ごあいさつ
早稲田大学における本格的なナノテクノロジーに関する組織化活動は、2001年文部科学賞COEプログラム「分子ナノ工学」の採択を契機に始まりました。理工学部内の分野横断の学際的大学院専攻であるナノ理工学専攻を設置するとともに、教育と表裏一体で連携した研究機関としてナノテクノロジー研究教育拠点であるナノ理工学研究機構を設立し、これまで学内のみならず世界的なナノ理工学研究の一端を牽引して参りました。その中心的研究施設として、世界的に見てもトップレベルのクリーンルーム施設を備えたナノテクノロジーリサーチセンター(NTRC)を文部科学省ナノプラットフォーム事業の支援の元に設置しました(2021年度に新たに採択されたマテリアル先端リサーチインフラに引き継がれて行きます)。そして、これらの実績を引き継ぐと共に、学内のバイオ・医療に関する研究連携組織であった先端科学・健康医療融合研究機構(ASMeW)と合体して、環境・エネルギー、医療・生命科学、情報通信にまたがる非連続なイノベーションを横断的に支え創出する基盤拠点として、2015年にナノ・ライフ創新研究機構を創設しました。本機構のキーワードは、「グリーンデバイス」、「エネルギー」、「革新的マテリアル」そして「ライフサポート」で、現在6つのプロジェクト研究所を中心に、気鋭の研究者と学生が公的研究プロジェクトに加えて企業との多彩な連携により活発に活動しており、学生を含めて約300名の研究者の成果創出の一大研究教育拠点となっています。さらに2004年にナノテクノロジーに関する産官学連携プラットフォームとしてナノテクノロジーフォーラム(NFM)を設立し、産業界と大学、学生の交流を推進し、研究シーズの社会展開や人材育成を行って参りました。本機構の研究成果がベースとなった新たな技術が創出され、共に育った若手人材が担い手となって、ナノ・ライフの分野において世界の技術を牽引してくれることを期待しております。
機構長 宇髙 勝之
本機構は、前身のナノ理工学研究機構とASMeWで実績を重ねた研究者と、最先端の装置群を結集しました。世界でもトップレベルと自負する研究者・学生達の自由な発想によるシーズの創出、基盤強化の裏付けのもと、世界的課題を見据えたバックキャスティング型の研究開発を積極的に推進して参ります。スマートエナジーシステムイノベーションセンター(120号館)を中心に、学際的大型研究費の導入に向けた体制を整備しながら、産官学連携によるナノ・ライフイノベーション研究の世界的なプラットフォームを形成、若手研究者や技術者の高度教育機能も強化し、社会の要請に応えうる人材の育成に努めます。また、学会との連携強化を図り、国際会議・大会等を主催することで本機構の国際認知度を向上させ、海外も含めた連携研究体制を構築します。国内外の優秀な人材を獲得し、ナノテクノロジーを基盤としたボーダレスな研究を推進します。
副機構長 朝日 透・谷井 孝至