Graduate School of Letters, Arts and Sciences早稲田大学 大学院文学研究科

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学び続けられる幸せ(英文学コース:牟田有紀子さん)

牟田有紀子(城西大学語学教育センター 助教)

 

私が英文学コースを志望した理由

私は子どものころから海外の児童文学が好きで、お気に入りの本に出てくるような英語圏の文化に携われる仕事をしたいと漠然と思っていました。中高生になって親に相談したところ、それは大学院に行って研究者になるのが一番だという助言をもらいました。それ以来、自分は大学院なるところに行くものだと思って学生時代を過ごしました。そのため、おのずと大学も大学院も、英文学研究が盛んなところを志し、早稲田大学に進学しました。

卒業論文も修士論文も大好きなフランシス・ホジソン・バーネットについて執筆しましたが、正直に言って大いに苦しみました。作品が好きなあまり、俯瞰的な視点を持つのに苦労しました。指導教授に支えられて、自分が本当に言いたいことが何なのかやっとの思いで書ききりました。勉強不足を痛感し、自分で考えられるようにならなければならない、英文学コースでもっと修行して研究者になりたいと強く思ったため博士後期課程への進学を志望しました。

英文学コースの雰囲気、教員・学生などとの交流

英文学コースは、学生を信じて、自分が納得いくまで深く深く潜らせてくれるところだと思います。私は博士後期課程のゼミでは学生が自分一人だったので、指導教授に研究についても研究者としてのライフプランについてもたくさん相談に乗っていただきました。毎回のゼミで色々なことを話し、指導していただけるのはとてもありがたいことでした。

私にとって大事な交流の場だったのが、英文学コース室です。当時の助手の先輩がとても親切で、いつも後輩たちの相談に乗ったり、先生方、先輩方、学生の皆との交流の場を設けたりしてくださいました。この時出会った方々には今もお世話になっており、仕事や研究の相談に乗っていただいています。博士後期課程では一人で研究して過ごす時間が長くなりますが、心細く感じることはなかったのはコース室のおかげだったと思います。

研究にかけた思い

私は修士課程では文学のゼミに所属して、バーネットの小説を扱いました。しかし次は一人の作家に焦点を絞らず、もっと広い視点で少女文化を捉えたいと思い、文化研究のゼミに移らせていただいて、ヴィクトリア朝の少女雑誌の研究を始めました。雑誌には小説、エッセイ、詩、絵、楽譜、料理のレシピ、お便りコーナーなど色々な記事が掲載されますが、その端々から、少女のための新しい文化を創り出そうとする編集者と読者のエネルギーを感じます。少女雑誌の誕生によって、読者は単に読むだけではなく、書いて投稿する機会を得ました。読者が参加するようになってから、雑誌が提示する少女像は急速に変化していったのです。この変化に着目して、「少女文化の形成における読者の役割」を自分のテーマにしました。本場の雑誌研究を学ぶために、イギリスへの留学にも挑戦しました。小説でも雑誌でも、既存の価値観にとらわれない少女を見つけることに、院生時代も今も情熱を注いでいます。

修了後、博士後期課程での生活を振り返って

大学院を離れた今思うのは、なんと幸せな時間を過ごしていたのだろうかということです。早稲田には、すぐ近くに国際的に活躍されている先生方がいらっしゃって、一緒に勉強してくれる院生仲間がいて、日本有数の蔵書を誇る図書館とデータベースがあります。こんなに恵まれた環境はありません。博士後期課程は、たくさん読んでたくさん考え、資料と自分自身と徹底的に向き合った、宝物のような時間でした。

今は大学で英語教員をしているため、もちろん英文学コースで培った英語力や人に説明する力が大いに役に立っています。そして研究をするときには、早稲田にいたころの姿勢を思い出して自分を鼓舞します。大学院を出ると研究に費やせる時間が少なくなるというのは、誰しもが経験することだと思います。読む時間も書く時間もなく、諦めそうになるときに自分を支えるのは、大学院で頑張った記憶です。今こうして独り立ちできているのは、頑張れる環境を与え、見守り、支えてくださった英文学コースの皆様のおかげと心から感謝しています。研究者としても教員としてもまだまだ駆け出しですが、英文学コースで長年の夢を叶えることができて、本当に幸せな人生だと感じています。

プロフィール

宮崎県出身。早稲田大学文学部英文学コース卒業後、同大学大学院文学研究科英文学コース修士課程・博士後期課程に進学。博士後期課程ではヴィクトリア朝少女雑誌にみる少女文化の変容について研究し、同テーマで英国レスター大学の修士課程を修了。博士後期課程修了後は、文学学術院英文学コース助手を経て、現在は城西大学語学教育センターにて勤務。

(2022年3月作成)

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