【開催レポート】早稲田大学ボランティア・アカデミー「首都直下地震に備えよう」第2回――その時、あなたは誰かの命を守れるか 開催報告
筒井久美子 講師(平山郁夫記念ボランティアセンター)
2026年6月23日(火)、早稲田キャンパス7号館201教室にて、早稲田大学ボランティア・アカデミー「首都直下地震に備えよう―第2回 その時、あなたは誰かの命を守れるか」セミナー&ワークショップを開催し、学生20名(うち協力学生4名)が参加しました。

人間科学学術院 古山周太郎准教授による講義
今後30年以内に70%程度の確率で発生すると言われている首都直下地震。
WAVOCでは、被災地への学生ボランティア派遣や、『体験の言語化』を通じて社会課題や自分自身の価値観・規範を明らかにする教育実践の知見を活かしたWAVOCならではの防災人材育成方法論の開発に着手しています。今回はその方法論を取り入れた2回目のセミナー&ワークショップです。
WAVOCが考える防災人材育成――正しい答えがない中で「暫定的な答え」を出す
従来の防災教育では、発災時にとるべき正しい行動があるという前提に立ち、知識・技術の提供が重視されることが少なくありません。しかし、災害時には、正しい答えのない中で判断や行動を求められる場面もあります。正しい答えがない中でもその都度、暫定的に答えを出して行動しなければなりません。
そこで、本セミナー&ワークショップでは、「暫定的な答え」を出し行動する力を磨くため、知識・技術だけでなく、実際に「暫定的な答え」を出す疑似的体験を提供します。また、私たちは無意識のうちに自分自身の価値観や規範に基づいた「暫定的な答え」を出しています。そこで「体験」を提供したのち、WAVOCが開発した教育手法『体験の言語化』で振り返りを行い、自分自身が出した「暫定的な答え」の背景にある価値観や規範への気づきを促します。そうすることで、発災時にも特定の価値観や規範だけに縛られずに「暫定的な答え」を出す力を養うことを目指しています。
避難に支援が必要な人々と居合わせた場面にフォーカス
第2回となった今回は、「その時、あなたは誰かの命を守れるか」と題して、地震発生時、避難に支援が必要な人々と居合わせた場面にフォーカスしました。

避難行動を体験

振り返りを行い自分自身の価値観・規範に気づく
冒頭、人間科学学術院の古山周太郎准教授から「災害時要配慮者」について講義をしていただきました。続いて、大地震発生時に車いすユーザーと居合わせた場面を想定し、実際に避難行動を体験しました。実はこの模擬避難行動の途中には、参加者を戸惑わせる場面が組み込んであります。それは、講義で車いすユーザーとの避難について学んだにも関わらず、避難行動中に階段の前で車いすユーザーから「これ以上避難したくない」と言われるというものです。
その後、グループに分かれ、この戸惑った場面についての振り返りを実施しました。WAVOC提供科目『体験の言語化』でTAを務める学生たちの協力を得て、参加者に対して「あなたはどのような行動をとりましたか」「なぜそのような行動をとったのですか」という問いを投げかけながら、参加者自身の行動について掘り下げ、その背景にある価値観や規範への気づきを促しました。最後に、グループワークを通して発見された価値観・規範を、参加者全員で共有していきました。
参加学生の声
参加者からは、グループワークを通して、
「逃げられない他者を見捨てるべきではないという思いとは別に、周囲の目を気にして1人だけ逃げることが出来ない自分がいることに気が付いた」
「車いすユーザーの人と避難するという実践を通して、『役に立てない自分』と向き合うことになり、他者と生き残るための知識や技術を身に着けたいと思った」
といった声が寄せられました。
たくさんの気づきが語られ、グループワークの時間が足りなくなるほどでした。

グループワークで出された意見
終わりに
今回の参加者の皆さんには、事前・事後のアンケート、終了後のヒアリングにも協力してもらいました。参加者の声を今後のプログラム設計に活かし、2026年度に予定する全3回のプログラムを通じて、防災人材育成方法論の開発を進めていきます。




