低炭素社会の早期実現には、高効率でユビキタスなエネルギー変換デバイスの開発が重要課題である。リチウムイオンを始めとする各種二次電池や燃料電池、電解セルなど既に実用化と普及が進められているデバイスも多いが、性能と耐久性の改善の余地が大きい。我が国は本分野で現在世界をリードしてはいるものの、今後も優位性を維持し続けるためには継続的な技術革新が必要である。特に、小型軽量化を可能とする高分子薄膜と高性能な電極触媒の開発が次世代エネルギーデバイスの鍵を握っている。例えば燃料電池では高分子薄膜としてアニオン交換膜を用いることにより、白金などの貴金属触媒を用いなくても高い性能が得られる可能性があり、その実用化には大きな期待が持たれている。本プロジェクト研究所では、イオン導電性と化学安定性を両立させるための独自の分子設計に基づいたアニオン交換膜の創製と高度化を進めると共に、各種アルカリ形エネルギーデバイスを社会実装できるためのブレークスルーを目指す。本プロジェクトはタカハタプレシジョン株式会社との共同研究として推進している。また研究所設立と同時に山梨大学・クリーンエネルギー研究センター・宮武健治教授が2020年度より本学先進理工学研究科にクロスアポイントメント教授として着任し、共同研究を推進している。タカハタプレシジョン株式会社は宮武教授とすでに7年以上に亘り共同研究を継続してきており、アニオン導電性とアルカリ安定性を大幅に改善したアニオン交換膜を世界に先駆けて提案している。本研究所ではこの基幹技術を基にして、アニオン交換膜のさらなる高性能化・低コスト化を進めると共に、種々のデバイス応用への展開を図る。
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本間 敬之 理工学術院教授
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