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金岡研の伝統研究手法!ワイヤー筋電実験とは? ―謎多きLocal筋の解明に迫る―

「筋肉は裏切らない…」

NHKの人気番組、「みんなで筋肉体操」の最後に浮かび上がってくるこのフレーズ、読者の皆さまはご存知でしょうか?

筆者は初めて見たときに、おもしろいフレーズだなぁ!と手をたたきました。

それもそのはず、私たち金岡研究室のテーマは「Muscle makes you happy ―筋肉はあなたを幸せにする―」であり、筋の重要性を強調しているからです。

筋力・筋機能の改善・増大は、スポーツにおける競技パフォーマンスの向上、スポーツ傷害の予防、競技復帰のためのリハビリに限らず、日常生活における健康増進、多くの人が抱える肩こりや腰痛の予防・改善などに大きく寄与します。

なるほど、この事実だけでも筋は私たちを幸せにしてくれそうです。

筋はその構造的な特徴から主に、アウターマッスル=Global筋(多関節筋)、インナーマッスル=Local筋(単関節筋)に分類できます(図1)。

例えば、Global人材(≒地球規模の~ → 広い・大きい)、Localネタ(≒地元の~ → 狭い・小さい)と時事ニュースにおいても使われるように、Global筋とLocal筋のイメージもこれらと同様です。

Global筋は関節や骨を大きく動かすための機能を有します(図1左)。一方、Local筋は関節や隣接する骨同士を安定させる機能を持っています(図1右)。

図1右のLocal筋に注目すると腹横筋はコルセットのような構造であり、その機能もコルセット同様、体幹を安定させてくれます。多裂筋は上下の積み木を連結させる固定金具のような構造ですよね。上下の積み木、すなわち隣り合う骨同士を安定させてくれます。

身体を動かす際に、このLocal筋が働かない中でGlobal筋が働いてしまうと「積み木 = 骨」が不安定になってしまいます(図2左)。そのため、Local筋が働いた状態でGlobal筋を働かせることが大切です(図2右)。このようにLocal筋は非常に重要な役割を担っています。

 

しかし、このLocal筋は身体の深部に位置することから計測することが難しく、未だに謎が多いです。

でも、これだけ重要とされるLocal筋ですから、その実態を解明したいですよね。

Local筋の筋活動を計測する手法…

それが金岡研究室の伝統研究手法、ワイヤー筋電実験です。

Local筋の筋活動を計測できるワイヤー電極を針の中に入れ、その針をLocal筋まで刺入します。針がLocal筋まで到達したら、針だけ抜いてワイヤー電極を筋内に残します…(痛そうですね)

<実際のワイヤー電極刺入風景>

 

確かに痛いですが、痛いのは針を筋内に刺すまでであり、抜いた後は時間経過とともに緩和していきます。(言わずもがな、このワイヤー実験は大学の倫理委員会から承認をいただいており、安全に配慮し実験を行っています。)

私たちはこの手法を用いて、Local筋を鍛えられる有効なエクササイズやトレーニングは何か?歩く、走る、跳ぶ、着地するといった基本的動作、バットをスイングするなどのスポーツ動作においてLocal筋はどのように活動しているのか?という問いに対して探求・検証する実験を行っています。

前回の記事でご紹介した筋シナジー解析を用いて(筋シナジー解析で見えてくるもの ―理想的な身体の使い方を求めて―)、腹横筋などのLocal筋とどの筋が動作の中で協調したグループにあるのか?その協調したグループが動作の中において、特にどこで働いているのか?という問いを明らかにする研究も始まっています。世界的に見てもLocal筋とシナジー解析を組み合わせた研究は非常に少なく、全く新しいデータを創造する過程は非常にエキサイティングです。

「筋肉は裏切らない…」、「Muscle makes you happy ―筋肉はあなたを幸せにする―」

これからも筋に関する、その中でもLocal筋の研究は続きます。

謎多きLocal筋の解明に迫る、ワイヤー筋電実験のご紹介でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

スポーツ科学研究科 博士後期課程2年 金岡研究室 安達 玄

(学年は記事作成時のものです。)

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