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セミナー「Protean Power: Exploring the Uncertain and Unexpected in World Politics」を開催しました

2018年4月20日、早稲田大学 SGU実証政治経済学拠点アジア太平洋研究センター現代政治経済研究所との共催により、コーネル大学のピーター・J・カッツェンスタイン先生(The Walter S. Carpenter Jr. Professor of International Studies)をお迎えしセミナーを開催しました。このセミナーは、カッツェンスタイン先生が2018年に出版された編著『Protean Power』の内容に基づくもので、本書で中心的に扱われる「Protean Power(変幻自在、可変的なパワー)」について、国際政治の観点からご講義いただきました。なお、本書の共編者であるルシア・セイバート(Lucia Seybert)先生は数週間前に闘病の末に逝去されとのことで、講義の冒頭で、セイバート先生に対する哀悼の意が捧げられました。

本セミナーでは、国際政治の重要概念であるパワーに着目し、統制、支配を伴うパワー(control power)と対比させつつ、変幻自在なパワー(protean power)とはどのようなものであるか、その特徴が説明されました。カッツェンスタイン先生は、後者は、特定の社会的アクターが有するものではなく、むしろ不確実性と多様な可能性に満ちた現代社会で、状況依存的に生まれてくるものと定義し、様々な比喩を用いてこの概念について分かりやすく説明くださいました。例えば、音楽でいえば、「支配的パワー」はマーチング楽曲、「変幻自在なパワー」はジャズに、物理学の世界では、前者はニュートン力学に代表される決定論的な古典的物理学、後者は新たな可能性に柔軟な量子物理学に喩えることができます。つまり、国際政治にみられる様々な可能性は、人間という主体による選択の結果、特定の現象となって具現化する、というのが議論の要点です。

カッツェンスタイン先生は、「変幻自在なパワー」という概念は、不確実性の重要性を際立たせる点で、現代政治学の通念に対する挑戦であることを強調しました。経済学と同様に、政治学においても、アクターが様々な予測を行う際に考慮するリスクの存在は、理論構築がなされる際に前提とされます。しかしながら、本書は、不確実性こそが政治的営みの中核をなすものと捉え、様々な政治アクター(国家指導者、銀行、越境移民等)が行う選択は、予測不可能な出来事によって、極めて異なる帰結をもたらすとの理論を提唱しています。さらに、この「変幻自在なパワー」は我々の認知能力を超えるものであるがゆえに、ベルリンの壁崩壊やリーマン・ショックなどの金融危機などの重大な出来事は想定外であったと述べられました。

今回のセミナーには、100名近い学生(大学院・学部)、研究者、教員が参加し、講義の後には活発な質疑応答が繰り広げられました。参加者からは、「変幻自在なパワー」概念を研究にどのように用いることが可能か、パワーが予期せぬ形で具現化した後、どのように語られるのか、政治学分析における歴史の偶発性(historical contingency)の役割について質問が提起されました。カッツェンスタイン先生は、本概念についての後続の研究に対して指南的な助言を行うことは差し控える一方で、「変幻自在なパワー」への着目は「支配的パワー」に基づく世界観を補完するものであり、世界政治における不確実性の役割を重視する学問的な問いに取組む上で有用であることを主張しつつ、講義を締めくくりました。

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