劇場企画『手探りの準備』について
劇場企画『手探りの準備』は、劇場で公演を実施する手前の、創作の手を動かしはじめるきっかけの部分を支援するプログラムです。ただそれは「劇場から参加者にアドバイスをする」ということでは決してなく「お互いの手探りに立ち会う(その練習をする)」場を想定しています。
プログラムは大きく二つに分かれています。
参加メンバーがそれぞれ手を動かしてみる〈企画〉と、メンバーで集まってその進捗報告や次なる作戦の意見交換をする〈準備室〉です。各メンバーの〈企画〉は基本的には公開で実施する予定です。情報は随時HPやSNSなどで告知していきます。〈準備室〉は月一回ミーティングしています。メンバー以外の参加は基本的にできませんが、テキストによる記録や振り返りイベントなどで内容を公開できればと思います。
手探りの準備 中間報告・振り返り座談会
劇場企画『手探りの準備』は、どらま館の2023年度年間プログラムとして動き出し半年が経ちました。5月から現在6名いる参加メンバーの〈企画〉も何度か実施され、また月1回の〈準備室〉ではその現状報告や振り返りが行われました(企画概要はこちらをご確認ください)。
ただ、作品や上演になる前の作業を一から扱い始めたことなどの事情も相俟って(?)、どうしても表に出る情報が少なくなってしまいました。現在どらま館のHP上に掲載されている〈企画〉は4つですが、実際には非公開のものもいくつかあり、また〈準備室〉を踏まえて各自考えが変わったりなど、外から見えないところで起こっていたことはたくさんありました。
この企画では、『手探りの準備』という企画自体を紹介したうえで、参加メンバーがこの半年で取り組んできた「手探り」について報告・振り返りを行います。また、ゲストに演出家・ドラマトゥルクの曽根千智さんをお招きし、アーティストの創作をサポートする取り組みについて学外ないし国外のものを参照しながら、創作と劇場の可能なる関係について話せればと思っています。
ここで紹介・報告される取り組みは、必ずしも「作品」や「成果」として評価できるようなものばかりではないかもしれません。しかしそのような〈手探り〉なしに「作品」や「成果」は当然ありえないはずです。にもかかわらず、自分や他人のそのような〈手探り〉とどのように付き合っていけばいいのかは、まだあまり社会的に話し合われていないのではないでしょうか。
まだまだ手探りの段階ですが、参加メンバーのミクロな悩みや「ちょっとやってみた」から、創作と劇場、創作と社会のマクロで制度的な関係について、もしよければ一緒に考えていただけると幸いです。
浜田誠太郎
日時・スケジュール
2023年11月5日(日) 13:00~16:00
第一部(前半):各自の振り返り報告
第二部(後半):座談会
※出入り自由、途中休憩あり
会場
早稲田大学学生会館W405+オンライン
定員
会場:15名程度
オンライン:なし
参加費
無料
予約方法
- 会場
予約不要・入退場自由
- オンライン
タイトルを「手探りの準備 中間報告・振り返り会」とし[email protected]までご連絡ください。当日のオンラインリンクをお送りいたします。
ゲスト
曽根千智(そね ちさと)
演出家・ドラマトゥルク・リサーチャー。兵庫県出身。大学卒業後、一般企業で研究開発職として働きながら、こまばアゴラ演劇学校無隣館(3期)で学ぶ。現在は、プログラム・コーディネーターとしてアーティストの創作活動を支援するほか、自身のリサーチプロジェクト(科学技術コミュニケーションと演劇性、当事者性をめぐる演劇の副作用、DIYの実践)を進めている。制作と創作を往復しながら、交わり往来する舞台芸術の周縁を見つめたい。
登壇者
内田倭史(うちだ まさふみ)
1996年生。大分県出身。俳優・脚本・演出。王子小劇場職員。2016年に劇団スポーツを旗揚げ。“わかっちゃいるけどやめられない“をモットーに創作を行う。俳優としての主な出演作は『福島三部作・第一部 1961年:夜に昇る太陽』や映画『ビューティフルドリーマー』など。最近は「葛藤クラブ」という、葛藤で遊ぶ集まりを開いている。
荻原永璃(おぎはら えいり)
1989年生まれ千葉県出身、琉系二世。演出、劇作。アムリタ主宰。 より良く生きるための演劇を標榜し、2012年よりアムリタを旗揚げ。2014年、利賀演劇人コンクール奨励賞受賞。近作に、松井文の楽曲からつくる「他人によせて(東京・荒川河川敷)」、奈良・町家の演劇祭はならぁと参加「ひかりのわかれる、(奈良・喜楽座)」、「虚構の恋愛論2018(東京・BUoY)」。
浜田誠太郎(はまだ せいたろう)
1996年生。俳優、演劇研究。早稲田大学大学院文学研究科表象・メディア論コース博士課程。研究の関心は20世紀ロシアの演劇論の思想史的背景とその実践の記述。どらま館制作部にて「ものやことに戻る」と「わけてならべて遊ぶ」をスローガンに読書会やワークショップなどを企画・運営。俳優としての特技は目立たないこと。
マツモトタクロウ
1998年岡山県生まれ。脚本家・演出家。制作部としてCM・MV・映画等数々の映像作品に携わる傍ら、2022年にデザイナーの渋木耀太、制作の重村真輝とともに、自分たちの創作プラットフォームとして「劇団ヅッカ」を旗揚げ。以降、企画・劇作・演出を手がける。代表作に、#0「演劇:恐怖について」(イズモギャラリー/2022年9月)、#1「祭典:RAKUDA」(早稲田小劇場どらま館/2023年3月)。
宮崎晋太朗(みやざき しんたろう)
1984年生まれ、神奈川県出身。早稲田小劇場どらま館劇場制作。早稲田大学入学から演劇をはじめる。卒業後も主に俳優として出演を重ねて、2018年から現職。2019年以降、劇場プログラムの企画制作、学生スタッフのマネジメントを中心に担当する。
谷田部美咲(やたべ みさき)
東京都出身。早稲田大学文化構想学部出身。在学中、俳優活動を始める。 卒業後、大阪府の高等学校で演劇の専任教諭を務める。演劇・ダンスを使用し、 身体を基盤とした表現教育を実施。また、多数のアーティストを招聘し公演を行う。 2020 年 3 月退職し、俳優としての活動を再開。役を演じつつその人がその人らしくいられる(と見える)瞬間を生み出すことをテーマに、演劇的手法を用いた場づくりに取り組んでいる。