Voice_「インド白い革命(2015年:南アジア)から学ぶ途上国の農村開発」
科目名 | 「インド白い革命(2015年:南アジア)から学ぶ途上国の農村開発」 |
---|---|
担当教員 | 秋吉 恵 |
履修年度・学期 | 2014年度・夏秋期 |
氏名・学年 ※掲載時 | 野口はるな・人間科学部3年 |
私とインドとこどもたち
自分の殻を破るヒントを探して
私は悩んでいた。「大学時代はやりたいことを全てやろう」と決心し、沢山の人々と出会い、日本全国を飛び回り、そして様々なアルバイトを経験した。しかし、そんな大学生活を送っていて、ふと自分のやりたいことの軸が定まらず、宙に浮いた生活を送っていることに気づいた。「知り合い」ばかりが増えていき、人と深い付き合いをする自信もなくしていた。
そんな中、自分がこの授業を見つけたのはアメリカに一ヶ月間留学をし、部屋で科目登録をしていた時だ。アメリカでの生活は刺激的で、それまで日本全国を旅しても見ることの出来なかった世界、壮大な風景に魅了され、「日本国外にも何か自分を変えるヒントが沢山あるに違いない」と再び海外を訪れることに希望を燃やしていた。いくつか海外実習の授業がある中インドを選んだ理由は、自分の旅の価値観を変えてくれた人との出会いであり、彼が「学生時代は是非インドに行ってほしい」と強く勧めてきたことを思い出したからだ。「人生観が変わる国」「人と関わらずには過ごせない国」などと言われるインドに、自分の殻を破るヒントがあるのではないかという期待を胸に、9月16日、インドへと旅立った。
どうしても忘れられない子どもたちの言葉
悠々と道を歩く牛たち。道沿いにベッドを置き眠る人々。そして私たちにしきりおもちゃを売ろうとする、丸くてきれいな目をした子供達…。インドで起こる全てのことが私にとっては衝撃的で、ショックを受けたことも度々あった。10日間をインドで過ごす中で、どうしても忘れられない出来事がある。それはティントダ村2日目のナンプラ小学校での出来事だ。授業終わりの子供達に集団インタビューを取った。好きな科目は何か。学校は楽しいか。そして最後、「この村の外の都市や、海外に行ってみたいか」という質問をした。するとこれまで元気に手を挙げていた子供達の9割近くが首を大きく横に振り、「この村にいたい」と答えた。中にはティントダ村から1度も外に出たことのない子供達もいた。私はこのとき、疑問に感じた。この村の外には広い世界があるのに。一生外を知らないのはもったいない事なのではないか。私たちは情報をテレビ、パソコン、雑誌などから得ることが出来る。きれいな風景や豪華な食事の写真を見て、私たちは旅に出たくなる。しかしインドの家庭をいくつか訪れた中で、テレビなど情報を得る手段を持っている家は稀であった。情報が入らなければ何かをしたいという欲求は生まれないのではないかと考えた。
ほんとうの幸せって・・・
多くの子供達の中の1人が話してくれた。「この村には家族がいるから、村を出たくはないんだよ」家には家族も牛もいて、それが幸せであり、ずっとそんな幸せの中で暮らしていけばいい。素敵な考え方だと思った。そして、東京に出てきてからろくに実家にも帰らず、スマートフォンという便利な通信手段があるにもかかわらず連絡すらしない自分を恥ずかしく思った。知らない土地に行くのも、新しく知り合いを作るのも、成長には繋がるが、本当の幸せを見失っていたような気がした。
10日間インドで過ごしたことで、インドが大好きになり、また再びインドを訪れたいと思った。また、笑顔で挨拶してくれたり手を振ってくれたりするインド人の温かさに触れていたら、自然と、自分の軸が定まらないなどの悩みがちっぽけに感じられていった。本当の幸せのヒント、そして渡航前の目標であった自分の殻を破るきっかけをみつけられたインドでの10日間を胸に、これから先の大学生活をさらに楽しく過ごしていこうと考えている。
※2015年度はインドからバングラデッシュ(南アジア)に実習先が変更になるため、科目名が変更になっています。詳細はWebシラバスをご確認ください。