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「国際検閲ワークショップ」を開催! <報告>

【SGU国際日本学拠点】国際検閲ワークショップ −報告−

 

2018年1月26日(金)
第一部 13:30〜15:00 早稲田大学国際会議場井深大記念ホール
第二部 15:30〜17:30 早稲田大学国際会議場第三会議室
主催:スーパーグローバル大学創生支援事業 早稲田大学国際日本学拠点
共催:早稲田大学総合人文科学研究センター、角田柳作記念国際日本学研究所

司会:松本弘毅(早稲田大学研究院客員准教授)
第一部
開会の辞 大藪泰(早稲田大学文学学術院長)
基調講演 ロバート キャンベル (国文学研究資料館長)
基調講演 宗像和重 (文学学術院教授)
第二部
《若手研究者によるラウンド・テーブル》検閲と文学研究の現在
報告 牧義之(長野県短期大学助教)
報告 尾崎名津子(弘前大学講師)
報告 村山龍(慶應義塾大学非常勤講師)
報告 金ヨンロン(早稲田大学研究院客員助教)
報告 逆井聡人(東京外国語大学特任講師)
コメンテーター:ロバート キャンベル(国文学研究資料館長)・デイヴィッド・ルーリー(コロンビア大学准教授)・宗像和重(早稲田大学教授)
閉会の辞:李成市(早稲田大学教授)

 

スーパーグローバル大学創生支援事業「早稲田大学国際日本学拠点」の主催、早稲田大学総合人文科学研究センターと角田柳作記念国際日本学研究所の共催で行われた本ワークショップは、学内外からの研究者、教員、学生を始め、100名を超える参加者が集まり、検閲研究への関心が再び確認された。

第一部は、本学の文学学術院長である大藪泰教授の開会の辞から始まった。最初は、ロバート キャンベル氏(国文学研究資料館長)の「Popcorn on the Ginza-占領期における日本の都市表象と文学-」と題した、基調講演であった。講演は、占領期におけるGHQ/SCAPの検閲が活発に研究される状況において、銀座界隈という特定の空間にフォーカスを当てた、斬新なものであった。当時、占領期の銀座を経験した人々との電話インタビューや写真など新しい資料を通して、占領側と被占領側による都市表象に迫る、充実した内容に拍手が続いた。

ロバート キャンベル氏による基調講演

二番目の基調講演は、本学の宗像和重教授によって行われた。「近代文学の「検閲」をめぐって」という題の講演では、検閲という制度の研究が近代文学研究にもたらした成果がまとめられ、現状が分析され、今後の課題が提示された。原稿用紙のマスのように、書く行為を規定しながら最も自然な形で、それが制度であることすら隠す制度に目を向けることの大切さが力説され、それは研究者のみならず、現代を生きる全ての人々に感銘を与えるものであった。

宗像和重教授(文学学術院)による基調講演

 

 

 

 

以上、第一部を通して検閲を研究する新しい視座と検閲研究の内容が俯瞰された後、休憩を挟んで第二部の「《若手研究者によるラウンド・テーブル》検閲と文学研究の現在」が始まった。学問的なテーマにもかかわらず、予想をはるかに超える多くの聴衆が集まった。

第二部は、五人の若手研究者がそれぞれ新資料による最新の研究を報告することで始まった。

第2部の様子

最初の報告者である牧義之氏(長野県短期大学助教)は、「戦前・戦中期の出版警察と図書館との関係について―事務文書から読み解く―」と題した報告を行った。戦時中の図書館が、書籍の統制にどのように関わっていたのかが初めて明かされた。

次に、尾崎名津子氏(弘前大学講師)の「岩波文庫への検閲について」は、内務省の検閲の中でもとりわけ岩波文庫に焦点を当てた。提示された多くの研究資料のリストは、この叢書と検閲をめぐる研究が壮大なプロジェクトであることを予感させた。

同じく、戦時中の内務省の検閲を扱った村山龍氏(慶應義塾大学非常勤講師)の報告は、「児童読物改善ニ関スル指示要綱」の改稿過程を探る」という題目通り、丁寧な改稿過程の分析を通して児童文学者と検閲の研究の新たな展開を試みるものであった。

金ヨンロン氏(早稲田大学研究院客員助教)の「占領期における検閲主体の読書行為をめぐって―東京裁判と検閲を中心に―」という報告では、東京裁判を描いた文学作品を取り上げ、検閲文書を検討した。そこで検閲者が行ったであろう複雑な読書行為を分析した。

逆井聡人氏(東京外国語大学特任講師)の「在日朝鮮人文学と自己検閲:金達寿作品を中心に」も占領期の検閲を扱ったが、在日朝鮮人文学の問題を取り上げることで、占領側/被占領側という二項対立からは捉えられない検閲の新たな問題が浮上した。

第2部登壇の若手研究者およびコメンテーターの先生方

以上のような報告に対して、ロバート キャンベル氏(国文学研究資料館長)デイヴィッド・ルーリー氏(コロンビア大学准教授)、宗像和重氏(早稲田大学教授)の三人のコメンテーターから、報告内容をより広げていくような貴重なコメントが述べられた。検閲制度だけではなく、規制を内面化するという〈検閲的なもの〉をどのように捉えるか、文学をよく理解する検閲官の存在をどのように考えていくのかなど、今後の検閲研究制の指針になり得る、多岐にわたるコメントがあった。

最後に本学の李成市教授が閉会の辞を通して、検閲研究の重要性を指摘した後、国際検閲ワークショップは盛況のうちに終了した。

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