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<展示> 『どらくろ』の時代

『どらくろ』の時代

場所:戸山図書館1F展示ケース
期間:2018/11/30~2019/1/11(予定)
※戸山図書館入館には入館資格が必要です。

葛飾北斎の「北斎漫画」に代表されるように「漫画」という言葉は早くから存在し、また平安時代末頃に成立したとされる「鳥獣人物戯画」(国宝・高山寺蔵)などにその原点を見ることもできる。さらに明治時代になりヨーロッパの政治風刺漫画の影響を受けて、『団々珍聞』、『東京パック』などが刊行されるが、現代のような「漫画」「マンガ」が一般的になるのは昭和初期のことと言ってよいだろう。その最大の功労者が田河水泡とその代表作『のらくろ』であることは間違いない。

講談社の少年誌『少年倶楽部』で田河水泡の「のらくろ」の連載が始まったのは、1931年(昭和6)1月号である。当時の『少年倶楽部』はすでに吉川英治、大仏次郎らの小説、高畠華宵、齋藤五百枝らの挿絵で人気を博していたが、「のらくろ」の連載後は漫画が誌面に占める割合が増えてゆく。「のらくろ」は戦前に単行本が10冊、戦後に3冊刊行されて大変な人気を博し、以降の日本漫画史に多大な影響を与えた。幼かった手塚治虫も「のらくろ」を模写したという。主人(犬?)公の「のらくろ」は、漫画を飛び出し、ハーモニカや、筆箱といったさまざまな子ども向け商品に使用され、これらはいわゆる「キャラクターグッズ」の先駆けであるが、なかにはキャラクター使用に際し、著者の承諾を得ていない無許可のものも多かったようである。

明治以降、縁日などで子ども向けに販売された講談本や落語本を表紙の色使いから「赤本」と呼ぶが、昭和になると「赤本漫画」が登場、『のらくら』、『のらくさ』、『のら黒兵衛』など、『のらくろ』を模倣した作品が多数出現した。今回展示するのはそんな作品の一つ、『どらくろ いくさ物語』である。主人公が黒犬ではなく、黒猫である点を除き、その内容は酷似している。裏表紙に「昭和九年三月一日印刷/昭和九年三月五日発行」、「画作兼印刷発行者」として金井直三とある。金井は1930年代を中心に絵本や児童書を数多く作成・販売していた作家・出版者で、その著作は日本近代文学館にまとまって所蔵されている。

二等卒(二等兵)として入隊したのらくろは、持ち前の度胸と機転で昇進を重ねてゆく。どらくろも同様であるが、本書の巻二にあたる『どらくろ伍長』の最後では、曹長になっている。本書の出版は、前述の通り1934年3月。対して「のらくろ曹長」の連載が始まるのは『少年倶楽部』1935年2月号である。後発のどらくろの方が、曹長昇進は早かったようだ。『どらくろ いくさ物語』の他、『のらくろ』シリーズ(復刻版)や関連資料も展示する。日本漫画史の一端を感じてほしい。

2018年11月 戸山図書館

Dates
  • 1130

    FRI
    2018

    0111

    FRI
    2019

Place

戸山図書館

Tags
Posted

Wed, 05 Dec 2018

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