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研究コラム:「機能性おやつ」の健康機能

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   「機能性おやつ」の「小松菜おはぎ」

「おやつ」の語源は元々が江戸時代の和時計における「八つ時(やつどき=午後2時前後)」に由来する。1日2食の時代に、体力維持のため休憩時に取っていた「やつどき」に食した軽い間食のことであるが、1日3食が慣習となった20世紀後半より現在では単に朝食昼食夕食以外の間食全般を指すようになっている。即ち小腹が空いた10時ころの間食や3時ころの「おやつ」やティーブレイク、今では塾の前や部活の前、また残業などで夕食が遅い場合に我慢しきれない空腹感を満たす軽い間食、夕食後の就寝前に良い眠りを得るため・・・などなど。

「おやつ」は楽しい美味しいが前提であると同時に、気分転換や作業効率を上げたり、事故を防止したりといった効果や美容効果を期待した間食「機能性おやつ」も出現している。

「おやつ」は、3食しっかりと摂る事を前提とし、それを補助する役目を持つものであり、世界に例を見ないくらいに多種多様な菓子・嗜好飲料などが発達した。食品の第二次機能(感覚機能)に注目したものであり、すなわち味覚(美味しさ)、臭覚(良い香り)に止まらず、視覚(美味しそうに見える)、聴覚(食べる時の音感)、触覚(食べやすさ)など人の全ての五感を生かしながら、雰囲気・ムード(第六感?)も楽しむことができ、リラクゼーション(ストレス回避)による疾病発症のリスク低減にもつながる。このように、「日本には古くからあるが、見直されるべき新しい食のジャンル」が「おやつ」である。

生体調節機能が十分に働くよう調節し、健康の維持増進、疾病予防に良い影響を与える働き(食品の第三次機能)を有する食品を“機能性食品”と呼んでいる。「機能性おやつ」は、「おやつ」にこの「機能性」を付加させたものであり、平成17年に制定された「食育基本法」と行政から「食事バランスガイド」が提示されて、その中で「菓子・嗜好飲料」は、食生活の中で欠くことのできない要素であると捉えられている。

規範科学総合研究所のヘルスフード科学部門では、規範科学(レギュラトリーサイエンス)に関連した産官学連携における実践科学的側面を有するヘルスフード科学研究の追及において、「食と健康」に関わる課題を担当している。活動の一つである「機能性おやつ」開発に関する成果は以下の通りである。

  •  「機能性おやつ」に関する情報発信と啓発活動
    上記のように、「機能性おやつ」は3食の食間における機能性栄養素の補充の役割を果たし、時間栄養学の視点からの重要性をより深く研究を行い、評価する研究部門のターゲットの一つである。
  •  具体的な取り組みとして、埼玉県で菓子業最大手の「梅林堂」との連携において数種類の「機能性おやつ」開発に取り組み、昨年写真のような「小松菜おはぎ」を製造・販売した。
    好評にて多くの菓子売り場にてヒット商品となった。この「小松菜おはぎ」に使用した小松菜は埼玉県が日本一生産量の多い野菜であり、ビタミン・ミネラル・葉酸・ダイエタリーファイバーなどを豊富に含む代表的な健康野菜である。
  •  「機能性おやつ」プロジェクトを推進して100社を超える食品企業との連携により、20を超える商品が店頭に並んでおり、今後も増加の一途である。

「おやつ」発祥の国である我が国において、機能性を付与した「機能性おやつ」の存在意義を再認識し、同時に諸外国には「機能性おやつ」の重要性を周知させるべく、「OYATSU」が世界語になるようにしたい。

矢澤一良
早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 研究院教授
規範科学総合研究所 ヘルスフード科学部門

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