私が日本語日本文学コースを志望した理由
私は学部生のときに日本語日本文学コースに所属していませんでした。それもあってか、大学卒業後、高校の国語科の教員として働いているうちに、国語科目に関する専門性をより高める必要性を感じるようになりました。その中でも特に古文への学びを深めたかったため、日本語日本文学コースを志望しました。
日本語日本文学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流
古典文学の研究に関する基本的な知識や作法があまりわからないまま修士課程に進学したので、最初は不安でした。そのような状況でしたが、先生や先輩が非常に優しく丁寧に教えてくださったので、安心して研究を進めることができました。また、研究室だけではなく、様々な演習や研究会に参加することによって、多様な先生方や先輩方の考えを吸収できたことも良い経験になりました。研究対象やテーマは人によって全く異なるので、自分とは違う分野の方からの意見はとても勉強になり、刺激になりました。
研究にかけた思い
ドナルド・キーン氏の『日本文学史』を読んでいて、ふと興味を惹かれたのが平安時代の公卿である小野篁の歌物語『篁物語』でした。短い文章ですが、実際に読んでみると面白い点や考察してみたい点がいくつもありました。しかし、調べていくにつれ、『篁物語』に関係した研究論文は決して多くなく、明らかにされていないこともまだ沢山あることがわかりました。だからこそ、自身の手で研究を進め、『篁物語』への理解を深めたいと強く感じました。
修了後、修士課程での生活を振り返って
二年間は本当にあっという間で、まだまだ研究したいことも、学びたいこともたくさんあります。専門性を高めたいと思って入学しましたが、ほんの少ししか成長していないという実感もあります。しかし、研究のことだけを考える二年間を過ごし、修士論文という一つの結果を残したことで、自信がつき、何より研究をする楽しさを知りました。専門性を高めるということは、知識を増やすことだけではなく、研究の楽しさを理解して、それを相手に伝える熱量を持つことでもあるのだ、と気が付きました。そういった気付きが、現在の教員としての自分を形作っていると感じます。本当に学びの多い二年間を過ごすことができ、修士課程で関わってくださった方々には心から感謝しています。
プロフィール
東京都出身。早稲田大学文学部心理学コース卒業後、都内の私立高校に就職。二年間の勤務を経て、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文学コースに進学。在学中は歌物語をテーマに研究。修士論文の題目は「小野篁逸話とその享受をめぐる研究」。修了後は渋谷教育学園渋谷中学高等学校にて国語科教員として働いている。
(2021年2月作成)