Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

クレジットビジネス研究所【第Ⅰ期】
Institute for Research on Credit Business

【終了】2010~2015年度
過去の研究所活動はこちら

研究テーマ

クレジットビジネスにまつわる諸問題の学際的かつ国際比較の視点からの調査・研究

分野:社会システム

研究概要

個人または家計は、さまざまな金融リスクや将来のライフイベントを考慮しながら、クレジットを利用している。本研究所では、クレジットビジネスにまつわる諸問題を、クレジットの利用者と提供者の双方の側から、学際的かつ国際比較の視点から調査・研究する。
 2000年12月に「消費者金融サービス研究所」として発足し、それまでに数多くの研究がなされていた企業金融を扱うコーポレート・ファイナンスではなくて、個人(消費者)を対象とするパーソナル・ファイナンスに関して学術的な研究活動を行ってきたが、この10年の間にクレジットビジネスをめぐる環境は大きく変貌した。市場の縮小、既存プレイヤーの市場からの退出、違法業者、法改正が経済や利用者に及ぼす影響、新たな商品・サービス・チャネルの開発、個人信用情報の保護と利用、多重債務者問題、金融教育、カウンセリング、セーフティネットの充実など、解明すべき問題が山積みされている。消費者金融と他の分野との融合も進み、消費者のクレジットに対する関心も多様化している。
 そこで経済・社会の変化に対応、研究領域を広げ、一層活発な研究活動を行うために、「クレジットビジネス研究所」として新たに出発することにしたい。具体的には、上で掲げたようなクレジットにまつわる諸問題を理論的かつ実践的に解決するために、経済、産業、経営、消費者、諸外国の事情といった側面から国際的・学際的に調査・研究を行う。

研究報告

【2014年度】
(1)2013年1月に行った改正貸金業法の影響に関するアンケート調査(定点調査として2007年から継続的に実施)に基づき、法改正が零細企業の資金調達に及ぼした負の効果について、正規市場の縮小とヤミ金融市場への流入の実態を中心に分析した。(2)米国では中小企業庁(SBA)によるローン保証は過去4年間に1千億ドルに及んでいるが、これらの資金は必ずしも零細企業にはいっていない。銀行による零細企業向けローンが減少するなかで急増するノンバンクによるサブプライム・ビジネスローンについて、その背景と提供業者のタイプ、資金調達方法を検討した。(3)韓国の貸付金融市場では2014年6月に上限金利が39%から34.9%に引き下げられるなど、規制強化の動きが続いていた。そうしたなか、貸付業法の改正案が2014年12月に国務会議を通過し、全国的な営業ネットワークを持つ大手貸付業者に対する管理・監督を金融委・金監院へ移管され、登録用件も整備されることとなったが、同法改正が貸付金融市場に及ぼす影響を検討した。(詳細は、http://www.waseda.jp/prj-ircfs/を参照のこと)。

【2013年度】
(1)2013年1月に行った改正貸金業法の影響に関するアンケート調査(定点調査として2007年から継続的に実施)に基づき、資金需要者の窮状およびヤミ金融利用率の上昇について報告した。(2)2010年2月の大阪府議会での改正貸金業法の問題点の指摘(大阪の購買力の低下、中小零細企業の経営への支障など)と、それを受けての大阪府による構造改革特区として規制緩和を行う「小規模金融特区」の提案など、大阪府による庶民金融市場の健全化に向けた取り組みが示唆することを検討した。(3)米国において90年代から急成長を遂げたペイデーローンとそれに対する規制強化から生まれたペイデーローンに対する代替商品を取り上げ、パーソナルファイナンスにおけるイノベーションの成功にはどのような要因が影響を及ぼすのか検討した。(4)2014年1月に米国郵政公社(USPS)が銀行口座を持つが代替的金融サービスに依存している人々にノンバンク金融サービスを提供すべきという白書が公刊されたが、その参入の是非について検討した。(詳細は、http://www.waseda.jp/prj-ircfs/を参照のこと)。

