当研究科修了の先輩だからこそできる、既修・未修の後輩に対する親身な学修サポート
終わりのない法律の勉強のなかで、学生の迷いは尽きないもの。早稲田ロースクールでは、「アカデミック・アドバイザリー制度」が、学修のフォローアップに加え、実務家の経験談や日々の勉強法など、細部に渡るアドバイスをおこなっています。この制度の持つ意味や可能性を在学生とAAの双方に語っていただきました。
AA制度を通じて生まれる先輩との絆
太田:本日はよろしくお願いします。私はアカデミック・アドバイザー(以下AA)の太田です。早稲田大学法学部卒業後、未修者として入学しました。現在、東京で一般民事を基本とする弁護士をしています。私自身AAをしておりますが、先輩弁護士を中心とした約60名のAAの管理や開設講座の検討などコーディネーターとして本制度の運営を行っております。では、まずはみなさんの自己紹介からお願いします。
下向:私は大学を卒業後、7年ほど厚生労働省で働いておりまして、その後ロースクールに未修者として入学しました。在学中は交換留学制度を利用してミシガン大学で学び、ニューヨーク州の司法試験に合格しました。現在は、弁護士として事業再生や労働関係の案件を中心に担当しています。
橋本:同志社大学法学部を卒業し、未修コースに入学しました。現在3年生です。
趙:私は、慶應義塾大学法学部で国際政治を専門に勉強していました。大学卒業後は専門商社で3年間営業職をやり、冷凍コンテナ機械を売っていました。主に中国企業を担当していましたが、もっと国際的な舞台で専門性を持った仕事をしたいと思いまして、未修コースで入学しました。現在は2年生です。
豊田:同志社大学法学部を卒業し、今年既修コースで入学した2年生です。早稲田に入学した理由は2つありまして、1つは実務が学べる刑事クリニックを受講できること。もう1つは下向AAに憧れて入学しました。
宮上:私は早稲田大学の人間科学部に所属している時に、将来スポーツ関連の法曹になりたいと考えまして、入学しました。未修コースで入ったのですが、やっと1年近く経過しまして、落ち着いてきたのかなと思います。
太田:みなさんにとって、AA制度はどのように役立ちましたか?
橋本:私は1、2年生の時には授業の勉強で余裕がなかったため、なかなか講座を受けられなかったのですが、一度、苦手な憲法の文書起案を持って下向AAに見ていただいたことがあります。3年生になってからは法律文書作成ゼミや憲法と刑法、民法などの科目別集中ゼミを受けさせていただきました。教えていただける先生方によってスタンスが違っているのが面白かったですし、学生同士では議論が行き詰まってしまうことがあるので、AAの先生方に議論の筋道ですとか、法的問題に取り組む際の思考方法などを教えていただき、とても役に立ちました。
趙:フォローアップゼミをはじめ刑法、民法訴訟法、会社法など5つくらいAAゼミに参加させていただきました。その中でも1年生の時のフォローアップゼミは毎週2通起案を作成して臨み、なおかつゼミ中にもう1通起案をするというスパルタだったのですが、授業内容が濃密で、一番力が付いたと個人的には感じています。
太田:それは本当にスパルタですね。フォローアップゼミは、すべてがそんなにきびしいわけではないですよ(笑)。豊田さんは既修入学ですが、どうですか?
豊田:私もいくつものゼミに参加させていただきました。整理するのが難しいのですが、憲法、民法、証拠法、行政法、会社法などのゼミに参加したと思います。特に入学前の導入教育は全て受けさせていただいて、フル活用しました。私の学年から入学後一貫してAAゼミが受けられるようになったのですが、既修者として入学する際、どのくらいのレベルまで勉強しなければいけないのか不安でして、それを導入教育で、例えば1年生の学期末の試験を見せていただくことで自分の知識の足りない分野がわかり、入学までの期間をとても有効に使えました。
太田:宮上さんも導入教育は受けましたよね?
