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セミナー「データ科学としての歴史研究」を開催しました

2018年12月14日、早稲田大学スーパーグローバル大学創成支援事業実証政治経済学拠点現代政治経済研究所は、コロンビア大学歴史学部よりマシュー・J・コネリー先生(Department of History)をお迎えしセミナーを開催いたしました。コネリー先生には現在ディレクターを務めていらっしゃるデータ科学と外交史研究の融合を目指す大規模プロジェクト「ヒストリー・ラボ(History Lab)」の概要の紹介、および当プロジェクトの応用可能性についてご講義いただきました。

公文書は日々生産されており、もはや人間が情報処理することができないほどの数になっているとコネリー先生は言います。こうした膨大な数の史資料をコンピュータ処理が可能な電子データに変換し、公開する目的のもと「ヒストリー・ラボ」は生まれました。本セミナーでは、コネリー先生は実際に当プロジェクトのウェブサイト画面をオーディエンスに見せながら、具体的な利用方法を示してくださいました。現在のプロジェクトでは『米国外交文書史料集(Foreign Relations of the United States: FRUS)』、米国務省電報といった米国の外交史研究では欠かせない史料集からヘンリー・キッシンジャー(Henry Alfred Kissinger)米大統領補佐官の電話会談記録など機密性の高い史料までが幅広くデータベース化されています。利用者はこうしたデータから史料の体系的情報を知ることができ、また、史料そのものを閲覧することもできます。

このような基本的な使用方法に加えて、コネリー先生は当プロジェクトの発展的な試みについてもご説明してくださいました。例えば、米国外交史を専門とする研究者は自身が研究対象としている国家と米国の対外関係こそが当時の米国政府にとって最も優先度の高いイシューだったのだと述べるときがあります。しかし、それは米国政府が当時有していた他国への関心の程度と比較して、初めて判明します。そこで、コネリー先生は、例として1960年代を対象に、プロジェクトに保管されているテキストデータをトピック・モデルという手法を用いて試験的に分析されました。その結果、米国政府内の議論ではソ連やイギリス、フランスといった超大国と同盟国の名前が最も多く出現することが判明し、このことから冷戦構造が変容する1960年代、米国首脳陣はソ連やヨーロッパの同盟国との関係を最も重要なものとして捉えていたのではないかと先生は述べられました。

今回のセミナーには、教室が満席になるほどのオーディエンス(学部生、大学院生、研究者、教員)が参加し、質疑応答では活発な議論が展開されました。参加者からは、文書を数量データ化して分析することの限界について質問が寄せられました。例えば、コネリー先生が行った分析結果は歴史研究者にとっては自明であり、新しい知見はどこにあるのか、また、米国の政策決定者が重視していた国家、地域は分かる一方で、どのような意味で重視していたのか、換言すれば、史料をデータ化して解析する分、その史料に付随した歴史的なコンテクストが捨象されるのではないかという問題が提起されました。これらの質問に対し、コネリー先生は、直感的には理解されている事象に体系的なデータによる確証を与えることの重要性を説かれました。また、数量化された分析結果に意味を与えるのは歴史研究者の役目であり、今後は文書解釈を専門とする歴史学者や理論に精通している政治学者、社会学者、そしてデータ科学を専門とする研究者との共同研究が肝要であると新たな歴史学の方向性を提示し、本セミナーを締めくくりました。

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