【開催レポート】早稲田大学ボランティア・アカデミー【日本財団ボラセン×WAVOC】「災害ボランティア研修 入門編」
2026年6月29日、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)は、日本財団ボランティアセンターとの共催で「災害ボランティア研修 入門編」を開催しました。
今回は、日本財団ボランティアセンター災害担当スタッフの白鳥里桜氏、中村桜笑子氏を講師に迎え、災害ボランティアに関心を持つ学生を対象に実施しました。
本研修は、災害ボランティアに関心はあるものの、「現地で何をするのか」「自分にもできることがあるのか」といった不安や疑問を持つ学生に、災害支援の基礎知識や実際の活動内容を知ってもらうことを目的としたものです。
当日は、手話通訳による情報保障を行いながら、災害ボランティアの意義、活動内容、参加までの流れ、活動前に必要な準備などについて学びました。
研修では、講師が令和6年奥能登豪雨の被災地で携わった支援活動をもとに、現場での経験や学生ボランティアの役割について、具体的なエピソードを交えながらお話しいただきました。

なぜ災害ボランティアをするのか
最初に、「直接死」と「災害関連死」の違いについて説明がありました。
災害による建物倒壊や土砂災害などで直接命を落とすケースが「直接死」である一方、避難生活や生活環境の変化、心身への負担によって亡くなるケースが「災害関連死」とされています。
令和6年能登半島地震では、災害関連死が直接死を上回る状況となっており、災害後の生活支援の重要性が改めて浮き彫りになっています。
こうした現状を踏まえ、講師からは、「災害ボランティアには、災害から助かった命をつなぎ、災害関連死を一人でも減らしていく役割がある」との説明がありました。

一般的な災害ボランティアの参加方法
続いて、災害ボランティアの基本的な参加の流れが紹介されました。
災害発生後には、「緊急期」「復旧期」「復興期」と段階があり、一般の災害ボランティアは、主に復旧期から活動を開始します。
一般的には、被災地に設置される「災害ボランティアセンター」を通じて活動します。災害ボランティアセンターは、被災地の市区町村社会福祉協議会などが中心となって運営し、被災地のニーズとボランティアをつなぐ役割を担っています。
一方、災害時には、運営側も被災者であることが多いため、地域外の社会福祉協議会やNPO・NGOなどの支援団体が連携しながら、運営や活動を支えています。
活動前に必要な準備
災害ボランティアに参加する際には、事前準備が重要です。
必要な装備として、長袖・長ズボン、レインウェア、ヘルメット、安全靴、踏み抜き防止インソール、手袋などが紹介されました。
災害現場では、倒壊した家屋や瓦礫、釘、ガラス片などによる危険が多く、怪我や事故を防ぐことが最優先となります。特に、足元や頭部を守る装備は欠かせません。
また、ボランティア保険への加入も必須です。自身の怪我だけでなく、活動中に他者へ損害を与えた場合や熱中症・感染症なども補償対象となるため、参加前に必ず確認が必要です。
活動当日の流れ
活動当日の流れについては、2025年5月に日本財団ボランティアセンターが実施した、令和6年奥能登豪雨の被災地へのボランティア派遣時の実際のスケジュールをもとに説明がありました。
現地への移動と事前準備
初日は朝に東京駅へ集合し、新幹線で金沢駅へ移動。移動中にはオリエンテーションを行い、参加者同士で顔合わせをするとともに、活動時の注意事項や現地の状況を共有。さらに、昼食をとりながら、ヘルメットやレインウェアなどの装備を整えました。
⇒現地到着後すぐに活動を始められるよう準備を進めます。
現地での活動
現地到着後は、その日のうちに活動を開始。活動内容は、泥出しや家屋の片付け、支援物資の運搬など、被災地の状況に応じてさまざまです。
⇒限られた時間の中で、安全を最優先にしながら活動に取り組みます。
活動後の振り返り
活動終了後は宿泊場所へ戻り、入浴や夕食を済ませ、1日の活動を振り返る時間を設け、現場で感じたことや気づきを共有。
⇒振り返りを通じて学びを深めるとともに、心身のケアにもつなげています。
宿泊・生活環境
宿泊場所は集会所や民宿などを利用し、寝袋で休むこともあります。被災地では水道やガスなどのインフラが十分に復旧していない場合もあり、入浴や食事に制限が生じることがあります。実際に能登半島では、発災から半年以上断水が続いた地域もあり、限られた資源を工夫しながら生活する必要があったことも紹介されました。
学生が行った災害ボランティア活動
続いて、学生が実際に行った活動が紹介されました。
炊き出し・足湯
能登半島地震直後には、避難所で炊き出しや足湯を実施しました。
炊き出しでは、温かい食事を提供することで栄養面だけでなく、被災者の安心感や心の支えにもつながりました。
足湯では、足を温めながら被災者の話に耳を傾ける「傾聴」の役割が大きく、学生だからこそ生まれる自然な会話や笑顔が、心のケアにつながっていたそうです。
道路啓かい・家財搬出
復旧が進むにつれ、道路啓開や家財搬出などの活動も行われました。
倒壊したブロック塀の撤去や、被災家屋からの貴重品の取り出しなど、力仕事を伴う活動にも参加しました。
家屋再生(泥出し)
奥能登豪雨では、家屋内に流入した泥や土砂を取り除く活動も実施しました。
泥出しは、家の被害拡大を防ぐだけでなく、住民が再び暮らしを取り戻すための大切な一歩となります。
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活動中・活動後に気をつけたいこと
活動中に最も大切なのは、安全第一と体調管理です。ボランティアが怪我や体調不良になると活動全体が止まるだけでなく、依頼した住民にも大きな心理的負担を与えてしまいます。
また、被災された方の気持ちを考えた行動も欠かせません。写真撮影や家財の扱いなどは、必ず住民の意向を確認しながら丁寧に対応する必要があります。さらに、活動後には「惨事ストレス」にも注意が必要です。被災地で見聞きしたことが心に残り、精神的な負担になることもあります。仲間や家族と経験を共有し、振り返る時間を持つことの大切さも伝えられました。
学生だからこそできること
最後に、「学生だからこそできる支援」についてお話がありました。
被災地では、重機を使った大規模な復旧活動も重要ですが、それだけではありません。
学生が泥にまみれながら外壁を拭く姿を見て、「もう一度この家に住みたいと思えた」と話した住民の方もいたそうです。
また、宿泊先の民宿では、学生たちが炊き出しの準備をする姿がきっかけとなり、震災後初めて料理を再開したそうです。
このように、学生の存在そのものが被災者の希望や励ましにつながる場面も少なくありません。
講師からは、
「特別な技術がなくても、誰かの力になりたいという気持ちがあれば、それだけで十分」
というメッセージが伝えられました。
参加者の声
・災害ボランティアの準備から現地での活動内容まで、わかりやすく説明されていて大変参考になった。
・災害ボランティアの意義をより深く理解することができた。
・「直接死を免れた命をどうつなげるか」という言葉が特に印象に残った。
・特別な技能やスキルがなくても、自分にもできることがあるのだと感じた。
・手話通訳の情報補償をみて、災害に関する手話表現について新たな学びを得ることができた。
おわりに
今回の研修では、講師のお二人による被災地での実体験や具体的な事例を通して、災害ボランティアの意義と、参加するために必要な準備について学びました。
災害ボランティアは、特別な知識や技術を持った人だけが行うものではなく、「誰かの力になりたい」「被災地のために何かしたい」という思いから始められる活動であることや、学生だからこそ担える役割について学びました。参加者にとって、災害支援をより身近なものとして捉え、自分にもできることを考えるきっかけとなりました。
また、当日は手話通訳による情報保障を行い、多様な学生がともに学び、災害支援について考える機会とすることができました。
最後に、ご登壇いただいた日本財団ボランティアセンターの皆さま、手話通訳を担当してくださった皆さま、心より御礼申し上げます。そして、ご参加いただいた学生の皆さん、ありがとうございました。






