Waseda Goes Global: A Plan to Build a Worldwide Academic Network That Is Open, Dynamic and Diverseスーパーグローバル大学創成支援「Waseda Ocean構想」

News

ニュース

エコール・ポリテクニーク郡山幸雄教授 夏学期正規科目「ゲーム理論とその政治経済学への応用」を終えて

SGU実証政治経済学拠点では、エコール・ポリテクニークから郡山幸雄教授を招へいし、2021年度夏期正規科目をご担当頂きました。昨年度は同様の授業をオンライン形式で実施、今年度はコロナ禍で対面授業を模索する大学の方針の下、海外の優秀な教員から直接本学の学生にご指導いただく貴重な機会となりました。

郡山教授には質問にお答え頂く形で、今回の授業を振り返って頂きました。

講義の内容について教えて下さい。– この講義の目的(何を学生に求めたか)、学生の目標到達度、評価、講義内で使用した教材等

この講義では、複数の意思決定者間における戦略的相互作用の分析に、ゲーム理論の概念がどのように適用されるかを学びます。古典的なメカニズム設計から政治的な制度設計までのアプローチを用いて、経済現象の分析における「設計」の側面に焦点を当てています。根本にあるのは、効率性、安定性、公平性、平等性、耐戦略性などの望ましい特性が満たされるために社会のルールをどのように設定するか、という考え方です。ルールを設計するには、意思決定者のインセンティブを理解する必要があり、それが彼らの行動、ひいては社会的帰結に影響を与えることを考慮しなくてはなりません。委員会での投票、政党間の競争、国際機関での投票、米国大統領選挙などの具体例を通して、ゲーム理論の概念が政治経済や社会的選択理論にどのように適用されるかを学びます。

学生の質問に耳を傾ける郡山教授

具体例を使って発表をし、議論をすることに重点がおかれます。とくに、各受講生は講義の最後にピッチ(短時間でアイデアの要点のみを伝えるプレゼンテーション)を行います。コース中に学んだ分析ツールを使って、ゲーム理論的分析の独創的なアイデアに基づいた提案を発表することが求められます。また講義の前半には、ノーベル賞受賞者であるトマス・シェリングによる名著で、ゲーム理論を通して意思決定者間の争いと協調について我々の理解を大きく深めることになった「The Strategy of Conflict」を基に議論セッションを行います。これらの議論と発表を通して、学生はゲーム理論的概念の具体例への応用について、自分の頭で考え工夫をする貴重な機会をもつことになります。

評価では発表、ピッチに加えて、各授業への参加度に重点がおかれます。すべての学生がクラスでのディスカッションに積極的に参加することが求められます。講義終了時点には、講義を通して習得した概念を、自信をもって実用的な具体例に適用できることが求められます。

前回はオンライン、今回は対面形式となりました。異なる授業形態を実際に実施なさった先生のご感想をお聞かせください。

コロナ禍において講義の質を高いレベルで維持するためには、対面での授業が重要になります。とくに議論に重点を置くこの講義では対面で授業を行うことの大切さが際立ちます。同じ空間を共有し、互いに目を見て、身振りや仕草などを含めた多彩な意思疎通手段を使いながら議論することで、オンラインでは得られない学びの機会、発見と理解の喜びが得られます。コロナ禍を経て昨年のオンラインおよび今年の対面授業を比較することで、対面でのコミュニケーションの大切さを実感しました。

最後の授業で学生たちと一緒に

郡山先生はエコール・ポリテクニークで授業をなさっているかと思いますが、学生を含めて、フランスの大学との違い等、お感じになるところはございますか。

私は日本、フランス、アメリカで高等教育を受け、それぞれで教えてもきました。授業を比較すると、やはり日本の大学では学生からの質問の少なさを強く感じます。日本の学生から「質問をしたいけれど、どのような質問をすればよいのか分からない」という意見をよく聞きます。ことわざに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とありますが、私の意見では聞くのは「一時の恥」ですらありません。なぜなら、多くの場合ある学生が疑問に思って聞きたいと思ったことは、たいてい他の学生も聞きたいと思っているからです。ですので、他の学生が質問をしてその応答を聞くことで、他の学生も多くの場合は恩恵を得ているのです。それだけではなく、質問が来ることによって教員も「あ、この部分はもっと時間をかけて議論したほうがいいのかな」とか「この質問が出るということは、前回の内容をもっと詳しく説明したほうが

エコールポリテクニーク研究室にて

いいな」とか調節ができるのです。質問は自分だけでなく周りの人々にも好影響を及ぼす、より経済学的な表現を用いると質問は正の外部性を持つので、均衡では社会的に最適なレベルよりも質問の量は少なくなってしまう傾向があります。したがって、質問をする行為に物怖じを感じる必要はありません。多く質問をした方が社会厚生が上がる可能性が高いのです。私の授業ではなるべく質問が多く出るように工夫をしていますが、そうでない場合でも質問をどんどんして、議論によって理解を深めていく練習をしてほしいと思います。

最後にこの授業を受講した学生を含め、早稲田の学生に望むこと、メッセージなど、一言頂戴できますと幸いです。

コロナ禍で私たちは大きく移動の制限を受け、コミュニケーションも難しくなりました。さまざまな通信手段によって空間を超えた意思疎通のツールは手に入るようになりましたが、それでも人と顔を合わせて相談し、議論し、共同で物事を決めていく機会は減ってしまいました。

多様な選好や情報をもった人々が同じ社会で生きていく以上、多くの人と共同で決定をしながら生きていくことは人間の宿命と言えます。世の中ではあまりに多くの物事を共同で決める必要があり、その決定の性質によって私たちの生活は左右されます。財の配分から政治制度の設計まで、多くのことは社会的なメカニズムによって決まります。私有財の配分であれば市場制度、公共財や外部性のある財であれば税制や補助金、また再分配やセーフティネット、さらには新型コロナウイルスによる移動制限や自粛要請など、多くのメカニズムによって私たちの日常生活は大きな影響を受けます。

どのようなメカニズムによってどのような配分が得られるかを研究する経済学の分野をメカニズム・デザインと言います。この分野ではゲーム理論、行動経済学、実験経済学などを用いて、よりよい性質を持った社会制度の性質を研究します。実際の制度設計においても、学問的な知見が具体的な応用例に生かされています。

早稲田大学3号館 より良い社会の創出へ

早稲田大学では、これらの分野のみならず、幅広い範囲で最先端の研究が行われて「よりよい社会制度」の探求が行われています。その知見にふれる貴重な機会を得た皆さんには、ぜひその知識を生かして望ましい社会制度の実現に貢献してほしいと思います。

 

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/sgu/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる