Graduate School of Letters, Arts and Sciences早稲田大学 大学院文学研究科

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英文学コースでの学びと教え(英文学コース:岩崎雅之さん)

岩崎雅之(福岡大学人文学部 専任講師)

 

私が早稲田大学の英文学コースを志望した理由

大学院では修士課程、博士後期課程ともにE. M. フォースターとヴァージニア・ウルフというモダニズム期に活躍した作家の作品を研究しました。いわゆる「イギリスらしいもの」と、それに対するアンチテーゼを作品内で描く両作家の作品に大きな魅力を感じていたからです。振り返ってみますと、学部4年次には英語でもっと多くの文学作品を読んでみたい、そうしてもっと自分なりに文学について論じてみたいという気持ちが強くなっていたように思います。当時は将来に対するはっきりとした指針も持てずにいましたが、それでも思い切って大学院進学を選択しました。同級生たちがつぎつぎと就職を決めていく中、ひとり別の道を選択をするのは多少不安でしたが、あのときばかりは自分の直感を信じたのでよかったのではと思っています。

コースの雰囲気、教員・学生などとの交流

大学院では小田島恒志先生のゼミに入りました。先生はD. H. ロレンスと現代演劇の研究をされていて、ゼミではトム・ストッパードの『アルカディア』などのテキストを通じた翻訳の練習と学位論文執筆に向けた指導を受けました。プロの翻訳家の先生から直接指導受けられるというのはテクスト研究を行う上ではとても貴重な経験で、それは教員となったいまも活きています。ゼミはアットホームな雰囲気で、先生はいつも気さくに冗談を言われていました。大学院のゼミというと怖いところなのかな…と思っていた私の不安を初日から解消してくださいました。ゼミの指導を通じて作品と真摯に向き合い、英語だけではなく日本語も大切にするという早稲田大学の学統に触れることができたのも、自分にとってはたいへん価値あるものでした。

英文学コースの授業は教員と院生の距離が近く、そのために発表などの準備で大変なこともありましたが、同時に得られるものも多く、人生で一番成長できました。ゼミの先輩と後輩の交流からは多くの刺激をもらい、学問というのはひととひととのつながりを通じて広がり、受け継がれていくものなのだなと感じ始めたのもこの頃です。

研究にかけた思い

フォースターとウルフの作品にはいろいろな側面がありますが、特にヴィクトリア朝期のリアリズムとモダニズム期の実験的なナラティヴの相剋や緊張関係をどう読み解いていくのか、ということにはいまも強い興味があります。個人が社会の中で生きていく上で、どのようにリアリティを感じるのかという、普遍的な問題にかかわっているからだと思います。また、現代のイギリス作家たちが彼らの作品を下敷きにして創作活動を行っているので、作品研究を通じて過去と現在の結び付きを具体的に考察していくことは、現代を生きるひとりの人間としても重要な事柄だと思っています。

修了後、博士後期課程での生活を振り返って

現在はイギリス文学を教える教員として大学の教壇に立っています。英文学コースで学んだことを広く社会に還元すべく、今度は自分が文学の愉しみを学生に伝えられるよう日々悪戦苦闘しています。早稲田大学という場所は英文学を学ぶ学生にとっては特別な場所だと思います。坪内逍遥以来の英文学研究の歴史に直に触れることできますし、そのことを通じて自分の現在位置を把握することもできるからです。英文学コースで学ばれるみなさんには、ぜひ研究することの楽しさを知ってもらえればと思います。

プロフィール

東京都出身。早稲田大学大学院修士課程英文学専攻(修士課程)修了後、同博士後期過程英文学コースに進学。在学中はE. M. フォースターとヴァージニア・ウルフの作品を研究。博士(文学)早稲田大学。博士学位論文の題目は「The Aesthetics of Personality beyond Traditionalism and Modernism : A Study of E. M. Forster」。修了後は早稲田大学文学学術院非常勤講師を経て、2017年4月から福岡大学人文学部専任講師。現在も引き続きモダニズム期の作品研究をおこなっている。

(2022年2月作成)

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