2017年4月、早稲田大学GSセンター(Gender and Sexuality Center)は、学生支援に主眼をおいた多様性を推進する機関として、他大学に先駆けて設置されました。本センターは学生からの提案を契機に設置されました。開室以来、セクシュアルマイノリティの当事者学生のみならず、ALLY(理解者・支援者)となりたい学生、イベントや図書資料等を通して知識を得ようとする学生等、実に様々な目的で多くの学生が来室し、利用者数は右肩上がりに増えていました。
ところが、2020年度は、新型コロナウイルスにより、世の中の「日常」が大きく変わりました。本学においては、キャンパスで見かける学生の姿はまばらになり、これまで賑わいをみせていた本センターの様子も一変しました。しかし、学生の声を受け止め、届いた学生の声を形にするための本センターの活動は何も変わりませんでした。本センターは、新たな「日常」の中のセクシュアルマイノリティ学生へ目を向け、いち早く、オンラインによる相談やイベントを実施したり、本センターを積極的に広報するなどして、職員と学生スタッフが一丸となって、セクシュアルマイノリティ学生への支援を途切れることなく実施しました。このような1年を振り返り、あらためて思うのは、学生スタッフの頼もしさです。学生スタッフは、この状況の中でセクシュアルマイノリティ学生のために何ができるか、学生の視点で考え、様々なアイディアを出して積極的に活動してくれました。
2021年度、本センターはいよいよ5年目を迎えますが、本学が対処すべき問題はまだまだあります。本センターは、今後も一歩ずつそれら課題を克服し、誰もが“多様な性”の中の一人として豊かな学生生活が送れるキャンパスづくりを推進し、そして学生の多様性を支援するためのあるべき姿を追い続け、多くの学生に愛されるセンターを目指します。
最後になりますが、この活動報告書がセクシュアルマイノリティの方々への支援を始めようとされている多くの教育機関、企業、公共団体等の皆様方の目に止まり、それぞれの活動において、多様性を支援するための一助になれば幸いです。
GSセンター課長 野口 純世