挿絵の黄金時代
~ギフト・ブックの時代~
場所:戸山図書館
会期:2025/1/15~2025/1/25
写真製版の技術が実用化され、カラー印刷が可能になると、水彩で描かれた原画がそのまま、挿絵として印刷物に再現されるようになりました。
繊細な、美しい色彩の挿絵で彩られた本は、当時の人々を魅了しました。20世紀初め頃のことです。挿絵の原画は美術館や画廊で披露され、本は豪華な装幀がなされて、クリスマスの贈り物として人気を博し、「ギフト・ブック」と呼ばれました。グリム童話やアンデルセン童話、アラビアン・ナイトなど、妖精や小人、騎士やお姫様の、魔法の世界が題材に取られ、挿絵は幻想的、エキゾチックな、この世ならぬ雰囲気をまとっています。
これらの挿絵の影響は同時代に留まらず、ディズニーのアニメーションに出てくる妖精たちのデザインや、岡本帰一や初山滋といった、日本の童画家の作品にもうかがわれます。現代のファンタジーや妖精のイメージにも、通じるものが見出されるかもしれません。
第一次世界大戦(1914-1918)によって物価が高騰し、用紙と生産とが制限されると、贅沢な「ギフト・ブック」は製作がむずかしくなり、戦争が終わっても、復活することはありませんでした。
今回の展示では、「挿絵の黄金時代」と言われているギフト・ブックの作家たちの作品を、戸山図書館の館蔵品によって展観します。
2025年1月
戸山図書館