スーパーグローバル大学創成支援実証政治経済学拠点では、実証ミクロセミナー、TCERとの共催により、オハイオ州立大学のTansel Yilmazer准教授を2023年4月20日にお招きし、大学院生向けのセミナーとしてThe Affordable Care Act, Marriage Penalties and Marital Status (joint with Lauren jones and Guangyi Wang) を開催いたしました。
Yilmazer准教授は、Review of Economics of the Householdの編集委員です。
参加者による講義レポートを紹介します。
Yilmazer准教授は、Lauren Jones氏およびGuangyi Wang氏との共同研究である米国の健康保険制度と関連するAffordable Care Act (ACA)と結婚の因果関係に迫る研究について、経済学研究科の大学院生をはじめ、他研究科の大学院生や実証研究を行う教員を含む多くの参加者と議論しました。
- Tansel Yilmazer准教授
Yilmazer准教授は、結婚した場合のACA制度に関連する金銭的便益と結婚しなかった場合のACA制度に関連する金銭的便益の差を結婚ペナルティと定義し、結婚ペナルティが増加することによってカップルの結婚確率が減少することを実証分析の結果をふまえて説明しました。
アメリカの制度に関する研究ということもあり、多くの参加者にとって制度の詳細や問題点について馴染みのないものでしたが、Yilmazer准教授の丁寧な説明とわかりやすい綺麗なグラフにより、制度に関することや研究のデザインについて、より詳細に理解することができました。また、観測できない情報が多いなど限られたデータしか存在しない状況であっても、先行研究を元に計算されたシミュレーションデータも用いて研究を進めるなど、様々な工夫により、政策に関するインプリケーションに繋げられる研究を行うことができることを学べました。
- 大湾教授(左奥)
- Tansel Yilmazer准教授
参加者はセミナーを通じて、 国の制度が国民のライフイベントに与える影響の重要性やそれを分析するための研究フレームワークの設計方法など、多くのことについて示唆と学びを得られました。

Tansel Yilmazer准教授
レポート:金山隼人 (経済学研究科修士課程) / 大湾 秀雄(政治経済学術院教授)