(1)
日時
2018年4月13日(金)16:30~18:00
タイトル
「反全体主義の政治思想とは何だったのか?:ハンナ・アーレントとアイザィア・バーリンを中心に」
概要
リベラル・デモクラシーの危機が叫ばれる今日、1930年代〜60年代の政治思想が再評価されています。ヨーロッパを席巻する極右勢力の伸長、アメリカでも広がる移民排斥、キューバ危機に比するとも言われる米朝対立の深まり。こうしたニュースが次々と報じられる今日、反全体主義の思想が新たな注目を集めること自体は、驚くに当たらないでしょう。しかし、時事問題に後押しされた関心の高まりは、二十世紀政治思想の的確な理解に必ずしも役立つわけではありません。本セミナーでは、この世代の思想家の中でも特に人気の高いハンナ・アーレントと、そのライバルとも言うべきアイザィア・バーリン(と彼に代表される「冷戦の自由主義」)に焦点を当て、近年の反全体主義思想の再評価の意義と問題点を考えたいと思います。とりわけ、二人の思想の規範的差異に注目し、政治思想においては「敵の敵は味方」とは限らない点を論じます。つまり、アーレントとバーリンは全体主義という敵を共有していたものの、彼らの反全体主義思想のあいだには超えがたい断絶があったことを論証します。
(2)
日時
2018年4月16日(月)13:00~14:30
タイトル
「『分析の時代』の終わり?:イギリス政治哲学の現状と課題」
概要
本セミナーでは、イギリスにおける(広義の)政治哲学を概観し、その最新動向への理解を深めると共に、日本の政治哲学研究への示唆を考察します。まず 、過去15年間におけるイギリス政治哲学の新展開を方法論の観点から整理し、学問分野全体を俯瞰します。ここではとりわけ、分析哲学と同一視されがちなイギリス(さらには「英米系」)政治哲学が、分析の枠組みを超え、様々な方向へと展開している点に注目したいと思います。次に、比較政治思想の興隆、とりわけアジアの知的伝統に対する関心の高まりに触れつつ、「何をもって政治哲学とするか」という定義の問題を取り上げます。特に「政治哲学」と「政治思想」、「政治理論」の線引きとその恣意性について、 批判的に吟味していきます。最後に、英語圏流の 政治哲学を日本で実践する際の課題につき、いくつかの問題提起を試みたいと思います。(本セミナーでは事前に参考資料をお配りします。)
会場
早稲田キャンパス 3号館712教室
講演者
蛭田圭(Wolfson College, Oxford)
https://www.wolfson.ox.ac.uk/kei-hiruta
問い合わせ先
稲村一隆(早稲田大学政治経済学術院、[email protected])
言語
日本語・英語
対象
学生・教職員・一般
参加費
無料