Graduate School of Letters, Arts and Sciences早稲田大学 大学院文学研究科

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「歩く」楽しさ(フランス語フランス文学コース:太田未々さん)

太田未々(修士課程(フランス語フランス文学コースコース)在学生)

 

私がフランス語フランス文学コースを志望した理由

就職も決まらぬまま政治経済学部を卒業しました。そこで私は自分が一体何をしたかったのであろうかと考えた時、小さな頃から漠然と持っていたフランスへの憧憬や愛着をふと思い出し、一年間フランスのリヨンに語学留学をしました。そこでフランス語圏のマンガであるバンド・デシネとの出会いがあったのです。そして日本に戻ってきてから学士入学という制度を知り、勉強をしたいという気持ちを常に持っていた私は、もう一度大学に入り大学院にもきっと進学しようと決め、早稲田大学文学部の仏文コースへの入学試験を受けました。

フランス語フランス文学コースの雰囲気

学部生の頃から、仏文コースの空気は自由で穏やかで、楽に呼吸ができるように感じていました。大学院に進学し、対面授業も増え、先生方とより密接にお話ができるようになると、このコースがより一層好きになりました。どの先生方も温厚で熱心で博識で、話を聞いていると自分の視野があらゆる方向に広げられてゆくのがわかります。先輩方の研究対象も実に様々で、仏文コースは非常に開けた研究空間なのであると感じました。自分のような、正当な「文学」と言い難いバンド・デシネの研究も肯定してくれ、様々な助言をくれることが私にはとても嬉しく、このコースに進学して本当によかったと常に思っています。

研究にかける思い

バンド・デシネは着実に日本でも注目され始めているものの、研究者として数える事ができる人は少ないのが現状です。もともと私は紙媒体への愛着が強く、紙の本を擁護したいと思って注目したのがバンド・デシネでした。19世紀から、大衆向けの紙媒体である雑誌や新聞と深く結びついて発展してきたのがバンド・デシネというジャンルです。電子媒体が主力を担い始めている日本にも、本と読者との関係の新たな可能性を提示できるのではないか。そう考えて私はバンド・デシネの研究をしています。研究を進めてゆくごとに様々な分野との繋がりが発見でき、興味の対象が尽きることなく生まれてゆきます。いわば偶然の出会いから研究対象になったバンド・デシネですが、自分と非常に相性が良い分野だったと改めて思っています。

修了後の予定

修士課程に進んだ今、日々修士論文作成の為の研究や他分野の読書に心置きなく専心できることが何より楽しいです。次の本を読むために今の本を読み終えたいと考える時、自分が幸福であると感じます。この時間を少しでも長く続けたい。そして研究職への憧れも強いため、可能であれば博士後期課程に進み、フランスに行きたいと考えています。

しかしそれが私にとって唯一の道ではないことも知っています。私は、仏文コースで先生方や先輩方があらゆる方面に興味を持ち、楽しそうに研究している姿を見て「歩くこと」の楽しさを学びました。目的地を定め、そのために自分がとるのは「この道しかない」と決めつけると、その道を失った時に自分の人生も失われてしまったと考えてしまうかもしれません。しかし本当は、私が歩いているのは道などない広大な大地で、どこをどう歩いてどこに辿り着いても良い。その途上で様々な人に出会い様々な景色を見ることができる。私はフランスが好きで、本が好きで、バンド・デシネが好きです。そのことを自分の中に持ち続けている限り、私はどのような道でも「歩くこと」を楽しむことができます。私は自分が好きなものを「何故好きなのか」ということを知るために、これから先も歩んでゆきたいと思っています。

プロフィール

東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、早稲田大学文学部フランス語フランス文学コースに学士入学。その後早稲田大学大学院文学研究科フランス語フランス文学コースに進学。在学中はバンド・デシネを研究。修士論文の題目は「リーニュ・クレールと児童向け雑誌」 (予定) 。

(2023年2月作成)

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