場所:戸山図書館
期間:2019/3/19~2019/4/23
今年も出会いと別れの春がやってきました。早稲田大学では、「都の西北」で始まる校歌や、応援歌「紺碧の空」といった「早稲田の歌」を歌って卒業生を送り出し、新入生を迎え入れます。また、式典の時だけでなく、「早稲田の歌」は、早稲田人が集うさまざまな場面―早慶戦、サークル活動、或いは仲間との酒席―でも歌われます。
もっともよく歌われるのは、やはり、早稲田大学校歌でしょう。早大生以外にも「都の西北」で知られるこの歌は、相馬御風作詞、東儀鉄笛作曲、明治40年、創立25周年に際して制作されました。校歌の制定は、坪内逍遙と島村抱月が主導し、もともとは在学生から歌詞を募集しましたが、これという作がなく、文学科卒業生で、当時まだ25歳だった御風が作詞を命ぜられることになります。
私はその時はまだ学校を出てからやつと二年目の若輩でありましたので、それをひどく光栄に思つて大に緊張した気持で取りかかりました/(…)作にとりかかつてから出来上るまでには、少くとも十日以上の日子を費やしました。この間殆んどその事がかり考へてゐました/(…)式典にいよいよ校歌のうたはれた時、私は目から涙が出てしかたありませんでした。
相馬御風「校歌の由来」『早稲田学報』395(1928.1)
この回想には「歌が出来上つてから東儀さんへ廻しまして、作曲にとりかかつていただきました。東儀さんもかなり永くかかられたやうでした」とあり、御風の詞に、後から曲が付けられたことが分かります。御風や鉄笛は、イェール大学の学生歌 “Old Yale” など、英米の大学校歌を参考に作詞・作曲しました。25周年記念式典に向けての練習は、校庭に全校生徒を集め、鉄笛の指揮で何度も行われたそうです。
今回は、御風の書による『都の西北』(複製)の他、その替え歌が記されている早稲田大学図書館初代館長・市島春城の自筆資料、1949年の早慶戦記念に作成された早稲田大学校歌・応援歌の歌詞カードなどを展示します。図書館らしく資料で「早稲田の歌」を歌い、学生諸君の前途を祝します。
2019年3月 戸山図書館
※戸山図書館入館には入館資格が必要です。
※本ニュース中の画像2点は、古典籍総合データベースから引用しました。