公共経営大学院
宇田 和幸
1.本大学院入学とインターンシップに参加した動機
私は、講読や講義を通した理論の世界と、実際の現場がどうなっているかという実践の世界との両方が体験できる早稲田大学公共経営大学院を志望しました。特に、活字以外での動向を意識することの少ない国会の場での政策決定がどのようにして行われているのかの興味があり、インターンシップ(国会稲門会)を受講しました。
2.主な活動内容と一日のスケジュールの例
主な活動内容は、一言で表すと秘書業務全般です。私がお世話になった事務所では、「大学院生だから」と様々な経験をさせてもらいました。お客様としておもてなされるというよりは、本当に秘書の一人として扱っていただいたために大変と思うことも多かったです。しかし、私の志望理由に鑑みて大変に勉強になりました。
中でも多かった業務が以下の4点です。
(1)代議士(衆議院議員)随行
随行では、地元、企業の方々との談話、外交等の報告会を党の要職者に行うとき、あるいは官庁の要職者への陳情等に付き添い、写真撮影やその他サポートを行いました。
(2)部会
部会とは、国会議員に対して行われる勉強会に似た集まりを指します。官庁や関連企業の方をお呼びし、法案審議から昨今問題となっている事象まで多岐に渡る問題を取り扱います。例えば昨今盛り上がりを見せる東京オリンピックに向けたインフラ整備に関する話や、iPS細胞研究者の山中教授をお呼びしての報告会、理化学研究所の今後の対応等です。国会議員は多忙なため、秘書の代理出席が認められています。これに私もよく参加しました。
※インターンの内容は事務所によると思いますが、国会稲門会参加者の多くの人がこの部会に参加していると聞きました。
(3)懇親会の代理出席
懇親会への代理出席は、国会議員が持つ多くの関係企業との関わりで、様々な分野においてお声がけいただきます。しかし、夜も多忙な国会議員のために、秘書が代理出席することも珍しくありません。私も代理出席し、関係者と話をしました。
(4)来客・電話対応
来客時に他の秘書がいないことが多く、私が席に促し簡単に用件を聞き秘書に伝えました。電話対応も同様に、所属や用件等を聞き、秘書へ連絡をします。日時や重要度によって優先順位があるため、そのあたりを考えて連絡しなければなりませんでした。
以下、事務所での一日のスケジュールの一例を記載します。
時間 | 活動内容 |
---|---|
9:00 | 事務所着 |
9:00 – 10:00 | 党本部にて部会に出席 |
10:30 – 12:00 | 議員会館にて事務作業 |
12:00 – 13:00 | 昼食休憩 |
13:30 – 14:30 | 国会議員の活動に随行 |
15:00 – 16:00 | 党本部において勉強会に出席 |
17:00 – | 懇親会等への代理出席 |
※来客・電話対応は随時行いました。
3.得られた成果
昨今ニュースをにぎわせている問題に対して、党として、あるいは国会として、どのように取り組んでいるかを間近で見ることができました。
そして、やはり何と言っても地元企業や関係諸団体との結びつきの強さを知ることができました。「族議員」・「ロビイスト」等、癒着の側面が目立って伝えられがちですが、それだけ関係団体は問題意識を持って陳情に来るのだなと感じました。
4.感想
「国会議員が勉強をしない」というイメージが必ずしも正しいとは思えなくなりました。確かに、まとまった時間が取れないので私たち大学院生や学生のように机に向かって長い時間読書をすることは難しいです。しかし、分単位で関係諸団体の方々からヒアリングを行ったり、少しでも手が空けば新聞を読んだり、大学院生の私に「今問題となっていることは?」「興味があることは?」とヒアリングをしてくれました。それだけ人とのつながりを大事にするのだなと感心しました。
5.プログラムのおすすめポイント
この公共経営大学院でしか体験できないプログラムであることが一番のおすすめです。
国会議員、あるいは秘書の国政への携わり方を知ることができることも大きな魅力です。例えば、私がお世話になった党では、先述の部会で国会議員の意見調整を行った後、政務調査会で活発な議論を行い、総務会での決済を得た上で最後に閣議決定という手順を踏みます。単に「国会議員は立法しない」「法を作るのは官僚だけだ」という世論があるように思えますが、その立法過程において国会議員が及ぼす影響は決して少なくないと感じました。本プログラムでその立法過程を間近に見ることができるのはとても魅力的です。
(2014年10月18日掲載)