早稲田大学実証政治経済学拠点は英国のエセックス大学と共催で「エセックス大学サマースクール@早稲田大学」を2018年9月10日(月)から21日(金)まで開講しました。3年目となる今年は、Maximum Likelihood EstimationとSurvival Analysisの2つのコースを開講。 Maximum Likelihood Estimationは中級レベルの統計学と重回帰分析を既習した大学院生および学部3,4年生を対象としたコースで、Survival AnalysisはMaximum Likelihood Estimationと同等の内容を既習した大学院生を対象とした上級コースとなりました。両コースともすべて英語で行われ、さらに今年は9月6日と7日に受講者対象の統計ソフトに関するプレコースも無料で開催し、コース内で使う統計ソフト(RやStata)に不慣れな学生でも受講しやすいよう配慮しました。
Maximum Likelihood Estimationは千葉大奈准教授が、Survival AnalysisはQuiroz Flores Alejandro准教授が講義を担当しました。両名ともエセックス大学政治学部で教鞭をとっており世界的に活躍されている若手政治学者で、American Journal of Political Science, British Journal of Political Science, Journal of Politics, Political Science Research and Methodsといった政治学のトップジャーナルに論文が掲載されています。
Maximum Likelihood Estimationでは、カテゴリ-変数の変化(投票行動や職業選択など)を分析する統計モデルとして、ロジットモデルや多項ロジットモデルについて学び、Survival Analysisでは、生存時間やイベントヒストリーのデータ(紛争の終結や選挙結果など)を分析する統計モデルとして、連続時間モデルや離散時間ロジットモデルについて学びました。また、両コースともPC演習を重視しており、RやStataという統計ソフトを使った実際のデータ分析についても学ぶことが出来ました。コース修了後、受講生たちはエセックス大学から修了証を受け取りました。
コースの詳細についてはこちらをご覧ください→Essex University Summer School in WASEDA 2018
9月21日の最終試験後には、毎年恒例となったサマースクール終了を祝うレセプションを行い、両コースの講師や受講生らが参加しました。レセプション中には、講師陣から「学生のやる気もあり、ぜひまたサマースクール@早稲田に呼んでほしい。」と感想が述べられ、受講生からも「Rを使った最尤推定のやり方を詳しく学べたのが大きな収穫だった」や「Survival Analysisは難しかったが、新しい研究課題を思いついた」と講師陣へ感謝の言葉が贈られました。
受講生の声
所属学部:国際教養学部4年
受講コース:Survival Analysis
受講のきっかけ
夏休みを利用して特別なことを学びたいと思い海外のサマースクールも視野に入れて探したが、授業期間が重なってしまうのと渡航費用の面で断念した。そんな中「早稲田 サマースクール」で検索したらヒットしたのがこれだった。夏休み中に行われること、そして何といっても自宅から通えることが決め手となった。また、学部で提供されていない内容だったのも興味を持った。
プレコースについて
セッションはStataを使った事がある人を前提に話が進んだので理解するのが大変だったが、何が自分に足りないかがわかり、実際の授業が始まるまでに図書館で本を借りて勉強するなど事前に準備が出来て良かった。(※プレコース終了後本コース開講まで2日間あった)利用が初めての学部生にも寄り添う内容だともっと好ましかったかも。
授業を受けてみて
「Survival Analysis」のコースを選んだが、Quiroz Flores Alejandro准教授は一人ひとり気にかけてくれて、会話の中からその学生に即したトピックを見つけて進めてくれたため、わかりやすかった。始まる時間も午後からだったのでちょうどよかった。
改善点
大学院生のみならず学部生でも興味のある学生はいるので、政治経済学部以外の学部、例えば国際教養学部や社会科学部などにも周知をしたらもっと受講者が集まるのではないか。
早稲田大学実証政治経済学拠点はスーパーグローバル大学創成支援(SGU)「Waseda Ocean構想」の7つあるモデル拠点のひとつであり、今後もサマースクールを開催・拡大していくことを目指しています。