宮上:はい。導入教育を受けまして、期末問題も見せていただいたのですが、全然わからなくて(笑)。でも、入学後に純粋未修者・社会人フォローアップゼミを受けて、基本的な法的三段論法から法律文章の書き方まで教えていただき、本当に助かりました。授業や先生の話を聞いて勉強をしていても、書き方まではなかなかわからないこともありまして、書き方を教えていただくことで、なんとなく内容もわかってきたかなと思えることが出来るようになりました。
下向:未修で入った人達は、考え方や法律文章の書き方を早い段階で教わるのは必要ですね。フォローアップゼミでは、回を重ねるごとにびっくりするくらい格段に良くなります。あれは教えている側としても非常に嬉しいです。
太田:法律を学んでもらうことは当然必要ですが、学生の皆さんに先輩達と交流してもらいたいというのが、実は一番の望みです。そのために沢山の人にAAとして参加してもらって、ゼミだけではなくて先輩の事務所訪問みたいなものもやっていければと考えています。先生だけが教えるのではなく、先輩が教えることに重要な意味があるのはないか。私たちAAとしては、知識を得るだけではなく、先輩方との人間関係を形成していって欲しいという願いもあります。修了しても、例えば同じ弁護士になっても繋がっていることの大切さをわかって欲しいなと思います。
下向:私もゼミに参加してくれているみんなには事務所にも呼びますし、私の刑事弁護の法廷にも呼んだりしています。弁護士のイメージや自分がやって初めてわかったこと、実際にやってみて楽しかったことなどを早い段階で伝えていければいいなと思っています。
太田:司法試験に合格するためにAA制度を利用するということではなく、先輩達との交流が、このさき一生の財産になると思いますね。
AA制度を広がる可能性
橋本:早稲田は人数が多くて、そこがとても良いところだと思います。積極的にAAゼミに関わることで自分の可能性が広がりますし、モチベーションにも繋がります。知らない人と関わることが苦手な人もいるかと思いますが、せっかく素晴らしい先輩達が大勢いらっしゃるので、積極的に参加し、可能性を広げていただきたいと思います。自分に合う先輩が必ずいると思います。
趙:社会人出身の方が少なくなってきているのですが、早稲田のロースクールは年を経るごとに学修サポート体制が充実してきているので、もっと社会人出身の方に入学していただき、ロースクールを盛り上げて欲しいと思います。
豊田:私がAA制度をこれだけ活用できたのは、様々な機会にAAの方々さんとお話しさせていただいたことで距離が近くなって、相談しやすくなったのがきっかけでした。これからももっとそういう機会を増やして欲しいと思います。早稲田は、積極性さえあれば出来ないことがないほどに、十分な環境が整っていると思っています。
太田:司法試験に合格することはもちろん大事ですが、合格後のことも考えていただきたいと思います。早稲田には、AA制度を軸に先輩達とのつながりができており、さらにその先には約4000名以上の稲門法曹(早稲田出身の法曹三者)、ロースクール修了者によって構成される早稲田ロースクール稲門会による強力なバックアップがあります。そのネットワークを活用することで自分の可能性をより広げられると思います。これからもそのネットワークは拡大していきますし、それこそが早稲田ロースクールの強みだと思います。
下向:私もネットワークがあることが一番良いところだと思います。早稲田は人数が多いのもありますが、現在勉強している人、法曹として働き始めた若手、そして中堅・ベテランの人達が入り交じった良い交友関係ができあがっているのが素晴らしいところですので、もっとAA制度を活用して自分の将来の可能性を広げていってもらいたいですね。
AA 太田 和範(弁護士)
- 2006年
- 早稲田大学法学部卒業
- 同年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[3年標準課程]
- 2009年
- 早稲田大学大学院法務研究科修了
- 同年
- 新司法試験合格、第63期司法修習生
- 2010年
- 弁護士登録
千代田中央法律事務所に勤務
法律研究科アカデミックアドバイザー - 2011年
- 早稲田ロースクール稲門会事務局長
AA 下向 智子(弁護士)
- 1999年
- 京都大学法学部卒業
- 同年
- 厚生労働省入省
- 2006年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[3年標準課程]
- 2007年
- ミシガン大学ロースクール(LLMコース)
- 2008年
- ニューヨーク州司法試験合格
- 2009年
- 早稲田大学大学院法務研究科修了
新司法試験合格、第63期司法修習生 - 2010年
- 弁護士登録
- 2011年
- 西村あさひ法律事務所に勤務
法務研究科アカデミックアドバイザー
橋本 小智(3年生)
- 2009年
- 同志社大学法学部卒業
- 同年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[3年標準課程]
趙 詣(2年生)
- 2007年
- 慶應義塾大学法学部卒業
- 同年
- 伊藤忠メタルズ株式会社にて営業を担当
- 2010年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[3年標準課程]
豊田 紗織(2年生)
- 2011年
- 同志社大学法学部卒業
- 同年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[2年短縮課程]
宮上 泰明(1年生)
- 2011年
- 早稲田大学人間科学部卒業
- 同年
- 早稲田大学大学院法務研究科入学[3年標準課程]