私が露文コースを志望した理由
大学に入学した頃からうっすらとではありますが、文学の研究をしっかりやってみたいという思いがありました。学部時代に出会ったユーリイ・オレーシャという作家が気になり始め、その作家を軸にレポートを書いたり卒論に取り組んでいくなかで、修士課程に進学してさらに研究を深めていきたいという気持ちになりました。進路を決めるときには教員の先生方もいろいろアドバイスしてくださり、大学院入試を受けることを決めました。
露文コースの雰囲気、教員・学生などとの交流
学部時代から共通する雰囲気として、教員の先生方に気軽に話しかけられる雰囲気がありました。コース合宿のような皆で盛り上がるようなイベントもあり、基本的には和気あいあいとした空気がありました。
大学院では貝澤ゼミでした。ゼミでは輪番で研究成果を発表していく形式でした。自分の週になると準備に追われ、その当時は大変でしたが、今思い返すと楽しい時間でした。ゼミ後の飲み会は、じっくり経験談を聞いたり、最近読んだ本の話で盛り上がったり、趣味の話をしたり、非常に楽しい時間でした。
また教員・院生・学部生を交えた勉強会や読書会なども開催されていて、私もいくつかの会に参加していました。今振り返ってみると、コース全体で文学を楽しむ雰囲気があったように思います。
研究にかけた思い
私は志望理由でも述べたようにオレーシャという作家、特に『羨望』という作品をテーマとしていました。正直「人文科学に貢献しよう」というような高尚な気持ちがあったわけではなく、自分が楽しいテーマを突き詰めようという思いが第一でした。とはいえ、ただ自分が楽しんでいるだけでは学問をする意義がないので、オレーシャ研究のなかで独自の立場を持つことは心がけていました。
修了後、修士課程での生活を振り返って
修士課程での2年間は、好きなことに一生懸命取り組めた期間でした。大変なこともありましたが、今でも楽しい思い出です。今でも当時の先輩方とは交流させていただき、露文コースのニュースレターの発行に仕事として携わらせていただいています。
修士課程では当然ビジネス的な素養が身につくわけではありません。ただ、生きていく上で文学・芸術などをじっくり考える土台ができたという意味で非常に貴重な経験だったと思います。また、副次的な産物ではありますが、修論のような長い文章を書く経験は人生でそうないので忍耐力は身につきました。
私は就職と博士課程進学をギリギリまで迷って、修士2年夏まで就活していなかったのに就職することに決めましたが、それでもなんとか生活できています。無責任な意見ですが、迷っているなら一度進学してみたほうが後悔はないかもしれません。人文科学に興味があって一度は真剣にやってみたいと思う人は、一度修士課程に進学してみたほうがいいと思います。
プロフィール
早稲田大学文学部ロシア語ロシア文学コース卒業後、早稲田大学大学院文学研究科ロシア語ロシア文化コースに進学。在学中はユーリイ・オレーシャの散文について研究。現在は印刷会社にて企画営業を担当。
(2021年2月作成)