5年生の夏(9月)卒業のため、最後の夏休みに履修しました。体育の合宿授業(シーズン実技)では7つ目の授業でした。これだけ合宿授業を取る理由は、合宿授業にはアクティブで外交的な学生が集まるためです。普段の大教室の授業ではなかなか親しくなることのできない周りの学生と交流するチャンスです。また普段関わることのできない体育会の部員さんたちとも会うことができます。費用はかかりますが、個人の旅行と違って多くの早稲田の学生と交流することができるという点で、お金に換えられない価値があると考えています。また早稲田の体育の授業では、自分だけではできないであろう競技を経験することができます。今までできなかったことができるようになる感覚はやみつきになります。そんな中、ワンダーフォーゲルの授業は、夏だからこそできるスポーツだと思い履修しました。
実際に履修してみての感想は、「予想よりも山はきつく」、「予想よりも指示を与えられず」、「予想より仲間の大切さを学んだ」、という点が挙げられます。
まず本格的な山という点に加えて当日は雨が降っていました。かなり初心者にとって難度の高い登山となりましたが、誰一人文句を言わず、むしろ雨でも登れることに感謝する学生もおり、上り坂でもみんな明るく急斜面も乗り越えていて、周りの学生の根性に驚きました。人より歳を食っている上に運動を怠っていた5年生の私は一番リタイヤが心配されたようですが、最大限の力で登り何とかついていくことができました。この経験は今後何をするにも役立つだろうと確信しています。あの山を登れたなら体力的にも気力的にも越えられないものはないだろうと思えます。
この授業を通して先生とTAさんは、学生たちに「自分の頭で考えて山生活をさせること」を徹底していました。テントの設置から火おこしや食事の準備まで、正解が分からない中達成することができ、また、何も教わらないことによってそれぞれの分野で得意な人が目立ち、意外な個性を知ることもでき、自主性を重んじることの大切さを認識しました。今与えられた環境でどうより良く生活するかを考えたため、日常生活でもまめに「周囲の環境を改善する習慣を身に着けることができた」と実感しています。
履修者のみんなは、この悪天候の日程の中常に明るく山での生活を乗り越え、全員後輩ですが尊敬できる部分が山ほどありました。初対面の人と山の中で生活するということはよく考えたら簡単な事ではないのかもしれませんが、自然と信頼感と一体感が生まれ協力できたのは、それぞれのレベルが高かったからだと思います。
遅くなってしまいましたが、一番大切な点は、この授業は先生がはつらつとしていて愉快だったということです。先生が学生に近い視点を持っていてくださると合宿授業は生き生きするのだと実感しています。履修者たちがすぐに打ち解けられたのも、先生が良い雰囲気を作ってくださったためだと思います。履修者の自主性を信じてくださったことに感謝しています。
自分たちの知恵を引き出し、協力して問題解決する授業の設計により、大きな充実感を得ることができました。また生活を共にしたこのメンバーとは、定期的にまたずっと集まることができる仲となることができ、大きな財産を得ることができました。本当に、この授業に感謝しています。
谷口緑・社会科学部 5年 ※執筆当時
(2017年度 夏シーズン「ワンダーフォーゲル」/ 担当教員 渡辺幸倫)