当センターの張天逸助教が,堆積学の発展に貢献する研究論文を発表したことを評価され,日本堆積学会論文賞を受賞しました.本賞は「研究誌において堆積学に関わる優れた研究を発表し,堆積学の発展に寄与した者」に授与されるものです.
■Cho, T. and Ohta, T., 2022, A robust chemical weathering index for sediments containing authigenic and biogenic materials. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 608, 111288.
本論文は,古気候復元のための新たな手法(風化指標)を,多変量統計解析に基づいて構築したものです.これまでの風化指標では,生物源物質や続成作用に伴って生成される物質(主には炭酸塩,シリカ,アパタイト)の存在が風化指標の適用の障壁となっていましたが,この論文ではそれらの影響を除外する新たな方法を提唱しました.新たに提唱されたRW indexは様々な組成の堆積岩に適用可能な方法であり,新規性・独自性が高い手法として評価されました.さらに,堆積岩の風化度の評価は,堆積学だけでなく,地盤工学や地形学,環境学などの分野においても重要であり,本論文が他分野に与える影響は大きいものと評価されました.この方法は今後,汎用性の高い方法として広く利用されることが期待されます.
なお,表彰式は2024年4月20日に日本堆積学会(熊本県熊本市)にて行われました.