2017年3月27日に、早稲田大学SGU実証政治経済学拠点はAmsterdam VU University の Rene van den Brink 教授をお迎えし、「Inflow Independence in Transboundary River Problems」と題するセミナーを開催しました。
Rene van den Brink教授は「協力ゲーム理論」と呼ばれる研究分野の専門家で、多くの論文を国際学術誌に発表しています。協力ゲーム理論は、限られた資源の望ましい分配方法を数学的に分析する経済学の一分野です。今回のセミナーでは、協力ゲーム理論を用いて、水資源の望ましい分配方法を分析する研究を説明して頂きました。
我々の生活に欠かせない水資源の主な供給源として、河川が挙げられます。河川の中には、複数の国を横断するものが多く、歴史的にも水の分配を巡った対立が起きてきました。水資源の分配問題を複雑にする要因の一つとして、「所有権」の問題があります。即ち、一つの国が河川の水のどの部分を所有しているのか、という問題です。Rene van den Brink 教授は、所有権に関して国際的に論じられているいくつかの主張を取り上げ、それらと整合的な分配方法を数学的に分析しました。
セミナーには、主に理論経済学を専攻する教授や院生が参加しました。理論を用いて現実の分配問題を分析するというアプローチは斬新であり、参加者にとって大変有意義な時間となりました。