早稲田大学（スポーツ科学学術院 樋口満教授）と埼玉西武ライオンズは、「野球観戦が高齢者の健康に与える効果」に関する共同研究を2016年3月から行っております。本共同研究では、プロスポーツチームが高齢者のアクティブ・エイジングにどのように貢献できるかを検証することを目的として実施しております。
研究概要
野球場でのプロ野球観戦は高齢者の健康になんらかの影響を及ぼす可能性があると考えられます。しかしながら、このことについて調査した研究はほとんど例がありません。そこで、野球場でのプロ野球観戦が高齢者の健康にどのような影響を及ぼすのかを調査することを目的に、2016年シーズンから共同研究を実施しております。
研究の方法
- 研究の参加者
所沢市・入間市・日高市・狭山市・飯能市に在住する60歳以上の男女約60人
- プロ野球観戦（介入内容）
西武プリンスドーム（現：メットライフドーム）で開催されるプロ野球を約2ヶ月間自由に観戦
- 評価の方法
プロ野球観戦期間の前後において健康指標がどのように変化したかを比較検討
［主な評価項目：認知機能、抑うつ度、生活の質（QOL）、主観的幸福感、身体活動量など］
期待される効果
高齢者が野球場まで出かけて行ってプロ野球を観戦することは、同居者以外の他者と交流する頻度や身体活動量を増加させると考えられます。また、野球観戦による試合展開の把握や応援が観戦者の認知機能の低下を防ぐ可能性も考えられます。さらに、野球場でのプロ野球観戦は他の観戦者と喜びや悲しみ、感動を共有し、観戦者の人生を豊かにする可能性が考えられます。
※研究成果の正式な発表は2017年夏以降を予定しております。
プロ野球を観戦していただいた参加者の方々の声
- 「年齢が高い観戦者も多く、安心した気持ちになり良かった。テレビで見る時とは異なり臨場感があり楽しかった」（入間市在住60代女性）
- 「はじめての経験で最初はとまどったが、チアリーダーの旗ふりと踊り、選手の登場でボールを客席に投げるなどの風景が楽しく、必ずゲームが始まる前に行った。野球場に行く事が楽しくよい経験になった」（所沢市在住70代女性）
- 「メリハリのある生活習慣ができた」（入間市在住70代男性）
- 「野球観戦に行く日は朝から楽しみでした。ひいきの選手が打席に立った時は自分が打つ気持にもなりとても楽しい１日でした」（所沢市在住70代女性）
- 「観戦している時は何も考えず、楽しくファンの人達の応援の熱心な気持が伝わってくるようで、心地よかった。参加できて良かったと思いました。」（所沢市在住70代女性）
早稲田大学スポーツ科学学術院 樋口満教授のコメント
本研究に参加していただいた方々の声によく表れているように、野球場でのプロ野球観戦ならではの楽しみとして、他のスポーツと比較して試合数が多く頻繁に足を運べること、周りの観戦者と会話がしやすく人と話す話題づくりができること、飲食物やにぎわいなど、「ボールパーク（*）」としての楽しみ方にはバラエティーがあり個々人にあった楽しみ方を見つけることができることが挙げられます。また、高齢者の方々にとって野球は身近なスポーツであることもプロ野球観戦の魅力の重要なポイントであると考えられます。まだ研究途中の段階ではありますが、プロ野球観戦前後において健康に対する好ましい変化を示唆する結果がみられており、改めて研究成果の正式な発表をさせていただければと思います。
(*)米国で使用されている言葉で、「あらゆる世代の人々が野球観戦を総合的に楽しむ場所」という意味。
2017シーズンより、60歳以上「ぷらっと割」を実施：埼玉西武ライオンズ
埼玉西武ライオンズでは今シーズン、平日開催の22試合限定で、内野自由席のチケットが1,000円となる、60歳以上・バリュー試合「ぷらっと割」を実施します。
※バリュー試合：メットライフドームの変動制料金設定の一種で、平日22試合を設定。
