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News through 2023

2023年度までのニュース

参加レポート:QTEM2023年 秋学期 アムステルダム大学(オランダ)

SGU実証政治経済学拠点では海外留学を志す政治経済学分野の大学院学生に対して渡航支援を行っています。2023年の秋学期にオランダのアムステルダム大学で学んだ学生より留学報告レポートが届きましたのでご紹介します。

2022年度秋学期アムステルダム大学への交換留学レポート記事は、こちらです。

 

大学院経済学研究科修士課程1年 飯澤 睦也

アムステルダム大学(University of Amsterdam)

 

この度SGU事務局の渡航支援を受け、2023年8月から2024年2月の半年間、QTEMプログラムの一環でオランダのアムステルダム大学(UvA)に留学しました。以下に留学の詳細をご報告いたします。

QTEMプログラムは、ヨーロッパとアジアの有力大学が提携し、計量経済学や機械学習などに代表される数量分析に特化したカリキュラムを提供することで、企業のより良い意思決定に貢献できる学生を育成することを目的としたプログラムです(詳しくは経済学研究科HPを参照)。

私自身は、個人や家計・企業などが持つミクロなデータを用いて実証分析を行うミクロ計量経済学をメインに勉強してきており、この知識が実務の場面でどのように活用され得るのかに興味を持ったことに加え、これまで海外経験がなかった自身の英語力を向上させたかったことから、本プログラムへの参加を決意しました。

渡航までの準備期間は英会話でスピーキングのトレーニングを積み、過去に履修した計量経済学関連の講義の復習に充てました。これらの準備のおかげで、UvAの授業に迅速に馴染むことができました。QTEMへの参加を希望される方に対して、現地校の科目登録関連で1点困ったことを参考までにご紹介すると、QTEMのHPに掲載されている科目の中には留学生を対象としておらず、正規生のみに開講しているものが含まれていたことです。その結果、自分の興味関心にマッチした履修計画の作成に時間がかかってしまいました。履修希望が決まった段階で、派遣先のコーディネーターに確認を取ることや、大学の公式シラバスを参照されることをお勧めします。

夜のキャンパスの風景。課題の量がどの授業も多く、しばしば夜まで図書館に籠っていました。

 

QTEMのモジュールの1つ、”Business Intelligence and Big Data”に興味があり、UvAでは以下の5つの講義を履修しました。

Managerial Economics

どのように従業員をモチベートするか、どのようにしてパフォーマンスを計測するかなどの、企業の成功を見据えたマネージャーの役割について、ミクロ経済学 の契約理論や心理学の理論に基づいて学びました。マネージャーや部下の行動をモデル化し、それを解くことで重要な示唆が得られるという理論分析の一連のプロセスが面白いと感じました。

Public Economics

望ましい投票ルールのありかたや、人々が持つ選好をどのように集計するかを模索する社会的選択理論と、所得の不平等や所得税制度などの公共経済学における代表的なトピックについて学びました。学部時代に修めた講義から得た知識を再確認し、深化させることができました。

Machine Learning for Econometrics

ランダムフォレストやSVM、ブースティングなどの典型的な機械学習手法の理論とPythonによる実装を学びました。期末試験では各種アルゴリズムが実際どのように働いているのか手順を追って数学的に説明する問題が出され非常に苦戦しました。経済学研究科では機械学習の講義が開講されておらず、独学で補ってきた私にとっては極めて有益な内容でした。

Data Science for Business

機械学習の教師あり・教師なし学習の各トピックの概要をつかんだのち、企業が持つ(という設定の)仮想的なデータが与えられ、学んだ手法を実装しながら課題の特定・解決策の検討・聴衆へ向けたプレゼンテーションを行うという一連のデータサイエンスプロジェクトをグループで行いました。他大学からやってきたQTEMの学生とグループを組むことができ、講義内容のみならずプロジェクトの取り組み方についても非常に刺激を受けました。

Empirical Market Analysis

独占・寡占市場における企業の持つマーケットパワーや合併の影響、需要関数の推定などの代表的な産業組織論の理論とStataによる実装方法を学びました。UvAの独特な授業スケジュールにより、初回講義から期末試験まで1か月で完結する過密日程の講義でした。週2回新しいトピックに関する講義があり、毎週2~3本の論文を読み解いたうえで実証分析レポートを書き上げることが求められ、今後の研究活動の上での土台となる筋力をつけることができたと感じています。

ビールの価格弾力性の推定に関する課題

 

UvAでは、通常の大人数講義(Lecture)と少人数のインタラクティブな講義(Tutorial)の組み合わせで講義が展開されています。ほとんどの授業において毎週Problem Setが提供され、Tutorialでその解答についてディスカッションすることで理論の理解と応用力の向上を図る構造がありました。

オランダは深刻な住宅不足の状態にあると言われており、渡航前には住居が見つかるのかという不安がありましたが、運よく学生寮の抽選を勝ち取り、UvAの他学部に通う2人の学生とルームシェアしながら生活しました。渡航期間中には記録的な円安ユーロ高が進行していたため、毎日の自炊が欠かせませんでしたが、ときおりルームメイトと共に夕飯を食べながら、おのおのの専門分野や広く社会問題についてカジュアルに語り合う時間はとても良いリラックスになりました。

寮の友人と行ったクリスマスパーティの準備の様子

帰国後の総括としてここで述べたいことは、現地の学生はみな「先生から最大限学びとってやる」という気概を持って学んでいることです。彼らは本当に些細な疑問であっても授業中に果敢に質問し、また講師の説明においても臆せず指摘を行っていました。このような積極的な姿勢は、自分の学びへの姿勢について内省する良い機会を与えてくれました。

今後は、今回の留学で理解の乏しさを痛感した機械学習の理論と応用について腰を据えて勉強しながら、鍛えた英語力を活かして修士論文の執筆に本格的に取り組んでいきます。卒業後も自分の知的好奇心を大切にし、積極的な学びの姿勢で知識を貪欲に吸収していけるように努めます。

最後に、貴重なご支援と、留学期間中の絶え間ないサポートを賜りましたSGU事務局並びに経済学研究科の皆様に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

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