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比研共催講演会「 先端技術と保険補償ー日韓比較ー」4月9日(木)開催されました。

比研共催講演会「 先端技術と保険補償ー日韓比較ー」4月9日(木)開催されました。

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WED 2025
Place
早稲田キャンパス
Time
15:00~16:40
Posted
Thu, 19 Mar 2026

日韓保険法プレフォーラム
「先端技術と保険補償―日韓比較―」

韓国保険法学会を迎えて、日韓保険法研究会を開催いたします。現代において、日韓両国における保険法がどのような変容や課題を抱えているか、また先端科学技術を踏まえて両国の保険法は今後どのような方向に向かうかという点について、韓国保険法学会Myung-Ho Hong副会長および神奈川大学客員研究員の長谷川仁彦氏にご講演をいただきます。

【主 催】早稲田大学先端技術の法・倫理研究所
【共 催】早稲田大学比較法研究所、早稲田大学法学部・法学研究科
【協 賛】日本保険学会
【日 時】2026年4月9日(木)15:00~16:40
【場 所】早稲田キャンパス8号館B₋107教室(対面)&Zoomウェビナー(オンライン)
【言 語】日本語・韓国語(通訳あり)
【講演者】Myung-Ho Hong 韓国保険法学会首席副会長
「実損医療保険の現状および課題と制度的改善方案」
長谷川 仁彦 神奈川大学法学研究所客員研究員
「日本における最近の先端医療技術に対する保険商品のトピックスー先進医療費用、自由診療費用補償その他ー」
【通訳者】申 鉉浩 Dowon Law Firm 顧問
【世話人】肥塚 肇雄  早稲田大学法学学術院教授、比較法研究所員
【参加費】無料
【対 象】学生、教職員、一般
【参加人数】29名(対面:15名、オンライン:14名)

ご参加いただくためには事前登録が必要となります。下記のリンク先の登録事項に4月8日(火)17:00までにご記入いただきますようお願いいたします。
オンラインでのご参加者には、前日を目処に、ウェビナーのURLを登録いただきましたメールアドレス先にお届けする予定です。
なお、ご記入いただきました個人情報は日韓保険法プレフォーラムご参加のために使用し、それ以外の目的のためには使用いたしません。

日韓保険法プレフォーラム(4月9日水):ご参加のため登録をお願いいたします。
↑こちらをクリック

 

開催プログラム
(1) 開会の辞(15時00分~)
下山 憲治 先生(早稲田大学 先端技術の法・倫理研究所所長、早稲田大学法学学術院教授)

(2) 「韓国における実損保険の法的課題(仮)」(15時05分~15時50分)
報告者:MYUNG-HO HONG氏(Attorney at Law, Dowon Law Firm CEO、韓国保険法学会首席副会長(次期会長))
韓国語にて講演 通訳:申 鉉浩 氏(Dowon Law Firm 顧問)

(3) 「日本における最近の先端医療技術に対する補償保険のトピックス
-先進医療費用補償及び自由診療費用補償等-」(15時50分~16時35分)
報告者:長谷川 仁彦 氏(神奈川大学法学研究所客員研究員)
日本語にて講演 通訳:申 鉉浩 氏(Dowon Law Firm 顧問)

(4) 閉会の辞(~16時40分)
李 洪茂 先生(早稲田大学商学学術院教授、早稲田大学 保険研究所所長)


【開催報告】

2026年4月9日(木)、早稲田大学早稲田キャンパス及びオンラインにて、早稲田大学先端技術の法・倫理研究所主催、比較法研究所共催による日韓保険法プレフォーラム「先端技術と保険補償—日韓比較—」が開催されました。現代社会における先端技術の急速な発展は、従来の保険法制に対して新たな変容と課題を突きつけています。本講演会は、こうした状況下で日韓両国の保険法が直面している諸課題を浮き彫りにし、先端科学技術を踏まえた今後の法制度の方向性を展望することを目的として企画されたものです。当日は、教室での参加に加え、ウェビナーにも多くの視聴があり、学内外から計29名にのぼる参加者が集まりました。

第1報告:Myung-Ho Hong氏「実損医療保険の現状および課題と制度的改善方案」

Myung-Ho Hong氏は、韓国における民間の医療保険の法的課題について報告されました。

Myung-Ho Hong 韓国保険法学会首席副会長

実損医療保険は、公的保険である国民健康保険がカバーしない自己負担分や保険適用外診療費を実費で填補し、国民の医療費負担を軽減する目的で導入されました。現在、実損医療保険の加入者は国民の約7割に上ります。
他方、実損医療保険は、モラルハザードや医療機関の過剰診療等を背景に保険料上昇と補償の縮小が進み、制度本来の目的が揺らいでおり、制度改善は急務であるとみられています。
Hong氏は、現行制度には大きな問題点が2つあり、これらの問題が保険料上昇を招き、善良な加入者にも負担が転嫁され、結果として多数の人が不利益を被ることになると指摘されました。第一に、保険適用外診療が公的な価格規制を受けておらず、診療価格が市場原理に委ねられることです。第二に、徒手治療(マッサージのような物理療法)や注射治療のような特定の自由診療の項目に保険金の支払いが集中していることです。
制度の改善策として、Hong氏は3つの方策を挙げられました。第一に、保険商品の商品構造を精緻化し、過剰診療やモラルハザードの生じにくい仕組みを商品設計の段階で構築することです。第二に、官民が連携して協力関係のもとで管理する体制を整備し、保険適用外の診療に対する管理を強化することです。第三に、保険詐欺や虚偽請求に対しては、刑事処罰を含む制裁を設けることです。
最後に、Hong氏は、制度の機能不全を解消することが、消費者保護の実現につながるとの展望を示されました。

第2報告:長谷川仁彦氏「日本における最近の先端医療技術に対する保険商品のトピックス―先進医療費用、自由診療費用補償その他―」

長谷川仁彦氏は、日本の民間医療保険、とくにがん保険において、先進医療や自由診療が実務に与える影響について報告されました。

長谷川 仁彦 神奈川大学法学研究所客員研究員

先進医療は、公的医療保険制度の対象外で高額な技術料が発生するため、生命保険・医療保険では、その技術料を補償する先進医療給付金等が提供されてきました。
名古屋高判令和6年10月2日(判例集未搭載)は、複数の保険会社に加入して技術料を請求した事案について、先進医療保険は損害保険であると判断しましたが、長谷川氏は、約款上は定額保険として理解すべきであるとの見解を示されました。
治療技術の向上等により、がん患者の入院日数が短縮され、外来患者が増加したことで、がん保険に求められる補償のあり方は変化し、入院費用に対する補償から、通院治療や先進医療・自由診療費用の補償へと商品設計の比重が移りつつあります。現在ある自由診療保険は、自由診療にかかった費用を一定の範囲で実費を補填するもの(損保系)と、自由診療を含む治療を約款上の区分に沿って所定の給付として保障するもの(生保型)が主流です。
近年登場した尿検査等によるがんリスク検査は、引受リスクの増大、保険加入者の健康状態告知義務違反、責任開始期の潜脱行為、保険料上昇などの問題を生じさせ得ると長谷川氏は指摘されました。
最後に、長谷川氏は、近年登場した予防給付型保険に触れ、死亡保障から健康増進へと保険商品のトレンドが変化し、健康寿命延伸のための商品開発が進んでいることを紹介されました。

質疑応答

質疑応答では、韓国におけるモラルハザードの問題や、がん保険における技術進歩と保険設計の緊張関係について質問が寄せられ、講演会は盛況のうちに幕を閉じました。

(文:野村 春歌 比較法研究所助手)

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