【2012年度】
(1)世界第2位の人口を有し、著しい経済成長を遂げているインドでは、多くの貧困層を抱えていることから、マイクロファイナンスが急速に拡大しているものの、ここ数年で規制強化が進んだが、その影響について考察した。(2)改正貸金業法の成立後、状況の逼迫度が軽微な教育ローン、住宅ローン、銀行カードローンから、消費者金融を経て、状況の逼迫度が深刻な親族・知人からの借入、カード現金化、過払い金返還請求から、ヤミ金融に至るプロセスを継続的な資金需要者へのアンケート調査に基づき示した。(3)貸金業者へのアンケート調査に基づき、総量規制が貸金業者の経営や資金需要者に及ぼした影響を実証的に分析した。(4)クレジットビジネスにおいて、これまでに新しい商品・サービスの開発や新しい仕組みの提供など、数多くのイノベーションが生み出されてきたが、その多くは失敗している。そもそもビジネスモデルとして成り立たなかったものも多いし、ビジネスモデルとしては成り立っていたが、消費者団体などの猛反対にあい、事業そのものが成り立たなくなったことも多い。ケースとして、P2Pレンディング、マイクロファイナンス、ペイデーローンに代替する新たな金融ビジネスを取り上げ、失敗の原因を分析した。(詳細は、http://www.waseda.jp/prj-ircfs/を参照のこと)。

【2011年度】
(1)資金需要者側からの定点調査として2007年から継続的に行ってきた資金需用者へのアンケート調査の改訂版を発表するとともに、資金需要者の窮状およびヤミ金融市場への流入の実情について報告した。(2)日本の貸金市場の大幅な縮小が続くなか、韓国の貸付業は為替危機以後、金融制度圏の金融機関を利用することのできない人々の生活資金を供給する役割を担いながら、急成長している。韓国の家計貸付を担うプレーヤーのなかでも貸付金融会社に焦点をあて、その競争優位の源泉を検討した。(3)かつて、ソーシャルレンディングが注目を集めたのは、インターネットをベースとした新たな仮想コミュニティを通じて個人同士がつながり、信頼や共感を媒介として、既存の金融サービスから排除された者に手が差し伸べられるという情緒的な側面であった。しかし、現在は当初の情緒的な絆に基づくクレジットの民主化的なサービスから金融産業へと姿を変える過渡期にある。2005年秋に創業した米国のソーシャルレンディング・サービスの第一人者であるプロスパーの初期のビジネスモデルとその問題点を浮き彫りにすることで、かつてのソーシャルレンディングの理想を追求することの難しさを検討した。(4)そのほか、江戸時代のお金の貸し借りおよび資金需要者の置かれた状況と大阪府の取組みについて公開研究会を開催した。(詳細は、http://www.waseda.jp/prj-ircfs/を参照のこと)。

【2010年度】
資金需要者側からの定点調査としての観測に基づいて、総量規制導入直後の貸金市場や資金需要者の行動を把握することを目的に、まず消費者金融の申込み状況と消費者金融成約状況と総量規制で消費者金融の現状について調査結果を報告し、次に総量規制の導入による影響をみるため資金需要者や総量規制対象者の資金調達状況の傾向を報告し、最後にヤミ金等違法金融の状況について検討した。また、アジアにおけるクレジット市場の発展にも引き続き焦点を合わせており、韓国におけるクレジット市場の発展について、制度・法律面や信用情報機関などのインフラ面から日米との対比を行うとともに、日系企業による進出について分析を行った。さらに、英米や日本におけるP2P貸付の最新状況を調査することで、P2P貸付がノンバンクが担っている高リスク層向けの貸付を代替するものであるかどうかを検討した。(詳細は、http://www.waseda.jp/prj-ircfs/を参照のこと)。
2010年度の成果の発表 ワーキングペーパー:Domoto, H., Brief Report on Displacement of Consumer Finance Market from Nonbank to Yamikin;堂下浩、内田治「2010年消費者金融の利用に関する調査報告書」。

所長

坂野 友昭[さかの ともあき](商学学術院教授)

メンバー

【研究所員】
坂野 友昭(商学学術院教授)
晝間 文彦(商学学術院教授)
矢後 和彦(商学学術院教授)
島岡 未来子(研究戦略センター講師(任期付))

【招聘研究員】
井上 葉子(日本大学商学部専任講師)
大澤 和人(大阪経済法科大学法学部准教授)
堂下 浩(東京情報大学総合情報学部教授)
樋口 大輔(東京情報大学総合情報学部講師)
藤原 七重(千葉商科大学商経学部准教授)
舟橋 哲(立正大学法学部教授)
江夏 健一(早稲田大学名誉教授)
上妻 博明(ハリウッド大学院大学教授)

連絡先

[email protected]

WEBサイト

http://www.waseda.jp/prj-ircfs/

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/cro/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる