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【図書館ボランティアスタッフLIVS 地下書庫探検隊!】第3回 大学入試からみる早稲田の歴史

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皆さん、初めまして!早稲田大学図書館ボランティアLIVSの竹内です。

早稲田生の皆さん、もうすぐ期末試験ですね。調子はいかがでしょうか。試験といえば、つい先週末にセンター試験がありましたね。大学入試に関する様々な思い出がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、「早稲田大学の入学試験」をテーマに、図書館にはどのような資料があり、これまでどのような出来事があったのかを調べてみたいと思います!

WINEでキーワードを検索

まずはWINEを用いて、早稲田大学の大学入試に関する資料を検索したいと思います。キーワード検索で「早稲田 and 大学入試」と入力してみると、様々な資料が見つかりました!

その中に早稲田大学入試要項という資料があります。図書館には、過去の入試要項も収められているのですね。こちらの資料をクリックしてみましょう。

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昭和31年からの入試要項が見られるようです。60年以上も前の入試要項って一体どのような感じだったのでしょうか?気になりますね。資料は中央図書館地下書庫にあるようです。早速向かってみましょう。

 研究書庫で『早稲田大学入試要項』を読む

今回探す『早稲田大学入試要項』の請求記号は、10 01876〜01877と書かれてあります。図書館をよく利用される方であれば、一般的な請求記号と少し違うことに気づかれたかもしれません。

実はこれは早稲田分類という早稲田大学独自の分類方法で、B1階の研究書庫ではこれに従って本が分類されています。今回の資料の場合、「ト」が教育で、その中の「10」が早稲田大学の本を示しています。

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B1研究書庫の入り口にたどり着きました。今回の棚は「ト」なので、入り口をまっすぐ進んで、左奥です。

電動書架のため、ボタンを押して動かします。

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開きました!

早稲田大学に関する棚ということで、やはり様々な本が並んでいますね!
大正時代の『早稲田大学入学案内』など、興味を惹かれるものもたくさんあります。

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その中に、探していた『早稲田大学入試要項』を見つけることができました。1年ごとに発行され違う年度のものが何冊かありますが、今回はなるべく古いものを見てみましょう。

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古い….。そして、意外に薄い…?

開いてみると、この資料は冊子の形式をとっておらず、中には試験要項の紙が一枚と、当時の受験票と入学志願票が綴られた用紙が入っていました。

試験要項の紙の方には試験科目や入学検定料、手続き情報など当時の早稲田大学の様子が分かる情報が記載されてあります。

例えば募集している学部は政治経済学部、法学部、文学部、商学部、教育学部、理工学部で、教育学部以外はそれぞれ第一学部(昼間)と第二学部(夜間)に分かれていたようです。

また試験科目は法学部や文学部が国語・外国語・社会の3科目、理工学部が数学・外国語・理科の3科目など、驚くことに現在の一般入試の科目とほぼ変わらないようです。

その一方、費用に関しては今とは大きな違いが見られます。入学検定料は2500円、授業料は文系が年26000円、理系が33000円と書かれてあります。現在の私たちから見ると安いようにも感じられますが、当時の価値に換算すると今と同じくらいなのかもしれませんね。

現在と昔の入試の違いや共通点を見つけることができ、興味深い資料でした。さらに他の資料も探してみましょう。

件名を使ってWINEで検索をする

先ほど「早稲田 and 大学入試」とキーワード検索した際に出てきた他の資料も見てみます。

早稲田大学入試問題の研究というタイトルの資料が5件もありますね。出題傾向と対策という題がついていることから、当時の問題集のようなものでしょうか。

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ここで、こちらの資料の件名に注目してみます。件名とは、本の内容がどのようなものかを簡潔に表したものです。こちらの資料にはいくつかの件名が書かれてありますが、今回は大学入試について調べているので「入学試験大学」をクリックして検索してみましょう。

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「入学試験 — 大学」の件名が付与されていて、先ほどのキーワード検索ではヒットしなかった資料がたくさん出てきました!この中から、さらに早稲田大学の入試と関わりがありそうな資料を探します。

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入学志願者に関する諸統計:中間報告
という資料が数多くありますね。早稲田大学教務部が発行したもののようです。当時の早稲田大学の入試に関するデータが載っている可能性が高そうです。請求記号を見ると、どれも先ほどの資料と同じト10の棚にあるようです。先ほどの棚に戻って探してみましょう。

こちらの資料も同じタイトルで年度の違うものが何冊かありましたが、1番古い年度の昭和三十年度入学志願者に関する諸統計を閲覧してみましょう。

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実はこの本、謄写版(ガリ版)と呼ばれる方法で印刷されたものです。中の本文は独特の手書き文字で書かれていて、今の本とは違った、温かみを感じますね。
(「年度」が逆に印刷されていて、手書きで修正されているのも味があって良いですね!)

この資料には倍率や受験者の出身地などの当時の受験生に関する様々なデータが記載されていました。

この資料によると当時の倍率が20倍を越える学部もあったようです!すごい。現在でも早稲田大学は難関大学と言われていますが、当時は今以上に狭き門だったのでしょうね。

こんなに倍率が高いとなると、受験生向けの広報などがどのようなものだったのか気になってきました。。。当時の時代背景も何か関係あるのでしょうか。

次は当時の新聞を見て手がかりを探してみることにします!

新聞で検索する

WINEのトップページから各種目録の学術情報検索をクリックするとこのような画面が表示されます。

おすすめのデータベースから、今回はヨミダス歴史館を選びます。

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上のタブで「明治・大正・昭和」を選択して、検索画面で「早稲田 AND 入試」と入力し、「検索する」のボタンをクリック。

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*読売新聞記事データベース「ヨミダス歴史館」の検索画面より

このような検索結果になりました。古いものでは、なんと1891年、早稲田大学がまだ東京専門学校と呼ばれていた頃の生徒募集広告も見ることができます!皆さんもぜひ見てみてください!

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*読売新聞記事データベース「ヨミダス歴史館」の検索画面より
先ほど見た入試統計の資料は昭和30年(1955年)頃のものなので、その頃の記事を見ていたら、気になったのが1966年頃の記事。特に2月頃に何十件もの記事があります。
記事のタイトルを見る限りほとんどの記事が「早大紛争」について扱っているようです。あまり馴染みのない言葉ですが、新聞記事のタイトルだけでも当時の緊迫した様子が伺えますね。。。

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*読売新聞記事データベース「ヨミダス歴史館」の検索画面より

「早大紛争」とは一体何なのでしょうか?

早稲田大学の歴史をまとめた資料であれば、きっと早大紛争のことも詳しく載っているはず…!ということで、早稲田大学に関してまとめてある本を探してみます。

参考図書コーナーで早稲田大学に関する本を探す

先ほどの中央図書館地下1階研究書庫では早稲田分類によって配架されていましたが、2階や3階では主にNDC分類によって配架されています。
研究書庫で「ト10」が示していた早稲田大学に関する資料は、NDC分類では「090〜097」にあたります。090〜097の棚にある本をざっと見たところ、2階参考図書コーナーで早稲田大学百年史という本が目に止まりました。この本は、1982年に創立百周年を記念して編集された全8巻から成る早稲田大学の歴史に関する資料です。これほど分厚い本であれば、早大紛争についても、何か書かれてありそうです…!

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早稲田大学百年史.総索引年表
で1966年2月頃の年表を見てみると、こちらには「学館・学費運動」とかかれてあります。どうやら先ほどの早大紛争と同じものを指しているようです。さらに早稲田大学百年史.第5巻には、その「学館・学費運動」について書かれてある章がありました。

その章によると「学館・学費運動」とは、1966年の1月から6月にかけて早稲田大学で起こったストライキのことのようです。きっかけは1965年12月に新しく建てられた第二学生会館の管理運営に関しての大学側と学生側での対立です。その後しばらくして学費が値上げされることが発表されると、学生から強い反発があり、先ほどの対立に追い打ちをかけるように反対運動を行うようになりました。学生数千人規模の抗議集会やボイコットが度々行われ、それによりその年の期末試験が延期されたり卒業式が中止されたりしたそうです。

入学試験も実施が危ぶまれたようですが、数千人の機動隊が投入され、機動隊の厳重な警戒や教職員などの警備の中、ロックアウト体制で入学試験を行い、無事に終了することができたようです。

1960年代は日本全国で学生運動が盛んであったことは知識として知っていましたが、これが入試にまで影響していたとは驚きでした。。。
そこで、WINEで改めて「早稲田大学 and 学生運動」と調べ、1966年付近の資料を探してみたところ、早稲田をゆるがした一五〇日という「学館・学費運動」の記録である本を見つけることもできました。

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この本を見てみると、早稲田キャンパスの正門付近にバリケードが張られ、多くの学生が大挙している当時の様子を示す写真がたくさん掲載されていました。普段私たちが過ごしている見慣れたキャンパスのはずなのに、こうも物々しい時代があったのか…と思わず息を飲んでしまいました。今日では当たり前のように行なわれている期末試験や卒業式も、当時は様々な問題があって、受けたくても受けられないという状況があった、ということにとても驚きました。

まとめ

今回は早稲田大学の入学試験をテーマに調べてみましたが、古い資料に触れながら、入試の歴史だけでなくそこから入学試験を取り巻く様々な事件や、勉学や大学に対する学生の姿勢なども知ることができ、図書館の資料を使った探索の奥深さを実感することができました。

現在の早稲田大学は、正門もきれいに整備されているので、受験生の皆さんは安心して入試を受けに来てくださいね!(受験生の入場は正門からです)

そして在校生の皆さんは、期末試験に向けて頑張りましょう。。。!!

今回使った検索ツール

WINE https://waseda.primo.exlibrisgroup.com/
学術情報検索 https://waseda-jp.libguides.com/imas
ヨミダス歴史館 https://waseda-jp.libguides.com/az.php?q=LGaz47316832

今回のお宝

【地下書庫】
早稲田大学(1956)『早稲田大学入試要項
早稲田大学教務部(1955)『入学志願者に関する諸統計 : 中間報告. 昭和30年度
早大闘争の記録編集委員会編、現代書房(1966)『早稲田をゆるがした一五〇日 : 早大闘争の記録

【2F 参考図書コーナー】
早稲田大学大学史編集所編、早稲田大学出版部(1997)『早稲田大学百年史.総索引年表
早稲田大学大学史編集所編、早稲田大学出版部(1997)『早稲田大学百年史.第5巻

* この記事の図書館書庫内の画像、資料の写真、データベースの画像は、早稲田大学図書館・読売新聞社の許可を得て撮影・掲載したものです。図書館内あるいは図書館資料・データベースを許可なく撮影すること、インターネット掲載は厳禁です。またこれらの画像の無断転用を禁止します。

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