造化学を専門とする理工学術院の廣井卓思准教授は、これまで計測が困難だった高分子の構造解析について研究を進めている。特に注力しているのは、ソフトマテリアルだ。

「身の回りにある材料は一般に、“金属”、ガラスやセラミックスなどの“無機材料”、プラスチックやゴムなどの“ソフトマテリアル”に大別できます。ソフトマテリアルの中でも私が得意とするのが、ゼリーに代表されるゲルです。ゲルは生体との相性が良く、人工関節やドラッグデリバリーシステムなど、ヒトの体内で機能させる材料としても注目されています」

わが国では現在、健康長寿社会に向けて高機能なソフトマテリアルの材料づくりが進められている。これらは合成の領域にあたるが、廣井准教授が取り組む構造の知見も必要になる。

「頑丈な材料、予定通りのタイミングで壊れる材料など、合成にはさまざまな目的があります。これらはナノメートルスケールの精密な構造を理解できなければ、設計を進められません。そのような構造を計測により明らかにすることが私の役割ですが、既存の装置では困難な領域もあるため、装置そのものを開発しています」

廣井卓思准教授が用いる、動的光散乱法の装置。溶液に光をあて、ゲルなどの構造を分析する

廣井卓思准教授が用いる、動的光散乱法の装置。溶液に光をあて、ゲルなどの構造を分析する

PI飛躍プログラムのテーマは、「先端計測に基づくソフトマテリアル組織学の創成」。ゲルは基本的に脆い性質を持つが、内部や表面(界面)にある分子構造の「不均一性」が原因とされている。この不均一性を計測することが、廣井准教授の研究課題だ。

「計測では、内部と界面、両方からアプローチすることで、異なる組織構造を解明していきます。ゲルの内部や界面には“ゆらぎ”という、高分子の位置が時々刻々変化する状態が存在するとされています。ゲルの内部は、ジャングルジムのように均一な網目構造をしておらず、実際には高分子の密度にばらつきが生じており、強い部分と弱い部分に分かれていると考えられています。また表面では、飛び出た高分子がゆらいでいると予想されており、近年ではそれらの高分子が絡み合うことによって、ゲル同士が再結合する自己修復性も見出されています。これらはゆらぎと密接に関係した現象ですが、可視化が困難という課題を抱えていました。そこで、独自装置による新たな分析手法により、ソフトマテリアルの組織構造を解明するのが、本研究の目的です」

ソフトマテリアルの界面と内部の構造について、統一的な理解を目指すのが同研究のコンセプト

ソフトマテリアルの界面と内部の構造について、統一的な理解を目指すのが同研究のコンセプト

廣井准教授が得意とするのは、「動的光散乱法」という計測手法だ。測定対象に光を入射し、 散乱光の強弱の変化を観測することで、ゆらぎを分析していく。顕微鏡による静的な観察法と異なり、散乱光の動きを見ることで、時空間的に僅かなゆらぎに迫ることができる。

「今回の研究では、動的光散乱法をさらに発展させた装置で、新たな計測の実現を目指します。高分子物性と光学、双方の知見を組み合わせる点が、私の戦略です」

廣井准教授はPI飛躍プログラムの研究促進費を活用し、研究体制の整備を図る。今後進む大型装置の導入への対応に伴う研究室の移転では、特殊機材の搬出入などに多くの費用が発生するためだ。また、研究補助者の雇用や研修へのIT導入などにも活用し、研究時間の捻出と人材育成につなげていくという。

動的光散乱法に顕微鏡法の長所を取り入れるのも、廣井准教授の独自戦略

動的光散乱法に顕微鏡法の長所を取り入れるのも、廣井准教授の独自戦略

「PI飛躍プログラムでは、アドバイザー支援も活用したいです。PI として独立したタイミングがコロナ禍と重なった私は、国際会議での研究発表や海外研究者との議論の経験に乏しいという弱点があります。今回の採択を機に、海外での活動とネットワーク形成を強化し、研究成果や計測手法の国際的認知につなげていきたいと考えています」

構造解析を担う廣井准教授は、合成を専門とする研究者との共同研究も重要視している。海外でのネットワーキングは、新たなパートナー獲得にもつながるだろう。

「世界的に見れば、多くの研究者がユニークな材料の開発を進めているはずです。そこに私の技術や装置が生かされることには、やりがいも感じます。高分子分野の発展とともに、社会のさまざまなシーンに貢献できるよう、活動領域の拡大を図ってまいります」

PIのニーズに沿った
テーラーメード型の支援プログラム

今回、3名の若手研究者が採択されたPI飛躍プログラムは、早稲田大学が2022年に新設した制度だ。PIの研究内容は独創的であるがゆえに、必要となる支援の形もそれぞれ異なる。それぞれのニーズに対し適切な支援をテーラーメード型で受けられることが、同プログラム最大の特徴といえるだろう。

研究者の成長モデルと本プログラムの位置づけ(イメージ)<br />
(学内の方はこちらへ ⇒ https://waseda-research-portal.jp/research-fund/early-stage-pi/)

研究者の成長モデルと本プログラムの位置づけ(イメージ)
(学内の方はこちらへ ⇒ https://waseda-research-portal.jp/research-fund/early-stage-pi/)

プログラムの対象は、博士学位取得後15年以内が原則。採択されると、研究環境整備などに充てることを想定した研究促進費が助成され、他の研究費との相乗効果を発揮できる。また、アドバイザー数名から成るチームにより、国内外の研究ネットワークの拡大、国際共同研究の企画・提案など、さまざまなアドバイスを得ることも可能に。さらに、本学リサーチイノベーションセンター研究戦略セクションURA*による、大型の外部研究資金獲得、産学連携の推進などに向けた伴走支援などサポートも受けられる。

採択された3名の研究者は、今後どのような成果を育んでいくのだろうか。それぞれの活動に期待したい。

* University Research Administrator:
研究者および事務職員とともに、研究資源の導入促進、研究活動の企画・マネジメント、研究成果の活用促進を行って、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化を支える業務に従事する人材
(拠出:RA協議会WEBサイトhttps://www.rman.jp/ura/
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