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フランク・ホーレー研究の基盤と展望――遺品資料活用の未来像を開催

フランク・ホーレー研究の基盤と展望――遺品資料活用の未来像

 

2019年1月25日(金)、早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室にて、シンポジウム「フランク・ホーレー研究の基盤と展望――遺品資料活用の未来像――」がスーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点を主催とし、総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所の共催の下に開催された。

本シンポジウムは、1931年に英語教師として来日したフランク・ホーレーについて、ホーレー研究の第一人者である横山學氏(ノートルダム清心女子大学名誉教授・角田柳作記念国際日本学研究所招聘研究員)、藤原秀之氏(本学図書館員)、渡辺延志氏(歴史研究家・元朝日新聞記者)の三氏が、それぞれの立場からその魅力と可能性を中心に研究報告し、その後、参加者と意見交換を行うという企画のもと実現した。

まず会の冒頭、本学の李成市教授(文学学術院)から、現在までのホーレーの研究状況と今後の研究の方向性、研究のさらなる充実を目指すという開催の趣旨説明の後、日本学研究の新たな視点としては、横山氏の手元にあるホーレーの史料を関連研究と合わせて、広く継続的に情報発信することになるであろう、と今後の展望が語られた。

次に最初の報告者、横山學氏から、「ホーレー遺品資料の概要」と題して、人物フランク・ホーレー、遺品資料の経緯、資料の概要について発表が行われた。横山氏はホーレーについて日本文化研究を行った研究者、ロンドン・タイムズの特派員、ブックコレクターという3つの側面から捉えていると語り、ホーレーの死後、研究に活用してほしいとの願いからホーレーの個人史料が氏の手元に届いた経緯について触れた。また特派員時代の貴重な一次史料を一部公表し、今後の様々な研究の可能性について言及、さらに、東京裁判、マッカーサーの取材、朝鮮戦争、イアン・モリソンに関する記事や要人たちにインタヴューした時の報告書(バックグラウンドレポートと呼ばれるもの)があることから、今後特派員の氏名一覧の細部調査により当時の新聞記者の行動の推測が可能であると提示した。最後に、関西における日本研究のサロン「関西アジア協会」がホーレーを中心に設立されていたことを紹介し発表を終えた。

左から発表者の渡辺氏、横山氏、藤原氏

二番目の報告者、藤原秀之氏は「早稲田大学図書館所蔵の寶玲文庫について~F・ホーレー遺品資料の活用の一事例~」と題して、ホーレー遺品資料の概要、蔵書目録の概要、「寶玲文庫」の説明と資料の散逸について言及、本学図書館でも「寶玲文庫」の一部は所蔵しているが、それは散逸した部分に過ぎないと述べた。そのうえで、まずは現存する「寶玲文庫」の所在調査を行い、ホーレーの死後、売却時に作成された『ホーレー文庫蔵書展観入札目録』をつき合わせ、散逸した「寶玲文庫」をオンライン上で復元するという具体的構想について語った。今後は、他機関の状況確認と国内外の機関との連携の強化と本学古典籍データベース上への「ホーレー資料サイト」の構築が必要と述べ、その中で「ヴァーチャル寶玲文庫」、「ロンドン・タイムズ特派員のホーレー」「ホーレーの日本文化研究」「ホーレー伝」「学術雑誌『F・ホーレー資料研究』」の項目を立て、発信することも考えていると持論を展開した。実現すれば、サイトの閲覧からホーレーの資料も寶玲文庫も、さらにはそれらに関わる研究も一目瞭然になると、その展望とイメージを提示した。最後に、このプロジェクトは継続的なものとし、想定した研究期間終了後も追加情報を掲載・発信できるような体制を角田柳作記念国際日本学研究所と図書館が連携して進めていきたいという抱負を述べ、発表を終えた。

最後の報告者、渡辺延志氏(歴史研究家・元朝日新聞記者)はこれまでにGHQ資料の調査と研究を10年ほど続けてきた経験を基に、「占領期研究としてのホーレー資料:ジャーナリストの視点から」と題して、ホーレー資料の持つ可能性について語った。とりわけ1946年にホーレーが特派員として来日した時の状況、彼らにとって日本はどんな価値があったのか、ホーレーの日本駐在中に行われた戦争裁判はいかにして英国に伝えられ、それを英国はどのように受け止めたのかについて注視したいと述べた。さらに、自らの記者としての経験も交え、当時のタイムス紙の記事は文字数が限られている中で日本通のホーレーが伝えたかった日本とは何だったのか、そこに大きな関心を持っているとも語った。また、東京に設立された英国文化研究所の所長となったホーレーが、一体何を考え、何をしたのかという点にも興味があるとし、ジャーナリストとしてのホーレー、ならびに日英関係が破綻し日本が対米戦争へと大きく踏み出した時期の当事者でもあったという立場のホーレー、この2つの側面からホーレー研究の可能性を感じていると提示し発表を終えた。

質疑応答・討論の場では、本学学生から、ホーレーが仏教関係者との交流を活かして書物の収集を行っていた可能性について、一般の参加者から、横山氏が所有している個人資料は規模としてどれくらいなのか、ホーレーは美術には関心がなかったのかということについて、また国会図書館関係者からは、ホーレーの関連資料の全体像について、さらに本学の十重田裕一教授(文学学術院)からは、各国ジャーナリストがそれぞれどのように日本を見ていたのか、どういう日本像を再構築できるのか等々の質問があった。数多くの質問が出たことから、その後、ホーレー遺品資料のさらなる活用と研究の展望について活発に議論が行われた。

閉会の辞では、本学の陣野英則教授(総合人文科学研究センター所長)から、ホーレーは国際日本学の研究に最もふさわしい対象として新しい人文学のあり方を示すものであるとともに、これまで主にアメリカからの資料を通して占領下の日本をみていたが、様々な角度から見直す機会にもなるのではないかと新たな展望と提言があった。また、今後の総合人文科学研究センターの活動の一環にも活かしていきたいという意気込みも語られ、大変有意義な会となった。

イベント概要

講演タイトル: フランク・ホーレー研究の基盤と展望― 遺品資料活用の未来像
日時:2019年1月25日(金)16:30〜18:15
会場:早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室
主催:スーパーグローバル大学創生支援事業 早稲田大学国際日本学拠点
共催:早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所

開会の辞
李 成市(早稲田大学教授)
登壇者
横山學(ノートルダム清心女子大学名誉教授)  「ホーレー遺品資料の概要」
藤原秀之(早稲田大学図書館員)  「早大図書館所蔵の宝玲文庫本について」
渡辺延志(歴史研究家・元朝日新聞記者)  「占領期研究としてのホーレー資料:ジャーナリストの視点から」
閉会の辞
陣野英則(早稲田大学教授)  「本研究課題と可能性」

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