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ワークショップ「21世紀の人文知とは――世界の古典学から考える」を開催

ワークショップ 21世紀の人文知とは――世界の古典学から考える
The Humanities in the 21st Century: Classical Studies in and for the World

2019年6月23日、早稲田大学戸山キャンパス33号館第10会議室にて、「ワークショップ 21世紀の人文知とは――世界の古典学から考える(The Humanities in the 21st Century: Classical Studies in and for the World)」が開催された。

本ワークショップは、世界の各地域の古典学の研究者、教育者に参加を請い、世界の古典学の現状を検討するとともに、古典学の現代社会におけるありようや役割についてディスカッションを行い、古典学に関わる研究、教育にとっての課題、開拓すべき方向性を浮かび上がらせていくことを目指して企画されたものである。

なお、本企画は、これまでボストン大学教授Wiebke DENECKE氏と文学学術院教授河野貴美子氏が中心となり刊行してきた『日本「文」学史 A New History of Japanese “Letterature”』(全三冊、勉誠出版)を起点として計画されたものである。『日本「文」学史 A New History of Japanese “Letterature”』は、「文」の概念史を軸として日本の文学・文化史を根本から再考することを試みたものである。また、本ワークショップの出発点として、ボストン大学のComparative Studies of the Premodern World Initiativeの活動もある。これらを受けて、日本や東アジアにおける古典学から、さらに視野を世界に広げて、現在あるいは未来における古典学の意味や方法を問うていきたいと考え、本ワークショップはWiebke DENECKE 氏と河野貴美子氏によって立案、実行された。

なおワークショップは、早稲田大学総合研究機構日本古典籍研究所の主催により、スーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点、早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)(基盤研究(C)16K02376)、ボストン大学、世界言語・文学部、高麗大学校漢字漢文研究所の共催、早稲田大学総合研究機構の後援を得て開催された。

発表者として、荒木浩氏(国際日本文化研究センター)、河野至恩氏(上智大学)、小倉智史氏(東京外国語大学)、庄子大亮氏(関西大学(非))、沈慶昊氏(高麗大学校)、 Sunil SHARMA氏(Boston University)、竹村信治氏(広島大学)、渡邉顕彦氏(大妻女子大学)、Wiebke DENECKE氏(Boston University)、河野貴美子氏(早稲田大学)が、またディスカッサントとして、山本登朗氏(関西大学)、Michael WATSON氏(明治学院大学)が登壇したほか、院生、教員、一般参加者を含めて合計51名の参加者があった。

当日は9時に開会、まず河野貴美子氏から開会の挨拶があり、その後Wiebke DENECKE氏から今回のワークショップの趣旨説明とワークショップの進め方についての説明が行われた。本ワークショップは、開催にあたり、あらかじめ発表者に対して企画側から以下のような課題が出されていた。当日はこの課題について、まず、3つのパネルを設け、各パネル(90分ずつ)において発表者は5分程度で小発表を行った後、討論を行っていくという形式が採られた。

①古典学の現状と未来

発表者が自己紹介を兼ねて、ご自身の研究と研究分野の現状を話す

当該分野の日本および日本以外の地域における教育現場の問題点や悩みなど

未来への期待、ビジョン

②世界の古典学の比較研究の可能性

古典という概念について、それぞれの研究の立場から述べる(文化圏ごとの「古典」という概念や術語について。またキャノン化された文・学・知について等)

古典・古典学の社会的機能について、それぞれの研究の立場から述べる

古典・古典学はいかに形成されてきたのか(誰が、なぜ、何のために、どこで、どのように)について、それぞれの研究の立場から述べる

自身の研究対象と異なる地域の古典・古典学との比較研究のために特に知りたいこと、質問を述べる

③現代における古典・古典学の役割

政治・社会・民衆と古典および古典学の関係について

グローバル化の時代における古典のあり方について

古典・古典学を担う機関のあり方について

古典・古典学のための提言、方針  (古典)研究者としてのマニフェスト

本ワークショップの参加者は、東アジア、梵語文化圏、アラブ・ペルシア語文化圏、ギリシャ・ローマ文化圏を研究対象とする研究者であり、議論は多岐にわたったが、「人文学の危機」といわれる現在の状況において、古典および古典学が果たすべき役割について、一貫して建設的な議論を構築していくことが目指されたワークショップであった。そして、3つのパネルでの発表やディスカッションを通して、世界各地域の古典と古典学が抱える問題や課題を明確にし、共有していくことは、まさしく「21世紀の人文知」をいかなる方向へと舵取りしていくべきかということを考えていく上でのさまざまなヒントにつながることが確認された。例えば、宗教と古典、古典と大衆、社会や国家の権力と人文学、翻訳や多言語の問題、教育と古典学などの問題は、3つのパネルでの議論において繰り返し俎上にのぼり、それらの課題について、世界各地域の古典学の立場からの発言が交錯することにより、相互の思考や発想が刺激され、議論が積み重ねられていった。

3つのパネルが終了した後には、90分のラウンドテーブルディスカッションが行われた。ここではまず、2名のディスカッサントによるコメントが述べられた後、総合的な討論を経て、最後には、参加者全員にマイクが回り、意見や感想が述べられた。

世界各地域の古典学を専門とする研究者が一堂に会して、古典や古典学のあり方、さらには人文学のあり方について討論を行う機会が設けられること自体、稀であろう。本ワークショップは、「21世紀の人文知」のありようとして、世界の古典学の比較研究というものが、その画期の一つになりうるのではないかという狙いのもと、試みられたものであった。したがって、各パネルおよびラウンドテーブルディスカッションでの議論は、何かしらの解答を求めるということではなく、むしろ課題や知恵を出し合う、という方向性で話し合われた。その結果として、世界の古典学、あるいは世界の人文学同士の対話の有効性は十分に確認できる成果が残されたといえる。グローバル化していく教育・研究環境の中で、日本学を世界にひらき、世界との対話の中で展開していこうとする「国際日本学」の果たすべき役割や貢献のありようについても、思考を深めることのできるワークショップであった。

■開催概要■

ワークショップ 21世紀の人文知とは――世界の古典学から考える
The Humanities in the 21st Century: Classical Studies in and for the World

日時:2019年6月23日(日)9:00~17:30
場所:早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室
登壇者:
Wiebke Denecke(Boston University教授)、河野貴美子(早稲田大学教授)、荒木浩(国際日本文化研究センター教授)、小倉智史(東京外国語大学教授)、河野至恩(上智大学教授)、庄子大亮(関西大学非常勤講師)、沈慶昊(高麗大学校教授)Sunil Sharma(Boston University教授)、竹村信治(広島大学教授)渡邉顕彦(大妻女子大学教授)、Michael Watson (明治学院大学教授)、山本登朗(関西大学教授)

主催:早稲田大学日本古典籍研究所
共催:
スーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点
早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)(基盤研究(C)16K02376)
ボストン大学、世界言語・文学部
高麗大学校漢字漢文研究所
協賛:早稲田大学総合研究機構

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